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毎回、衝撃の展開に「本当の犯人は誰なのか?」と、次の展開を待ちわびて来たが、ついに最終回を迎えた『ブラックリベンジ』。
読売テレビが制作する日本テレビ木曜23時台「プラチナイト」枠での『木曜ドラマ』だ。
ここまでの視聴率は3.7%で始まり、途中一度だけ2.8%があったが、他は全て3%台と安定していた。視聴者の興味関心をずっと引っ張り続けた上質の"スキャンダル"サスペンスだったと言えよう。

サムネイル

イメージ画像(写真:アフロ)


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■真犯人

真の犯人は、前回から怪しい雰囲気を匂わせていた主人公の過去に関わる人物だった。はっきり言って、すごいストーリーだ。
"復讐"というモチーフをここまで複雑かつ巧妙に、とことんドロドロに書き上げる脚本家・佐藤友治のワザと筆力を見せ付けられた。

最近のドラマは、マンガや小説を原作としたものが多い。こうした作品であれば、ネタバレやあらすじなどから、ある程度結末の予想がついてしまう。ところが今回の『ブラックリベンジ』は、完全なオリジナル作品。シナリオも展開も、最後まで全く予想ができない。そのスリルとワクワク感も、このドラマならではの醍醐味(だいごみ)だったと言えよう。
さらに"スキャンダルで復讐をやり遂げる"という、見る者の好奇心を掻(か)き立てる、とても人間らしい切り口で来た。人間のもっとも汚い部分にアプローチすることによって、最後まで視聴者の心をわしづかみにして離さなかったのである。安定した視聴率は、こうした手法によるところが大きかった。

■最終回の概要

前回の第9話では、『週刊星流』の編集長・福島(佐藤二朗)が、今宮沙織(木村多江)を呼び出し、「よく見てろ。おまえが俺を殺したんだ」と言って、屋上から飛び降り自殺した。その夜、沙織は、自分の手が血だらけで、顔じゅうが血まみれになる幻覚を見ていた。

5年前の捏造(ねつぞう)記事を福島に書かせたのは、寺田圭吾(高橋光臣)のスキャンダルをねつ造させ、飛び降り映像までも提供していた糸賀朱里(鈴木砂羽)だった。
沙織がずっと心のよりどころにしていた精神科医の朱里が、捏造(ねつぞう)スクープの主犯格だったことを知って愕(がく)然とする。しかも朱里のクリニックで妹の綾子(中村映里子)の死体に出くわす。そして真っ赤な花びらに埋もれた綾子の手の中に一枚のメッセージカード。
「私の事、思い出した? 思い出せなかったら、悠斗(佐藤令旺)君を殺します。25年前、あなたがそうしたように」
これを読んだ沙織は、25年前の記事を見つける。当時通っていた恵蘭女子中学校の屋上から飛び降り自殺した北里玲奈の記事である。
中学校を訪れることによって、25年の記憶が少しずつよみがえる。自殺した玲奈が、入山灯里と見つめ合ってキスするところを沙織は目撃していた。そして何の気なしに友達に話したことがきっかけで、二人はクラス中から好奇の目で見られるようになり、玲奈は登校拒否をしていた。そしてその後、玲奈は学校の屋上から飛び降り、命を絶ったのだった。

悲しみに暮れる入山灯里こそ、名前を変える前の糸賀朱里だった。
苦しみと悲しみから生まれた復讐の念。朱里は沙織に同じ苦しみを味わわせるために、チャンスを待っていた。そして沙織に最愛の人・寺田圭吾(高橋光臣)ができると、復讐劇を始めた。ところが、やればやるほど一時的な快感を得るが、"復讐"のどす黒い渦に飲み込まれていく。
実は沙織も夫を失った後に、復讐をすればするほどその恨みにとらわれ、どす黒い渦に飲み込まれていた。朱里も沙織も、同じ苦しみを味わっていたのである。
最後に朱里が、沙織に課した最大の罪とは......
"復讐"の負のスパイラルは、どこに行きつくのか。

■物語のメッセージ

第1話から衝撃的な映像とともに劇的な展開を重ねて来たが、謎の真犯人が明らかになったところで、スッキリしない結末を迎えることになった。
"復讐"が"復讐"を呼び、その邪悪な念に囚われた者は、決して幸せにはなれない。
苦しみから逃れるために仕返しをしても、報われることはない。罪と罰の連鎖には、救済が待っていてくれない。物語が最後に示す強烈なメッセージとは、こんな感じだろうか。

またスクープ報道の怖さというメッセージにも、真実味と迫力があった。
出発点は、沙織が目にした女子中学生2人だけの秘密。それを「ただ友達に話しただけ」という悪気のない小さな行為だった。ただし発信した側には、大した意味もない軽い気持ちでも、うわさの的になってしまった当事者は、どれほど大きな影響を受け、苦しみに苛まれたことか。
捏造(ねつぞう)か事実かに限らず、伝えること・報道という行為の影響力と暴力性を、見事なまでに撃ったドラマだった。

物語の中でバタバタと登場人物が死んでいき、ほぼ全員が「飛び降り自殺」という気持ち悪さ。しかも物語は「飛び降り自殺」に始まり、「飛び降り自殺」で終わる。
最後に残ったのは、沙織と夫の子供の悠斗だけ。この絶望と暗闇の渦の中で、唯一の救いは飛び降りた福島が奇跡的に生きていたことだった。つえをつき足を引きずらせながら、悠斗と一緒に穏やかな笑みを浮かべる沙織の姿をカメラで写真に撮る。ところが最後に、その写真を消去してしまう。
恨みや復讐の連鎖から、福島は解放されたことを意味するのか。

映像的にもストーリー的にも、ゴールデンタイムでは放送しにくいドラマだが、コンセプトや構築性にしっかりとした意志があり、見る者をがっちり捉えた作品だった。
完璧に演じきった木村多江・佐藤二朗・鈴木砂羽ら俳優陣、強烈なテンションを保ち続けた脚本と演出、そして底の見えない沼のような抽象画のような暗雲を演出した若き音楽家・大間々昂に、感服である。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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