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ワケありの人生をやり直し、人もうらやむプチ・セレブな専業主婦を綾瀬はるかが演ずる『奥様は、取り扱い注意』。一見幸せに見える主婦たちが抱えるトラブルに首を突っ込む中で、ご近所の主婦トモ(広末涼子・本田翼)との友情や旦那(西島秀俊)の存在により、本当の優しさと温かさを知って行く物語に見える。

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『奥様は、取り扱い注意』の総合視聴率


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秋クールの全ドラマの中では、スタートからずっとタイムシフト視聴率で首位を取り続けているのが特徴。
悪い奴らをバッタバッタと倒す綾瀬はるかの見事なアクションの爽快感。加えて"セックスレス"や主婦トモの中での人間関係など、"主婦の悩みあるある"が"自分事"として見られる点。さらに西島秀俊を何とか"その気"にさせようとする綾瀬はるかの"お色気"戦略などが大きな魅力となっている。
タイムシフト視聴率1位とは、自分の"好きな時間"に"じっくり見たい""布石などが気になりもう1度見たい"と考える視聴者が多い、内容の濃いドラマの証拠といえよう。

■秀逸なオープニング

魅力の一つがドラマのオープニング。
そもそもシリーズ初回の冒頭、「料理教室」というタイトルで、「私が欲しいもの、それは穏やかな生活~」と綾瀬はるかの独白で始まりながら、舞台は中華人民共和国の某ホテルの一室。ここで繰り広げられる特殊工作員・綾瀬はるかのアクションが視聴者の度肝を抜く。
この格闘シーンでは、闘う前に手のひらで「来い! 来い!」とやるしぐさが出る。地面に身を屈めた足技で屈強な男たちを倒す場面も繰り広げられる。後々の基本パターンが、強烈な印象で視聴者の脳裏に焼き付けられているのである。
その直後は受付嬢として働くシーンと、アフター5の合コン。
ところが「5秒で倒せそうな男たちばかり」で、嫌気がさして帰ろうとした時、一目惚(ぼ)れの夫(西島秀俊)と出会う。手際よくドラマの前提が処理される様は、お見事と言わざるを得ない。

以降もオープニングは、定型化されることで視聴者の前提知識は準備万端となる。
「着付け教室」と題された第2話は、赤ちゃんの時に教会に捨てられ、牧師に拾われたシーンから。牧師は優しい子に育つようにと"優子"と命名したが、養護施設でガキ大将を倒すエピソードに続く。コメントは「(15年後に諸事情により)ある国家の特殊工作員になるのだが、そこら辺の話はまた別の機会に」と来る。
ここで閑話休題となり、着付け教室に通うシーンに転じ、現代の物語がスタートする。

「トレーニング教室」の第3話は、12歳で養護施設のボスになったエピソード。「一人で生きていくために、もっともっと強くなろう」と決意し、後に「ある国家の特殊工作員になるのだが、そこら辺の話はまた別の機会に」と続く。

「読書会」の第4話は、中学生で地元でも有名な不良になる話。
「太極拳教室」の第5話は、16歳で暴走族全員を倒し、町にいられなくなる話。ここまで全て「ある国家の特殊工作員になるのだが、そこら辺の話はまた別の機会に」とオープニングは締めくくられる。

■第6話の概要

「フラワーアレンジメント教室」と題された第6話も、定型化したオープニングはやはり魅力的だ。
16歳で暴走族を解散に追い込んだ主人公は、警察につかまったが鑑別所行きを免れ東京へ出ることに。その3年後、「ある国家の特殊工作員になるのだが、そこら辺の話はまた別の機会に」と続く。

主婦トモの冴月(酒井美紀)の家を訪ねた菜美。
そこには冴月の友達・靖子(芦名星)と千尋(原田佳奈)が門の前で待っていた。帰宅が遅れると冴月から連絡を受けた2人に言われるまま、菜美が冴月の家に足を踏み入れると、リビングに冴月の夫・達郎の死体があった。現場の状況から、菜美は何者かが達郎を計画的に殺害し、自分をアリバイ作りに利用したと直感した。

事件は開業医の達郎の資産を狙った強盗殺人かと思われたが、冴月に愛人がいた可能性が発覚し、マスコミは事件を痴情のもつれによる殺人だと報道。ところが菜美は冴月以外に殺人犯がいると確信する。
持ち前の観察力で"真犯人"の目星を付けた菜美は、自らの手で事件を解決するため行動を開始。冴月・靖子・千尋の3人にトンデモない過去があったことに行きつく。
キーワードは「一生忘れられない経験にしてあげる」。本来なら甘い愛の言葉なのだろうが、状況によって身の毛のよだつ非情な言葉に転じてしまう。脚本を担当する金城一紀らしい"酷な展開"となった。

■新局面を見せ始めた第6話

当シリーズは、1話1話は完結型となっているが、連続モノとしての展開も凝っている。
その一つが各話オープニングで見せているような、主人公・菜美(綾瀬はるか)の生い立ちと、特殊工作員を経て平凡な主婦になった経緯だ。
そしてもう1つ注目すべきは、菜美の夫(西島秀俊)の存在。
初回での二人の出会いは、菜美が生まれて初めて参加した合コン会場。「5秒で倒せそうな男たちばかり」で帰ろうとした時、入ってきた彼を遠くからしばらく見つめあい、2人は惹(ひ)かれ合うものを感じ結婚に至る。つまり夫は「5秒で倒せそうな男たち」とは異なるものを内に秘めていたことになる。
そして今回の第6話。
殺人事件の第1発見者になったために、菜美が事情聴取で警察を訪ねた際、夫は署員らしき男と親しそうに話をしていた。彼は「ただの大学時代の友人」と答えるが、そうであるならあえてそんなシーンを用意する必要はない。"第2の布石ですよ"と雄弁に語っているような場面だった。
間違いなく第7話以降で、夫(西島秀俊)の過去にスポットが当たって行くだろう。単に謎解きのために用意された展開ではなく、ドラマのメッセージに深く関わる存在と見るがいかがだろうか。

いずれにしても、タイムシフト視聴を多くの人がするだけのことはある。
いろんな要素が緻密に込められ、重層的に物語は展開している。その行間に作り手たちは何を込めようとしているのか。興味は募る一方だ。やはり秀逸なドラマと言える。

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文責・次世代メディア研究所

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