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秋クールの全ドラマの中、初回で満足度トップとなった『コウノドリ』。
データニュース社「テレビウォッチャー」が調べるモニター2400人の番組評価の平均点だが、ベスト5では5位が『科捜研の女』3.83、4位『ユニバーサル広告社』3.85、3位『ドクターX』3.92、2位『陸王』3.98、そして1位は『コウノドリ』の4.05となった。
唯一4.0の大台乗せスタートと、極めて順調な滑り出しだった。前提には星野源と綾野剛の対立があり、それが現実に起こる難しい選択肢を象徴している。ドラマはその答えを求めるプロセスに、視聴者の感動を呼ぶがための高満足度のようだ。

サムネイル

『コウノドリ』両シリーズの視聴率と満足度


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■視聴率の推移

「ペルソナ総合医療センター」を舞台に、「命」に向き合う医師や妊婦などをめぐるヒューマン医療ドラマ『コウノドリ』。第1弾は2015年秋に放送された。
この時の初回視聴率は12.4%。途中一桁となることもあったが、第5話以降は11~12%と安定し、平均視聴率11.5%とまずまずの数字を残した。

そして今秋の第2弾。視聴率は前回を超え、さらに順調に推移している。
初回が12.9%と前シーズンより微増で始まった。そして第2回11.8%、第3回11.9%と安定的に推移し、第4回は13.6%と大きく跳ね上がった。前シーズンをかなり上回っている。

■好成績の背景

好成績の背景には、ドラマで提示される妊婦や医療関係者の迷いが、多くの視聴者にとっても"自分事"として共感できる点にある。
しかもそれらの迷いは、"究極の選択"というか"二律背反"というか、簡単に答えが出せない問題が大半となっている。視聴者はドラマの登場人物たちと一緒に考えさせられ、そして何らかの答えに辿(たど)り着くまでに、より大きな共感・感動と成っている点が強い。

例えば初回では、キャリアウーマンの彩加(高橋メアリージュン)が、「障害を持った子の出産・育児」か「自分が手掛けた仕事のプロジェクト」優先かで悩む。今や多くのキャリアウーマンにとって、切実な問題だ。また耳の聞こえない夫婦も登場する。「障害を持つがゆえ子育ては難しいので諦める」か「それでも産み育てたい」の選択で揺れ動く。やや典型的ではあるが、現実には極めて切実な問題である。

第2話では、子宮頸(けい)部腺がんの妊婦(土村芳)が厳しい選択を迫られた。
若いためにがんの進行は早い。おなかの中で十分に育っていない赤ちゃんを、どこまで母体に留めて成長させるのか。それとも母親の治療が手遅れにならないよう、早めに出産させるのか。
具体的には、28週で出産すれば母親のがん治療を早期に開始でき、生存の可能性が高い。しかし赤ちゃんへの負担が大きくなり、障害をもって生まれてしまう可能性が高い。逆に32週まで待てば赤ちゃんはより安全だが、母のがんが進行して手遅れとなる可能性が高い。
非常にシビアな決断が医師や家族に迫られた。

第3話でも、難しい二律背反が出てきた。
妊娠39週の妊婦(川栄李奈)は、親や友人に言われた迷信をすぐに聞き入れてしまう性格。心臓病を抱えているために、負担を軽減するため無痛分娩を医師からは提案された。ところが「自分のこと優先か?」などの周りの意見に、罪悪感を持ってしまい気持ちが揺れてしまう。
第1話から登場していた、障害を持った子を出産したキャリアウーマンの彩加(高橋メアリージュン)は、保育園が決まらず会社のプロジェクトからも外される。「赤ちゃんは自分の邪魔をする存在」とつい思ってしまい、母としても職業人としても失格と自信をなくしてしまう。実際は産後鬱(うつ)だが、当事者は容易にその泥沼から抜け出せない。

■第4回での揺れ

視聴率が一挙に2%近く上がった第4話では、帝王切開がメインのテーマとなった。
第1子を帝王切開で産んだ妊婦(安めぐみ)。その子は"魔の2歳児"になったためと思われる"イヤイヤ期"を迎えていた。言うことを聞いてくれない我が子で途方に暮れ、実は愛せていないのではないのではないかと不安になる。
そして、その理由の一つが帝王切開で産んだことにあると考え、次の出産はどうしても産道を通して産みたいという気持ちを高めてしまう。
妊婦の希望を優先してあげたいサクラ(綾野剛)と、ただでさえ人員不足なのに子宮破裂の危険があり、緊急事態を巻き起こしかねないトーラック(帝王切開後の自然分娩)はリスクが高すぎると考える四宮(星野源)は激しく意見が対立する。「態勢が整わないので帝王切開を強いるのは、本来の医療ではない」と主張するサクラの意見も、「現実の態勢が不十分なので、余計なリスクは軽減すべき」という四宮の考えも、どちらも一理ある。
納得できる出産とは何か。実際に妊婦経験のある女性も、これから出産を控えたり考えたりしている女性にとっても、とても切実な問題である。

結果としてドラマはどんな道を選んだのか。
完全無欠の理想論が出て来たわけではないが、プロセスの中に回答を求めるやり方は、多くの共感を呼んだことだろう。それが視聴率アップの要因だ。
やはり同ドラマは、現実で起こり得る難しい選択肢を前に、何を選ぶべきか視聴者に考えさせることで心を揺さぶり、さらに日本の社会を変える一歩になろうとしている。
実際に見た人々は、多かれ少なかれ、そうしたドラマ制作陣の志を感じ取るために高い評価となっていると見るがいかがだろうか。

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文責:次世代メディア研究所

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