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今シーズンの代表的人気ドラマ『コウノドリ』の最終回が放送された。
平均視聴率11.5%だったシリーズ1に対して、シリーズ2は11.9%と微増し、今年10月クールのドラマの中では4位につけた。
また録画再生などタイムシフト視聴率では、平均10%ほどで3位争いを演じている。ライブ視聴より好成績で、自分の好きな時間にじっくりみたい濃い内容のドラマだったと言えよう。

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Actor Go Ayano speaks during the launch event for 8 new mobile devices for the summer lineup on May 24, 2017, Tokyo.(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


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■ドラマの魅力

出産をテーマに描いているが、出産だけをクローズアップしている物語ではない。
周産期医療では避けて通れない"課題を抱えた出産"に直面する妊婦、その時の夫婦や家族にも焦点をあて、"命の誕生"からその未来も含めた現実を映し出している。
「フツウの暮らし」からは理解しにくい、非日常ではあるが"確かな現実"を取り上げることによって、ともすれば社会の影に埋没してしまいそうな人たちに、共感と勇気を与えている。そして「スポットをあてることで、一般社会のマイノリティに追いやってしまうリスクを少しでも減らすことができるのはないか」という作者の思いが込められた物語でもある。
しかもドラマ『コウノドリ』の最大の魅力は、それぞれの役者たちがドラマの役になりきり、その演技により"ペルソナスタッフ"の団結感、家族のような温かい雰囲気が出ていた点だった。それらは見る者に安心感と安らぎを与えてきた。
毎回のテーマは重く、簡単に答えが出るものではない。それでも"命"について考える時、シリアスになり過ぎることなく、安心とリラックスした開いた心で向き合うことを可能にしてくれる不思議なテイストのドラマだったのである。

■最終回の概要

11話目となる最終回では、鴻鳥サクラ(綾野剛)は、出生前診断でダウン症候群と診断され、悩んだ末に産むことを決意した透子(初音映莉子)と向き合っていた。もともと夫婦は、事実を受け入れることや将来の不安に戸惑っていた。
そんな透子は不安を打ち明けるため、ペルソナを訪れた。今橋(大森南朋)は透子に、「ようこそオランダへ」という詩を手渡す。
この詩は1987年に書かれたもの。実際にダウン症候群の子供を持つ母親による作品で、道徳的にも詩的にも美しい韻文となっている。

一方四宮(星野源)は、産科医の父・晃志郎(塩見三省)が亡くなり、父の意志を継いで能登に戻るか、ペルソナに残るか迷っていた。そんな四宮に気づいたサクラは、ある人物に四宮を会わせる。
小児科医の白川(坂口健太郎)は、さらなるステップアップを目指し、別の病院で働きながら学ぶことを選び、その旅立ちの日が近づいていた。
白川の同期で、学生時代からともに励まし合いながらやってきた下屋(松岡茉優・まつおかまゆ)は、白川にどんな言葉をかけるのか。
そして、ペルソナチームに最大の危機が訪れる。
助産師の小松(吉田羊)の同期の武田(須藤理彩)が、無事赤ちゃんを出産したが......

■我が子が障害を持つということ

「あなたのおなかの赤ちゃんが、ダウン症候群だったら、あなたは産みますか?」
10話と最終回で提示されたテーマは、とても大きな決断を迫られる問題だ。ヒューマニズムの視点で言えば、たとえ障害を抱えていても命は尊い。それでも障害を抱えたまま一生涯育てていくには、経済的・物理的・精神的な負担は小さくない。両親が死んだ後、残された子供の面倒は誰がみるのか。きれいごとや理想だけでは、現実は成り立たないのである。
健常な子供を一人育てるのだって、決して簡単ではない。ましてや障害を抱えた子供となると、健康の問題、成長の問題、世間の目など、親の負担は重くなるばかりだ。

産むか、産まないか、そのどちらを選択しても、他人にそれを批判することはできない。
10話でサクラは、次のように発言していた。
「平等であるはずの命を選別してはいけない。その通りだ」
「けど命の選別。その言葉に皆がとらわれてしまっていて、お母さん、お父さん、家族、その事情には目が向けられていない。それぞれの事情の上に命は生まれてくる。育てていくのは家族なんだ」
「赤ちゃんを産んだ人、産まなかった人......どの選択も間違ってない。いや、間違ってなかったと思えるように、産科医として家族と一緒に命に向き合っていく。それが僕たちにできることなんだ」

■シーズン3への期待高まる

「出産は、奇跡だ」
時々サクラから発せられたこの言葉は、同ドラマの根底に流れる命を尊重する姿勢だ。
何の疾患もない赤ちゃんの出産でも、母体が予期せぬ危険にさらされることがあり、それが赤ちゃんや母の生死に関わる場合だってある。
最終回では、キャリアを積んだ助産師の出産で、まさに緊急事態が起こった。"出産は奇跡"を最後の最後で再認識させる構成は見事としか言いようがない。

そして"ペルソナチーム"を構成してきた綾野剛・星野源・吉田羊・大森南朋・坂口健太郎・松岡茉優・宮沢氷魚などは、それぞれ次のステップに向かって歩き出した。
激務も厭(いと)わず技術や知識向上のためステップアップを続ける医師やスタッフの存在は、本当に頭が下がる。
患者や家族だけでなく、医師やスタッフの人生も同時に描く、生きている人間すべてのドラマだった『コウノドリ』が最終回を終え、"ペルソナチーム"が見られなくなってしまう寂しさはとても大きい。
さらにエモーショナルでクオリティの高いピアノ音楽を提供した清塚信也氏も素晴らしかった。ヴァイオリンやチェロの生きた音色、色彩豊かで鮮度の良い音楽は、このドラマに絶大な効果をもたらせていた。
『コウノドリシーズン3』となる続編を、ぜひ実現させていただきたい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所 

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