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残すところ、2017年もあとわずか。1年の締めくくりといえる「NHK紅白歌合戦」の放送も迫ってきた。年々、さまざまな趣向を凝らしている紅白だが、第68回を数える今年はどういった見どころがあるのだろう? そこで、前年に引き続き番組の制作統括を務める矢島良チーフプロデューサー(以下、CP)に取材を行い、主に三つのテーマについて語ってもらった。その2では、今年の「紅白」をいかに進化/深化させていくかを聞く。

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(C)NHK


【特集】「第68回NHK紅白歌合戦」(Yahoo!テレビ)>>

──昨年はタモリさんとマツコ・デラックスさんがNHKホール内をさまようというメタフィクションが展開されたり、話題となった映画「シン・ゴジラ」の襲来を歌の力で止めるといったライブ感を意識した演出がありましたが、今年はどのようなチャレンジを考えていらっしゃるのでしょうか?

「『夢を歌おう』という継続テーマで2年目の紅白になるわけですが、やはりライブ感というところは引き続き課題だと思っています。大みそかの夜、1年が終わるという大切な時間にお付き合いいただくので、ここでしか見られないものをお届けしたいですし、その場で起こっている事象をお伝えすることを大事にしよう、と。そういった中で、現場で掲げているのが"エモい紅白にしよう"というテーマでありまして。すなわち、視聴者の感情に訴えかけるコンテンツにしたいねという共通意識のもと、取り組んでいます。出場歌手の歌声そのものが生ですし、歌そのものが聴く人の感情に訴えかけるものなので、テレビではあるけれどもダイレクトに伝わる演出にこだわりたいと思っていて。そのためにも、事前に各出場歌手の皆さんによる歌の魅力を認識していただけるような番組づくりを、と考えています。総合司会に起用した内村光良さんには、紅組司会の有村架純さん、白組司会の二宮和也さんとともに、その一端を担っていただきますが、ご自身も音楽に対してリスペクトを払っていて、お茶の間から支持を集めていらっしゃる方だからこそ、歌の素晴らしさを広く訴求できるのではないかと、期待している面が多分にあります」

──ライブ感という面では、いわゆる曲間のMCにもそれを求めていくということでしょうか?

「そうですね、さまざまな番組での司会経験が豊富で達者な内村さんがいることによって、その場で起きていることに対するリアクションといったアドリブ感を交えつつ、ビビッドに伝えていっていただければと思っています。紅白というのは不思議な番組で、4時間半の枠組できっちりつくろうとすればするほど、ライブっぽくなくなっていくところがあって。なので、相反する......事前に用意した伝えるべきコメントと、生放送で起こっている出来事の"接着点"を、内村さんには探っていただければと思っています」

──生放送ならではのドキドキを感じさせつつ、しっかり進行していくといったような?

「事件性とまでは言わないまでも、その瞬間にステージで起こっていること、そこにいる歌手の方の表情一つから受け止めて伝えていくということを、丁寧にしていきたいな、と。それが先ほど申し上げた"エモい"というところにつながっていくと考えています」

──これを大みそかの本番前に聞くのは無粋と承知していますが、どういった化学反応が期待できそうでしょうか?

「詳細は諸々が決まってからでないとお話できませんが(笑)、本職であるお笑い芸人としての内村光良さんがどう存在感を示されるのかといった部分は期待していただけるのではないかと。また、1年を締めくくる番組ですので、2017年をにぎわせた方々には、ぜひご登場いただきたいと思っておりまして。これまた、具体的な名前を挙げるわけにはいきませんが、できるだけ話題を呼んだ方々には紅白を盛りあげていただきたいなと考えています。口幅ったいですけど、紅白と1年を通じてご活躍された方々とがどのように絡むのかというあたりを、楽しみにしていただければと。それこそ、ほかの番組ではできない、紅白ならではの挑戦がそこにはあるとわれわれも思っていますので、気を引き締めて取り組む所存です」

──はい、期待値のハードルを上げて大みそかを待とうと思います。なお、例年、2月くらいから反省会を兼ねたスタッフミーティングを行い、その年の紅白プロジェクトが進んでいくと昨年のインタビューでもお話されていましたが、やはり今回も......?

