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石原さとみ主演のTBS金曜ドラマ『アンナチュラル』が初回視聴率12.7%と好調なスタートを切った。
前クールの『コウノドリ』では、綾野剛・星野源・坂口健太郎らイケメン揃(ぞろ)いの医療現場で、"出産"をテーマに感動のヒューマンドラマで話題を呼んだ。
年明けての今クールでは、同じ医療の現場ではあるが、石原さとみが「不自然な死は許さない!」と、"法医解剖医"の役に挑戦する。

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Satomi Ishihara attends a press event for the new Prius PHV on February 15, 2017, Tokyo, Japan. (写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


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■盤石なスタッフ

まず目につくのはスタッフの盤石さ。
脚本は多くの話題作を手掛けてきた野木亜希子。『ラッキーセブン』(12年冬)・『空飛ぶ広報室』(13年春)・『掟上今日子の備忘録』(15年秋)・『重版出来!』(16年春)と来て、16年秋の『逃げるは恥だが役に立つ』が大ブレークした。
今回はオリジナル脚本を書き下ろすので、最後まで予想不可能なところも魅力だ。

制作プロデューサーは新井順子。『夜行観覧車』(13年冬)・『Nのために』(14年秋)・『リバース』(17年春)と、湊かなえ作品で定評がある。
また演出の塚原あゆ子も、湊かなえの3作品で新井Pとタッグを組んだ他、『重版出来!』(16年春)で野木脚本を映像化している。クリエイターとして互いによく知る3人の女性パワーが集結するドラマと言えよう。

音楽は、ドラマ音楽といえば今や"ワンミュージック"と言っても過言ではないほど、若手実力派をそろえた事務所の得田真裕が手がけている。『花咲舞が黙ってない』(14年春&15年夏)・『きょうは会社休みます。』(14年秋)・『家売るオンナ』(16年夏)・『カンナさーん!』(17年夏)など、やはりヒット作・話題作を多く手掛けている。

■石原さとみの新境地!?

清純派のイメージが強い石原さとみのドラマなので、正直、彼女だけがヒロインとなり、共演者は脇役的なドラマなのかと予想していたが、その期待を見事に裏切ってくれた。

まず"7K"と言われる法医学者の仕事だが、一体"7K"とは何か。
「きつい」「汚い」「危険」がまず"3K"。さらに「規則が厳しい」「休暇がとれない」「化粧がのらない」「結婚できない」の"4K"がプラスされて"7K"とのこと。
なるほど、第1話を見終わると、妙に納得できる。
その"7K"を、主人公の法医解剖医・三澄ミコト(石原さとみ)と臨床検査技師・東海林夕子(市川実日子)が、あっさりサッパリと演じている。

ミコトの潔さ・誠実さ・まじめさ・仕事に対する責任感などは、凛(りん)とした核を持っていなければ演じられない。その意味では、『シン・ゴジラ』のカヨコ・『失恋ショコラティエ』のサエコなどでの"高飛車な一面"、『地味にスゴイ!』でのコウエツの"ひた向きな一面"をうまく演じて来た石原さとみにマッチしている。何と言っても思いっきりの良さが功を奏して、31歳になった彼女の新たな魅力がうまく生かされていると言えよう。

■味のある共演者

共演者も味がある。
まず臨床検査技師・東海林夕子役の市川実日子。演技の幅が広く、誰にもまねのできない個性を出しながら、自然な演技が魅力だ。
次に記録員・久部六郎役の窪田正孝。『リバース』(17年春)では、謎めいた役を藤原竜也と見事に演じきり、端麗な容姿・演技ともに楽しませてくれた。今回もおとなしそうで世間知らずの雰囲気を醸し出しながら、行動は大胆で"意外なバクダン"と言われるおもしろいキャラを演じている。
そして「不自然死究明研究所(UDIラボ)」のもう一人の法医解剖医・中堂系(井浦新)。ミコトとは対立関係にあるが、真相解明のためにミコトの手助けをさりげなくする。
アンカーマン的存在は、UDIラボの所長・神倉保夫役の松重豊。『孤独のグルメ』でお馴(な)染みだが、飄々(ひょうひょう)としていながら、重要な局面ではブレることのない頼もしい上司となっている。

それぞれの個性は、色とりどりでありながら、チームになるとお互いをリスペクトした最強の輪が出来上がる。リズム感と躍動感のある脚本を俳優たちがセリフに変えて、正義の真実を究明していくテンポの良い言葉のキャッチボールが、見ていてとても気持ちが良い。

■骨太なメッセージ

医者不足と言われる中、これだけ多くの医療系ドラマが放送されているが、"法医解剖医"というさらにマイナーな分野に的を絞り、解剖率最低の日本の現状をドラマの形で訴えていくことは、とても大事なことだ。
華やかで稼げる仕事だけに夢を抱いても、日本の未来は変わらない。

<死に向き会うことは、生と向き合うこと> 
脚本家の強いメッセージが、作品に命を吹き込む。

国際的にも高い評価を受け、数々の賞を受賞した2008年の映画『おくりびと』もそうだった。
"葬儀屋"というマイナーな職業を丁寧に描き、死と向き合うことで、生きることを実感する素晴らしい作品だった。
この『アンナチュラル』を通して、もう一度、生きる者、残された遺族、生きることに向き合い、日本の社会を見直すきっかけになれば、と願うばかりだ。

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コラムニスト: はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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