ここから本文です

賞レースやバラエティ番組だけが芸人の活躍の場ではない。お笑いを志す者は、皆劇場のライブで研鑽(けんさん)し、経験を積み、頭角を現している。そんなライブを毎月40~50本主催、3000人以上を動員しているのがお笑い制作会社K-PROだ。

今テレビで活躍している若手芸人のほとんどが、このK-PROのライブで腕を磨いていると言っても過言ではないだろう。その代表である児島気奈さんは、芸人を後押しするだけでなく、お笑いライブ自体の魅力を日本中に広めていきたいと語る。

サムネイル

お笑い制作会社K-PRO代表・児島気奈氏


■にゃんこスター結成のきっかけにもなった?

――東京のお笑いライブシーンでK-PROの名前を知らない人はいません。テレビで活躍されている若手芸人さんのほとんどは、K-PROライブで腕を磨いてきた人ばかりだと思います。

児島: 「K-PROのスタンスは、あくまで<面白い人に出てもらう>なので、出演後にご活躍されるのは当たり前だと思っています。K-PROのおかげとかではないですよ(笑)。ただ、芸人さんが『違う所属事務所の芸人さんと絡むきっかけができた』と言ってくれることは、すごくうれしいですね」

――話題のにゃんこスターも出演されていますよね。

児島: 「まだにゃんこスターさんがそれぞれピン芸人として活動していたときに、ありがたいことに他のライブで『K-PROライブに全然呼ばれないじゃないか!』みたいなことを言ってくれていたんです。それで2人はコンビを組んで、K-PROのオーディションライブから参戦してくれたんです。そのままドンドン勝ち進んで、現在は一番上(のグレード)のライブのチャンピオン。結成から5カ月間、キングオブコントの準優勝までずっと階段を上っていった。勢いってやっぱりあるんですね。お客さんが2人の背中を押しているのを感じました」

■「全部、芸人さんのおかげです」

――K-PROは具体的にどのようなことを行っているのですか。

児島: 「現在K-PROは、都内を中心に月4、50本ライブを開催しています。メインのスタッフは、私含めて4人。あとは、作家志望の子とかで回している感じです」

――他のライブに比べてギャラが良いので、「K-PROのおかげでバイトしないで済む」という言葉を芸人さんから良く聞きます。正直赤字なのでは?

児島: 「赤字のライブ、実はあります(笑)。でも、出て欲しい人にはいくらでも払うというスタンスでやっているので、そこはなんとか工夫して、ちゃんと出演料は払っていくつもりです。劇場に立つ芸人さんにしっかりとした"価値"を付けていきたいんですよ。ただ、連覇する度に賞金が倍になる『トッパレ』っていうライブがあるんですが、ある芸人さんが5000円から1万、2万と勝ち抜き、8万円まで獲得したことがあるんです。そのときは、なんとか連覇を阻止しようと、片っ端からネタに定評のある芸人さんをブッキングしまくったことがあります(笑)。

経営状況を一番心配してくれるのは、実は芸人さんなんです。『こんなに俺たちにギャラ払って大丈夫? つぶれない?』って。そういうこともあって、芸人さんたちが一生懸命お客さんを呼んでくれるんです。そのおかげで口コミが広がって今のK-PROがあります。全部、芸人さんのおかげです」

――児島さん自身も、以前は芸人として活動していたことがあるとお聞きしました。

児島: 「トリオも組んでいましたし、ピンでコントもやっていました。ウケることの大変さも、スベッた時の心臓に来る感じも知っています(笑)。やりにくい舞台とやりやすい舞台があるというのは感覚的にはわかっているつもりなので、できるだけ良い空気にしようとは心がけています。今でも、前説なんかは私がやったりしていますよ」

■ネット世代とテレビ世代の芸人の違い

サムネイル
お笑い制作会社K-PRO代表・児島気奈氏


――2004年にK-PROを立ち上げてから13年以上がたちました。最近の若手芸人の傾向は何か感じますか?

