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土曜ナイトドラマ『明日の君がもっと好き』が、今シーズンドラマでは遅めのスタートを切った。
主演は、市原隼人(いちはら・はやと)、伊藤歩、白洲迅(しらす・じん)、森川葵の4人。脇を固める共演者は、志田未来、三田佳子、柳葉敏郎、渡辺大と豪華実力派キャストがそろう。
ドラマのイントロダクションにもあるように、「人生で一番面倒くさい恋はきっと、人生で一度だけの大切な恋になる」と、"単純で一筋縄ではいかない"恋愛ストーリーを予感させている。

サムネイル

市原隼人/Hayato Ichihara, August 27, 2009 : MTV Student Voice Award 2009 at Shibuya AX in Tokyo, Japan.(写真:中西祐介/アフロ)


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■主な登場人物

主人公、造園デザイナーの松尾亮(市原隼人)は、人との付き合いが苦手。趣味はバイクと写真で、昆虫や自然の生き物をカメラで追うのが好きな植物系男子だ。
亮が住み込みで働いている造園会社の社長・丹野文彦(柳葉敏郎)は、東京に住む娘の香(森川葵)と亮が結婚し、家業を継いでくれたら良いと願っている。
香は工事現場の警備員をしながら、夜はガールズバーで働いている。自分にとっての恋愛の対象が、男なのか女なのかわからず、「一人でいる方がいい」と言う。
一方、社長秘書をしている里川茜(伊藤歩)は、ついダメな男に惹(ひ)かれてしまう癖があり、既婚男性と付き合うが、"ゲームだった"と言われ、また結婚から遠ざかってしまった。
同じ会社の新入社員・城崎遥飛(白洲迅)は、年上の女に声をかけ、ついてきたら密室で縛り上げるという人懐っこい性格の裏には、母親に虐待されたトラウマから抜け出せずにいる闇の一面を併せ持っていた。
この主要な4人が、どう恋愛ストーリーを描いていくのだろうか。

■多面的で面妖な人間

一面性だけの人間などいるわけはない。振り返ってみると"苦い過去"が全くない人もいない。
"自分とは何なのか? 誰なのか?"と悩む時間があるからこそ、自身を知ることができる。
ただ、このドラマの主人公たちは、屈折した過去を抱えた心を持っているせいで、"人を素直に愛することができない"というキョーレツな癖の持ち主たちだ。
一体、何が、どうして、こうも人を苦しめてしまうのだろうか。彼らは、本当に心から愛されたことがあるのだろうか。

親と子・恋人・夫婦・姉妹。
人と人が濃い関係で向き合う時、お互いが相手を尊重するには、"相手の存在を丸ごと受け入れ、個人として認める"という前提がなければ、対等な関係は生まれない。このバランスがどこかで崩れた時、心の中にも不自然なシワが寄ってしまうのではないか。
だが関係性が濃ければ濃いほど、その状況から逃れることは難しい。大人になれば、自分の環境を意図的に変えることはできるが、過去を乗り越え浄化し、新たな自分の世界を切り開いていくには、相当のパワーも精神力も必要になる。
それができる人間は、この世界にどのくらい存在するのか。
このドラマを見ていて、さまざまなことを考えさせられるが、『明日のきみがもっと好き』というタイトルを見ると、「最終回はきっとポジティブな展開が待っているのではないか」と期待をもたせてくれる。

■ドラマの魅力と可能性

ドラマのコンセプチュアルな部分は、核がしっかりしていて、題材が太い幹の大木のようだ。
それに彩りを添えるのがドラマ音楽。S.E.N.Sカンパニーの作曲家・有木竜郎が提供している。
冒頭から、Jazzフュージョンぽい冷たい質感のサウンドに、「お! この音はなんだ?」と聴覚が刺激される。"作曲家の色"が見える音楽は、聴く者に興味を抱かせ、映像のシーンに風や光、空間を生み出してくれる。
だからと言って、有木の個性が前に出過ぎて、一人歩きしているわけでもない。存在感はあるのに、主張しすぎず絶妙なポジションを保っている。

初回視聴率は4.3%。同枠は去年10月に新設され、第1作の『オトナ高校』初回は5.4%だった。ところが2話以降は3%前後に低迷した。またテレビ朝日の金曜23時枠も、3~5%台で推移することが多い。こうした状況を考慮すると、4.3%は決して悪い数字ではないが、飛び切り良いわけでもない。

ストーリー展開にもっと躍動感とスピード感があると、コンセプトの太い幹に豊かな緑があふれるのではないだろうか。役者たちがそれぞれ自分の心の内を声にするが、俳優が急にナレーターになってしまった感や、"つぶやき"にしては、語りすぎている傾向もある。自らの心の闇と向き合う興味深いテーマなだけに、演技の中にセリフとして盛り込むなど、リアリティが増せば間違いなくさらに魅力が倍増しそうだ。

さて、今後の展開はどうなる?
4人の男女は、どう絡み合い、どう変わっていくのか。
自分事として深く考えさせられる話なだけに、多くの視聴者が最後まで見届けたいと思えるドラマである。

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コラムニスト: はたじゅんこ
監修:次世代メディア研究所

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