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"馬鹿馬鹿しくも美しすぎる家族愛"をテーマにした『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』。
全員東大卒の三大エリート兄弟は、長男が天才肌の心臓外科医の博文(小澤征悦)、長女は司法試験を首席合格した弁護士の知晶(波瑠)、そして次男は警視庁エリート警察官の秀作(山田涼介)だ。
その三兄弟を育てた父・泰蔵(中村梅雀)は一躍有名になり、本がベストセラーとなった。難関私立中学・下沢学園の理事長をしている。
そんな一家は、確実にトラブルを解決する。
職業や倫理に捉われることなく、トラブルの解決と家族の幸せを最優先する。それゆえに秘密の家族会議でひねり出された奇想天外な方法はユニーク極まりない。愉快痛快な"どコメディ"なホームドラマである。

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Haru, attends the 33rd National Urban Greenery Fair Yokohama pre-event on January 19, 2017, Tokyo, Japan. (Photo by Rodrigo Reyes Marin/AFLO)


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主人公は次男の秀作(山田涼介)。出来過ぎの長男と長女には、いつも落ちこぼれ扱いされるが、秀作の強すぎる正義感が、物語に奥行きを与えている。

冒頭の家族晩餐(ばんさん)のシーン。
神妙な面持ちで、信頼する執事にまで「席を外してほしい」と言い、自分の身に起きたトラブルを打ち明ける父・泰蔵(中村梅雀)。彼の話を聞き真剣に解決法を考える三兄弟だが、厳格な父の失態を知って失望する秀作の顔芸が何ともオモシロい。
裸の写真を撮られた父の写真も、出すタイミングも、役者のリアクションも、「よく笑わないで演じられるなぁ」と感心するほどだ。

下沢家というより、"下沢邸"と呼んだ方が適切な豪邸の大正時代のシックな建築様式の家で起きるには、あまりにも不釣り合いなコメディータッチの演技が、まるでシチュエーション・コメディを見ているようで楽しい。
刑事ものや医療系などシリアスなドラマが多い中、久しぶりに「笑うぞー!」と言いたくなる"どコメディ"だ。初め2分でひと笑いし、期待はどんどん高まり、ワクワクしていくような展開だ。ところが"ゲラゲラ"笑えるのに、どこか上品さを忘れない。
お金持ち一家が舞台だからか?
登場人物の職業がエリートだからか?
それもあり得る理由の一部だが、本当の理由は、別のところにあるのではないか。
それは、ドラマに使用されている音楽だ。

パガニーニ作曲の「24のカプリス」というヴァイオリンの情熱的な曲が流れる。
やはりヴァイオリンのソロは、その音だけで存在感があるし、気品と美しさ、強さや情熱が曲に込められた演奏が巧みで美しいから、さらに曲が引き立つ。気になるヴァイオリンの演奏者は、高嶋ちさ子と知って、「なるほど納得!」と得心した。

そしてこの古典的で情熱的なモチーフをアレンジしたバージョンも、洒落(しゃれ)ている。
こちらを手がけたのは、ワンミュージックの得田真裕だ。今クールは『アンナチュラル』の音楽も担当しているほどの売れっ子だ。もうワンミュージックの勢いは、留まるところを知らない。
アレンジの仕方もおもしろい。どんどんグルーブしながら、ドヴォルザークの新世界のような上行する弦の刻みを入れたり、オーケストラとピアノを組ませたり、と本格的でシンセには出せないアコースティックの良さは、一目瞭然だ。
ドラマ音楽としての効果音にはシンセも使用しているが、シーンの効果的使用と、聞かせる音楽を見事に使い分けているところも、興味深い。

物語はテンポよく進み、時間はあっという間に過ぎていく。
「トラブルは解決するのか否か?」スリリングでワクワクするストーリー展開だ。しかも笑いもあり、さらに何が待っているのか、期待が膨らむ仕掛けがある。

NHK連続テレビ小説『あさが来た』以降、着々と実力派女優の座をつかんでいる波瑠。
存在感と豪快さを持つ小澤征悦。前クール『トットちゃん!』では、インドのハーフ役がユニークだった。
NHK大河ドラマの常連だが、今回は曲者(くせもの)を見事に演じる中村梅雀。
執事役が板につく浅野和之。これからどう弾けていくか期待される。
ドラマや映画に引っ張りだこの千葉雄大。今回も相変わらずチャーミングだ。
そして奇麗な美顔で顔芸まで楽しませてくれる山田涼介。
彼らの演技が一つの大きな輪となって、舞台を見ているようで見ごたえがある。ラストシーンに、実の新たなトラブルの予感がちらりとのぞけ、次の第2話もとても楽しみだ。
今クールの中では、とてもユニークなドラマとなりそうだ。期待したい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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