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「ペルソナ総合医療センター」を舞台に、「命」に向き合う医師や妊婦などをめぐるヒューマン医療ドラマ『コウノドリ』。
第3話までの放送を見る限り、妊娠・出産・子育ての中で、多くの二律背反となる選択肢を医師・妊婦・妊婦の家族が迫られている。そして悩みながらも"最善のどれかを選ぶ"ことが、生きるということと訴えているようだ。

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『コウノドリ』両シリーズの視聴率と満足度


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今回は2015年10月にドラマ化された同作の続編だが、前作に劣らず評判は上々だ。前作では第3話で視聴率が急落したが、今回は3話とも11.8~12.9%の中に入る安定ぶり。データニュース社「テレビウォッチャー」が調べる満足度も、結果が出ている2話目までは前回を上回っている。
今クールGP帯の全ドラマの中で比較しても、初回満足度は『コウノドリ』が4.05でトップ。2位『陸王』とは0.07差、3位『ドクターX』にも0.13の差をつけており、内容については断トツで支持されている。

■それぞれの二律背反

今回のシリーズでは、二律背反とでもいうような難しい選択肢が、登場人物たちに突き付けられる。
例えば初回では、キャリアウーマンの彩加(高橋メアリージュン)が、「障害を持った子の出産・育児」か「自分が手掛けた仕事のプロジェクト」優先かで悩む。また耳の聞こえない夫婦は、「障害を持つがゆえ子育ては難しいので諦める」か「それでも産み育てたい」の選択で悩む。

第2話は、子宮頸(けい)部腺がんと診断された妊婦(土村芳)の話。
若いためにがんの進行が早く、まだ完全におなかの中で育っていない赤ちゃんをどこまで母体に留めて成長させるか。ただしそれは、母親の治療を遅らせることを意味する。非常にシビアな決断が医師たち関係者に迫られた。
具体的には、28週で出産すれば母親のがん治療を早期に開始でき、生存の可能性が高い。しかし赤ちゃんへの負担が大きくなり、障害をもって生まれてしまう可能性が高い。逆に32週まで待てば赤ちゃんはより安全だが、母のがんが進行して手遅れとなる可能性が高い。

■視聴者の反応

今回の第2シリーズ初回は、データニュース社「テレビウォッチャー」が測定する満足度が4.03となった。過去のドラマを振り返っても、初回が4.0を超えるドラマはめったに出ない。特にF1(女20~34歳)は4.68と大絶賛だった。妊娠・出産は自分に近い話だけに、この層の女性には切実な問題だったようだ。

「感動した」女28歳(満足度5・次回絶対見る)
「色々な親や子供がいて、出産しただけでなくその後も大変と改めて感じた」女24歳(満足度5・絶対見る)
「社会の問題点も取り上げられ、共感できます」女23歳(満足度5・絶対見る)

第2話の満足度は3.92と少し下がったが、それでも3.9台は相変わらず高い。特にF1とF2(女35~49歳)はともに4.22と極端に高い。やはり"自分事"として注視している人が多いようだ。

「自分に置き換えると涙が出てきた」女33歳(満足度5・絶対見る)
「どれをとっても賭けになってしまうことを判断するのは難しい」女39歳(満足度5・絶対見る)
「ここまで妻と子供両方のことを真剣に考えてくれる人は少ないので、同じ状況の男性全員に見てほしいと思った」女37歳(満足度5・なるべく見る)

■新たな二律背反

第3話でも、新たな二律背反が出てくる。
妊娠39週の妊婦(川栄李奈)は、素直な性格で親や友人に言われた迷信をすぐに聞き入れてしまう。心臓病を抱えているために、心臓への負担を考慮して無痛分娩を提案されるが、「自分のこと優先か?」などの周りの意見に左右されてしまう。
第1話から登場していた、障害を持った子を出産したキャリアウーマンの彩加(高橋メアリージュン)は、保育園が決まらず会社のプロジェクトからも外される。「赤ちゃんは自分の邪魔をする存在」とつい思ってしまい、母としても職業人としても失格と自信をなくしてしまう。産後鬱(うつ)と言われていたが、精神科に行く判断もできず最後は......

こんな妊婦を前にすると、医療関係者にも二律背反の選択肢が突き付けられる。
自分の持ち分の中で最善を尽くすことがより多くの母子を救う道なのか、持ち分の中に留まることで泥沼に喘(あえ)ぐ一人の妊婦を見捨ててしまうのか。
現実のルールの中では、完全な解はない。それぞれの担当者がそれぞれの世界の中で思い悩んでいるのが現実だ。

ドラマの制作陣は、こうした絶対矛盾ともいえる状況の中、どうするのが正解と言っているのか。残念ながら『ドクターX』のように「私失敗しませんから」と、スパッスパッと状況は打開できない。それでも『コウノドリ』では、最善が何なのかについて多くのヒントを提示している。
その方向は毎回同じではない。妊婦も赤ちゃんも十人十色であるように、全てのケースが同じ事情ではないからだ。それでも現実はどれかを選ばなければならない。「命」はいつまでも待ってくれないからだ。こうした根源的な問題を、上から目線ではなく、患者や視聴者と同じ立場から見守るようにできているがゆえに、『コウノドリ』の満足度は極端に高いようだ。
しかし投げられた問いに、最終的に回答し現実を引き受けるのは、われわれ一人一人である。その厳しさや難しさもきちんと示しているところが、このドラマの優れた点といえよう。

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文責・次世代メディア研究所

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