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2014年春に人気を博した『マルホの女~保険犯罪調査員~』。
名取裕子&麻生祐未(あそう・ゆみ)がコンビを組み、アップテンポな会話劇と本格的な謎解きで視聴者を魅了した。その二人が金曜8時に『特命刑事 カクホの女』で帰ってきた。
今回は名取裕子が元警視庁人事部のエリート警官・北条百合子。そして麻生祐未が現場叩(たた)き上げの刑事・三浦亜矢。対照的な二人が同じ捜査現場で犯人確保に奔走する。

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イメージ画像 警察(ペイレスイメージズ/アフロ)


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■コンビの魅力

名取演ずる北条百合子は、おっとりした雰囲気を醸し出すマイペースな書斎派。一方、麻生演ずる三浦亜矢は、クールで勝ち気な体育会系。二人はまさに"水と油"ともいうべき関係だ。
しかも互いの得意分野や捜査の手法も異なる。名取の武器は、"内勤"&"人事"のキャリア。データなどを駆使し、犯人逮捕に向け外堀から攻める。かたや麻生は、現場でずっと事件と戦ってきた叩(たた)き上げ。"刑事の勘"では誰にも負けない。
二人の個性と手法がうまく混ざり合った時、想定外の効果を生みだす。そして従来にないノウハウとパワーで、無事に犯人を"カクホ"していく、エッジの効いたサスペンスエンターテインメントのようだ。

■高コスパのドラマ!

テレビ東京の金曜夜8時という、まさに"お茶の間タイム"の刑事ものとなれば、対象視聴者が自ずと見えてきそうだ。
早めの夕飯を済ませて食後の日本茶を飲みながら、「いつものサスペンスを見よう」という常連たち。水曜日は『相棒』、木曜は『科捜研の女』、そして金曜はこの『特命刑事 カクホの女』というところだろうか。
番組のテイストもどこか懐かしい感じがして、ずっと前から見ていた定番のような安心感があるのはなぜだろうか。明暗を際立たせない映像の光の配分と質感。先端の流行を追わない俳優の服装。近代的なビルや建物が並ぶ大都会的なスタイリッシュな街が出てこない。住宅街が映るとしても古い団地だったり、開発中などではない旧市街地をシーンの背景に使うことによって、昔ながらの風景が中高年の視聴者に安心感を与えているのではないだろうか。
テレビドラマのサスペンスを、長年楽しんできた視聴者の保守的な嗜好(しこう)と楽しみ方を、安直に奪わないための配慮なのではないか。サスペンスファン獲得の戦略なのか、それともサスペンススタイルの暗黙のスタンダードパターンなのかは断言できないが、結果として効果は十分に出ていると感ずる。
事実、初回の視聴率は7.7%。この冬にスタートしたGP帯(夜7~11時放送)ドラマ11本のうち8位。トレンドの人気俳優を一切使わず、これだけ地味な作りでこのポジションを"カクホ"するとは、コストパフォーマンスでは間違いなく上位に入るドラマといえよう。

■効果音楽の魅力

音楽は羽岡佳が手がける。
テレビドラマの劇伴を中心に、映画音楽やアニメ音楽も数多く手がけている。東方神起・タッキー&翼・Fairy Storyなどにも楽曲を提供している。
作曲スタイルは五線紙に書くのではなく、パソコンの楽譜作成ソフトを使うのだそうだ。
クラシックで作曲する場合、多くの作曲家は五線紙に音符を書き込み、ニュアンス・テンポ表示・曲のキャラクターなど、作曲家の意思が楽譜に記されることがほとんどだ。
一方、パソコンで作曲する場合も同様に、パソコンで五線紙に書き込むようにニュアンスや曲の詳細を記すこともできる。その際のメリットとして、効果音としての音をどんどん取り込めるという点がある。
その利点を駆使した羽岡の音楽には、死体映像や殺害現場などのシーンに迫力がある。また事情聴取のシーンではミステリアスな雰囲気が醸し出されている。楽器の音色の使い分けや、ドラム音だけのリズムセクションなどを駆使して、クラシックベースの音楽の幅の広さを聞くことができる。

■俳優の存在感

次に、俳優陣に着目してみよう。
主演の名取裕子と麻生祐未には、ベテラン女優の貫禄を感じる。
名取裕子のおっとりした雰囲気は、マイペースそのもの。捜査チームに新たな色を挿し、「ちょっとイラっとするが、何か問題解決のカギを握っていそうな......」存在感は、実に大きい。
麻生祐未はクールでさっぱり、思ったことを口にする現場刑事のイメージを忠実に演じている。もともとの上品なイメージを佇(たたず)まいに残しながらも、部下たちに「バカ!」を連発し、口の悪い庶民的な雰囲気を出そうとしているが、もっと思いっきり振り切らないと、上品な彼女が自然に見え隠れしてしまう。
北条百合子の婚約者・刈谷晋作(鶴見辰吾)の父・刈谷孝雄を演じる伊東四朗は、大物が出てきた貫禄と存在感は十分だが、演技がどこかぎこちないのが残念だ。昨年度の『黒革の手帖』で演じた政界のドンのイメージと被ってしまう。

データニュース社「テレビウォッチャー」が調べる満足度では、初回は3.61。これは全11ドラマの中で堂々の4位だ。派手さはないが、サスペンス通のお眼鏡に叶(かな)っているということだろう。
『マルホの女』から『カクホの女』に舞台が変わり、"名取裕子×麻生祐未"凸凹コンビの新たな展開を楽しみにしたい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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