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これまで2000曲以上もの楽曲に詞を書いてきた松本隆。
以下の誰もが知る名曲・時代を彩る傑作の数々は、全て彼の手によるものだ。

「ルビーの指環」(寺尾聡:日本レコード大賞作詞賞)
「小麦色のマーメイド」(松田聖子:日本レコード大賞作詞賞)
「硝子の少年」(Kinki Kids)
「スニーカーぶる~す」(近藤真彦)
「ハイスクールララバイ」(イモ欽トリオ)
「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)
「探偵物語/すこしだけやさしく」(薬師丸ひろ子)
「魂を抱いてくれ」(氷室京介)

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イメージ画像(写真:アフロ)


もともとは幻のロックバンド「はっぴいえんど」の元ドラマーとして活躍し、その後作詞活動の他に著作も多く、映画も撮っている。御歳68歳とは思えぬ若々しさで、まだまだ進化を続けるその才能は衰えを知らない。
さらに今月には紫綬(じゅ)褒章を受賞するなど、その才能は日本の音楽界を代表する。
そんな巨匠が『サワコの朝』(MBS/TBS系全国ネット、土曜・午前7時半)に出演し、作詞をする上での極意やアドバイス、シンガーソングライターが書く詞についての正直な意見などを赤裸々に語ってくれた。

■天才作詞家が選んだ2曲とは

タレントの阿川佐和子がMCを務める『サワコの朝』では、毎回ゲストが思い入れのある曲を2曲持ち寄り、さまざまなトークを展開する人気の長寿番組である。

今回はゲストが作詞家の松本隆とあって、どんな選曲になるのか、大いに興味が持たれた。
作詞家としては、アイドルや俳優への作詞提供にとどまらず、世界中から支持を集めるジブリの人気アニメ『風の谷のナウシカ』までも手掛けている。在籍していたバンドの「はっぴいえんど」から数えて、彼の作詞家活動は、今年で47年にも及ぶので、彼の引き出しには何万もの音楽があるはずだ。
彼が選んだ「記憶の中で今もきらめく曲」は、プロコル・ハルムの「青い影」(1967年)。自身が高校生の時にはやったというダンスパーティーで、チークダンスタイムに演奏される曲だが、松本はドラムを叩(たた)いていたから踊れなかったという、淡い思い出が蘇(よみがえ)る曲だという。

そして2曲目は「今、心に響く曲」。甘いだけじゃない男女の複雑な心情を表現している点がお気にいりだというカエターノ・ベローゾの「So In Love」(2004年)。ダンディーな大人の色気を感じる曲の雰囲気がたしかに松本にマッチしている。

■シンガーソングライターは分業をしたほうが良い!?

「本を読んで語彙(ごい)を多くするしかない」
これから作詞家になろうとしている人たちに向けて、「詞を書くためにはどういった勉強が必要なのか」という阿川の問いかけに対する松本の答えだ。まずはボキャブラリーが豊富でないと、歌詞を書くというのは難しいことのようだ。
「どうすればそんなにヒットする歌詞、心に残る歌詞を書けるのか」という質問に対しては、歌謡曲の代表曲とも言える「木綿のハンカチーフ」を例に出して丁寧に答えた。
オシャレすぎて都会の人にしか受けないのではないかという音楽関係者のアドバイスを元に、地方の人にも曲を聴いてもらえるように工夫して作った点がヒットにつながったという。こうした松本の鋭い着眼点は、音楽に限らず多くのジャンルでヒットを生むためのヒントがある。

しかし、シンガーソングライターが書く詞についての話題になると、発言はにわかに厳しくなった。
「良い詞を書く人っていうのは本当に少ない。10人位しか居ない」
「詞を書くというよりかは、埋めるだけの作業のように感じる。こういった作り方だとこの先もたない」
「分業したほうが良いと思っている」
真摯(しんし)に作詞に向き合い、今も情熱が絶えないがゆえの厳しい本音と感じた。

■記憶に残る曲を作るには

松本が作詞をする時に使う単語一つ一つは、簡単で意味も分かりやすいものばかりだ。
「一行ずつ簡単な言葉を並べてるんだけど、(行ごとに)上手にズラしていく」「行の比喩って言ってたんですが......」と、"言葉を操る天才"松本は明かす。簡単な言葉からなるフレーズだが、意味の捻りや飛躍が人々の記憶に残る曲となり、後世にも歌い継がれていく名曲になって行くようだ。

「ルビーの指環」を使ったこの説明は、短い放送時間の中でも十分に納得できる。
他にも「歌詞は曲の背景になる場所を想像して書く」という作り方も紹介している。確かに彼の曲はパッと聴いただけでその曲の情景が浮かぶものが多い。「冬のリビエラ」(森進一)、「渚のバルコニー」(松田聖子)などは、まさにその典型だ。
「ありふれたモノに命を与えたりするのが好き」と語る松本だが、人の記憶に残る曲の原点は、作品への愛情や真心を持つということから生まれていくのだろう。「木綿のハンカチーフ」(太田裕美)がその典型だが、こうした名曲に込められた作詞家の知恵は、一聴の価値がある。

フリーライター 田島 春
監修・次世代メディア研究所

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