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松本潤主演『99.9 -刑事専門弁護士-』のSEASONⅡが快進撃をみせている。
初回視聴率は15.1%、第2話は2割近い上昇の18.0%だった。GP帯(夜7~11時)放送のドラマ全11本中7本が一桁であえぐ今クール、序盤2話とも15%超えはぶっちぎりのトップである。

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1月ドラマの視聴率比較


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しかもデータニュース社「テレビウォッチャー」が調べる満足度でも、初回から3.98と極めて高い数値を出し、2話では4.04と今クールで唯一の4.0突破となっている。同じTBSの『アンナチュラル』が初回3.87、第2話3.94と追走しているが、傑出しているのはこれら2ドラマだけ。
ドラマの平均値3.6~3.7に届いているのは、『特命刑事 カクホの女』『隣の家族は青く見える』の2本。3.5台に踏みとどまったのが、『FINAL CUT』『BG~身辺警護人~』『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』の3本。他4本はかなり低く、中には3.0台に低迷したのが2本もあった。
『99.9』がいかに好調なスタートを切っているかがわかる。

■現場主義

同ドラマのヒットには理由がある。まず筆頭に挙げるべきは、物語の背骨となっている"現場主義"という志だろう。
日本では刑事裁判の有罪判決率は99.9%。世界一の高さだ。しかし、ここには落とし穴もある。いったん起訴されると、検察の考えたストーリーが裁判官に鵜呑(うの)みにされがちだからだ。また刑事事件を専門に扱う弁護士の数も極端に少なく、丁寧に検証することは難しい。
しかし例え99.9%の可能性で有罪でも、残り0.1%が確定しない限り、それは本当の意味で"事実"に辿(たど)り着いたことにはならない。
小さい確率だが0.1%を諦めず、最後まで事実を追い求め、地道に検証を続けるところが、視聴者に支持されるゆえんなのである。

実はこうした現場主義は、多くのヒットドラマにも共通していた。
1997年春の『踊る大捜査線』(織田裕二主演)は、「事件は会議室で起きてるんじゃない! 現場で起きてるんだ! 」を決めぜりふに大ヒットした。現場の"血と汗と涙"が、多くの人の心を捉えた作品だった。
01年冬と14年夏に放送された『HERO』(木村拓哉)も、現場主義がキーワードだ。実際の検事は、99.9%がデスクワークで現場捜査はしない。ところがキムタク演ずる久利生公平は、自ら現場に赴き捜査する型破りな検事。その「事件を徹底的に調べる」姿勢が、視聴者からの支持を集めた。

2012年秋から17年秋まで5期放送された『ドクターX~外科医・大門未知子~』(米倉涼子)にも、17年冬の『A LIFE~愛しき人~』(木村拓哉)にも共通項がある。手術前の準備を十全にするという点だ。外科医にとっては、手術が現場だ。"失敗しない"ためには、病状やさまざまな可能性などの認識を徹底するという意味で、現場主義といえよう。
そして今クールでは、『アンナチュラル』(石原さとみ)もそうだ。現場は死体。死因を徹底的に調べることで、従来なら見落とされがちな事件の真相を、地道な努力で解明していく。その死の原因を正しく認識することが、今を生きる人々の命を救うこと、未来の危機回避にもつながる可能性があると信じている。

■小が大を逆転

もう一つ重要な要素は、"小が大を逆転"する醍醐味(だいごみ)だ。
『99.9』は国家権力を相手に、99.9%対0.1%という圧倒的に不利な状況を逆転していく物語だ。
『踊る大捜査線』は、警察組織で権力を握る会議室の上層部と現場の平刑事という構造だった。17年春の『小さな巨人』(長谷川博己)も似ていた。
また『ドクターX』は、男社会・大学病院の権威主義に対して、フリーランサーの女医。
13年夏『半沢直樹』(堺雅人)は、銀行内の上層部vs課長。14年春『ルーズヴェルト・ゲーム』(唐沢寿明)・15年秋『下町ロケット』(阿部寛)・17年秋『陸王』(役所広司)は、大企業対中小企業の物語だった。