「はい、そこは変わりなく(笑)。6月くらいに主要スタッフが決まったんですが、あらためて昨年の録画を見て、調査会社を通じて浮き彫りになったリアクションを分析しつつ、前年より良い番組をという姿勢で、何が足りなかったかという観点で見直していって。その上で、今年の紅白はこんなことをしてみようという演出のアイデアを、夏ぐらいから出し始めていって。先ほども例として挙がりましたが、番組と同時進行的に展開されるタモリさんとマツコさんのコーナーといった4時間半という長尺をうまく利用した企画を、今年はどういった可能性で探れるだろうかといったことを話し合うなどして、少しずつ形を整えてきたという感じですね」

──なるほど。それと......昨年の放送直後も話題になりましたが、採点方法が若干分かりづらかったという点については、どのように対処なさるのでしょうか?

「確かに、採点の方法が視聴者の方々に分かりづらかった点があったことについては、しっかり反省して今年に反映させようと考えています。そのようにして課題と向き合う中で、"そもそも『紅白歌合戦』とは何だろう?"という基本に立ち返ったんですね。結果、すごくアナクロと言いますか......どういうモチベーションなのか分からないけれども、紅組と白組に分かれて歌合戦をするという、シンプルな構造ながら天才的な発明だと、あらためて認識したんです。歌い手の方々は『何が何でも相手を負かしてやる!』と歌っているわけではありませんけれども、何となく番組を見ていただくモチベーションとしては、『どちらが勝つんだろう?』という勝敗の行方があるのかなと、意識した部分があって、昨年の紅白である種、実験的に採点方式にとりいれたところがあるんですね。それが物議をかもしてしまったわけですが、視聴者の皆さんの興味は、勝負にも向けられているのだな、と。故にデジタル放送を通じて投票してくださるわけですし......そう考えると、カタルシスのある、納得していただける落着へと導かなければならないと、再度気を引き締めました。なので昨年の反省を踏まえて、より分かりやすい採点方法を定めて、しっかりとした説明をと思っております」

──その一方、まさに番組の構造そのものが象徴していますが、「ここは変わらない」という部分は、どういったところでしょうか?

「まさしく、紅組と白組が歌によって対抗戦を行うところは、司会進行のスタイルが変わろうとも不変であって。そこから分解していきますと、紅白は『歌合戦』なので歌番組なんですよね。つまり歌がメインであって、歌によってさまざまなことを伝えていくという姿勢は変わらないのかなと考えています。近年はバラエティー番組が全盛で、歌番組は減少の傾向にあるのが現状です。ニーズとして、もっとバラエティーの要素を増やしてほしいといった声も聞かれますが、根本は歌番組であって、素晴らしい歌をお茶の間に届けるんだという主軸は、いつの時代であってもブレてはいけないと思っているんですね。そこを踏まえて、紅白ならではというところで言いますと、若くて勢いのあるJ-POPのアーティストに目を向ける一方、伝統的な演歌や歌謡曲も大事にしていきたいという思いがあります。ジャンルにかかわらず、日本全国津々浦々に広まっている歌をきちんとフォローして、あらためてお届けできればと。流行の歌だけではなく、名曲として歌い継がれている"日本人の心に残る歌"も網羅してこそ、紅白ならではじゃないかと思うんですね。若い人からベテランまで、ジャンルを超えて一堂に会するぜいたくさが、紅白を紅白たらしめているのではないかという気が、個人的にはしています」

【ミュージックビデオ】紅白出場アーティストの映像を配信中>>

取材・文=平田真人

【番組情報】「第68回 NHK紅白歌合戦」 NHK総合 12月31日 午後7:15~11:45(中断ニュースあり)

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