児島: 「20代前半くらいの若い世代の芸人さんがすごく増えています。その世代が今までとちょっと違うのは、漫才やコントを子供の頃からインターネットでたくさん見てきたということです。だから自然と初めからうまい芸人さんが増えてきたように思いますね。それよりちょっと上の世代だと、NHK『オンエアバトル』など一部のネタ番組でしかお笑いを見ることができなかったですから。

あとは、賞レースに向けてネタを作っていく芸人さんや、テレビに"トーク"とか"趣味と実益を兼ねたキャラクター"で出るなど、売れるための目標を定めている方が多いですね。私がお笑いの業界に入った時は『芸人とは職業ではなく生き方なんだ』と思ったんですけど、今の若い世代はお金を稼ぐ職業として目指す人が多い。あと、何歳までに売れなければ辞めるとか、真面目な生き方しかできていない気がしますね。そこはもったいないと思います」

――注目している若手芸人はいますか?

児島: 「ワタナベエンターテインメントの四千頭身さん、人力舎の卯月さん、グレープカンパニーの東京ホテイソンさんの3組は、若手の中でも頭1つ抜けてる感じがします。私の場合、判断基準が舞台のみになってしまうのですが、舞台に立ったときのお客さんとの距離感の縮め方がうまいというところが共通している。あと、愛嬌(あいきょう)があって前のめりにチャレンジしていく精神があるところも良いと思います」

■「劇場の面白さは、テレビとはまた全然違う」

――児島さんはテレビに関わりたいとは思わないのですか?

児島: 「テレビに出させていただく機会はありますし、それを利用して若手芸人さんを知ってもらう機会にはしています。でもやっぱり根底はライブですね。劇場が好きなんですよ。今K-PROで一番大きなライブ『行列の先頭』は、アンガールズさんや三四郎さんなど、すでにテレビで活躍している芸人さんがたくさん出てくれる、すごく豪華なライブです。あれだけのメンバーが集まってくれるのは本当にありがたいことですよ。北海道や沖縄など、遠くから来てくれるお客さんもいるので、今後は『行列の先頭』で全国回ったりしたいですね」

――K-PROと映像配信サービス「GYAO!」が初タッグを組んだお笑いライブ「KinG LIVE」が11月12日に開催&ネット配信されます。

児島: 「テレビのバラエティ番組は私も大好きですけど、生で見るお笑いライブの面白さはまた全然違います。目の前のお客さんを笑わそうという芸人さんの迫力と、お客さんと一緒に面白い空気を作っていこうという臨場感は、本当に面白い。からだ全体、指先まで見ることができるのがライブのいいところだと思います。

今回「GYAO!」さんと一緒に「KinG LIVE」をやらせてもらえることになりましたが、そういう思いもあって、普段の劇場の様子をそのまま配信して全国の人へお届けするというコンセプトなんです。劇場に足を運ぶのって、最初は勇気が必要だと思います。それをいったん取り除きたい。まずは、気軽な気持ちで画面をのぞいて見てくれたらいいなと思います。出演者も自信をもってオススメできる芸人さんばかりです。本当に皆さんに見てもらいたい芸人さんたちです」

――今後の目標というのはありますか?

児島: 「ライブからお笑いのブームを起こしたいです。今まではテレビからブームが起きていましたが、今度は劇場からブームを起こしてテレビに影響を与えたい。今出ていただいている芸人さんの力ならそれができると思います。今回の『KinG LIVE』もそうですが、お笑いライブ、劇場からブームを起こして、お笑い界をドンドン盛り上げていけたらいいですね」

サムネイル
お笑いライブ「KinG LIVE」11月12日(日)19:30~21:00


「KinG LIVE」
日時:2017年11月12日(日) 19:30~21:00(予定)
会場:東京・新宿バティオス
料金:1500円
<出演者>
磁石 / ジグザグジギー / 馬鹿よ貴方は / ランジャタイ ほか

GYAO!ストア配信 スケジュール
生配信:2017年11月12日(日)19:30~21:00(予定)
アンコール配信:2017年11月16日(木)~11月19日(日)
販売期間:2017年11月1日(水)14:00~11月12日(日)20:00
視聴料金:972円

◆児島気奈(こじま・きな)
お笑いライブ・イベント制作K-PRO主宰。自身もお笑い芸人として活動した過去を持つ。2004年にK-PROを立ち上げ、現在では月に40~50本のお笑いライブを開催、プロデュースを行う。「M-1グランプリ」「キングオブコント」のファイナリストのほとんどがかつてK-PROライブに出演した経験を持っているほどで、芸人やファンからの信頼も厚い。
座右の銘は「気合」

(文/沢野奈津夫@HEW

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