"判官びいき"という国民性もあるだろう。大が押し付ける理不尽を、小が人並外れた奮闘で覆していく物語は、多くの人々の心を動かしていたのである。

■役者の存在感

他にも、演者の存在感も無視できない。
『99.9』では、松潤の飄々(ひょうひょう)としていながら筋を通す強靭(じん)さが、はまり役だ。他にも刑事専門ルーム室長の香川照之・所長の岸部一徳に加え、パラリーガルの片桐仁・マギーらの個性が光っている。
こうした演者の配置は、他のヒットドラマでもよく見られた。『ドクターX』では、主役の米倉涼子に加え、西田敏行・岸部一徳・遠藤憲一・勝村政信・鈴木浩介などが、多彩な味わいを出していた。
『HERO』では、木村拓哉のまわりの八嶋智人・小日向文世・勝村政信・角野卓造などが、奥行きを出していた。
『陸王』でも、役所広司・山崎賢人・阿川佐和子・市川右團次・寺尾聰に対して、ピエール瀧・小籔千豊・桂雀々(かつら・じゃくじゃく)・馬場徹・松岡修造などの役者群は見ごたえがあった。
やはり複数の俳優が有機的な化学反応を起こしてできる世界観は、重要な要素となる。

■小ネタ満載

以上のようにヒットドラマでは、メッセージ性・ストーリー展開の妙や役者の存在感などで際立った部分がある。さらに『99.9』の場合は、もう1つ特徴がある。細かい小ネタ、ダジャレなどのセリフ、そして小道具などの面白い遊びがちりばめられている点だ。
松潤や香川照之のおやじギャグは今さら言うに及ばない。より細かいところでは、張り紙や書類、看板などにおふざけがたくさん見られる点だ。
初回では、弁護士事務所にあった契約書に、"所商事株式会社"代表取締役会長が"所譲二"となっていた。馬好きの佐田(香川)の部屋の壁には、競馬のさまざまな賞がかけられているが、よく見ると"愛川賞"や"咲雷賞"と芸能人の名前を引っ掛けている。
第2話では、金沢で父の事件を松潤が検証した。そこで飲んだ牛乳瓶には、「ひゃくまんゴクゴク牛乳」の文字。加賀百万石をもじったものだ。
事件の鍵を握るお守りを調べるために山に登ったが、登山道の標識には「いろけよりくい池」(=色気より食い気)、「阿波展望」(=あわてんぼう)、「とつきと丘」(=十月十日)などのオンパレード。
小ネタはネットでの拡散を意識したものだろう。SNSの時代に適応した努力といえよう。

■第2話で核心

以上の条件を備えた『99.9』だが、なんと第2話で核心に触れる話を入れて来た。
松潤演ずる主人公・深山が法曹界を志したルーツで、深山と斑目法律事務所の所長(岸部一徳)をつなげた、父親・大介(首藤康之)の冤罪(えんざい)事件の真相を扱ったのである。
当時の担当検事は、大友修一(奥田瑛二)。そしてSEASONⅠで深山に次々に有罪判断が覆された丸川検察官(青木崇高)が深山の調査を手伝う。

まだSEASONⅡの第2話なので、ストーリーとしてどう扱うのか大いに注目された回である。99.9%を逆転して0.1%が明らかになるのか。もし覆らないとしたら、ドラマの志としてどう位置付けるのか。
要は第2話でいきなり最終回のような、想定外の展開を持ってきたが、その大胆な提示には驚きを隠せない。ところが、その決着のさせ方は「なるほど!」とうならざるをえず、作り手の知恵を感ずる手際といえよう。
このように見る側の予想を見事に裏切る第2話のような展開。これこそ『99.9』ブレークの要因であり、
今後の展開次第で同作は大ブレークの領域に届くのかもしれない。期待したい。

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※文中の「山崎」の「大」は「立」が正式表記

文責:次世代メディア研究所

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