ここから本文です

今回の番組冒頭、阿川佐和子のイントロあいさつはイケていた。

サムネイル

イメージ画像(写真:アフロ)


【無料配信】「サワコの朝」最新話を配信中>>


「今日のゲストは、......大きいです(笑)」
「初対面の時は、"威圧感"があって、どこまでズケズケ言われるのかなって"緊張"したんですが、お会いする回数を重ねる度に、本当に優しくてねえ、ちょっと気弱なところがあったりもして、かわいいんです」

すると画面にフレームインするのが、腰をかがめたミッツ・マングローブ。身長182cmで、150cmほどの阿川が後ろになると完全に隠れてしまう。
「"おっきい"以外に言うことないのか、ってぐらい大きいでしょう」がミッツの最初の言葉。
いやあ、スケールの大きいオープニングだ。

■LGBT

LGBTという言葉がある。
LはLesbian(レズビアン=女性同性愛者)。
GはGay(ゲイ=男性同性愛者)。
BはBisexual(バイセクシャル=両性愛者)
TはTransgender(トランスジェンダー="割り当てられた性"とは異なる"性同一性"の状態にある人)。

最近、"ドラマ×LGBT"がはやっている。
今年1月にはNHK『女子的生活』で、志尊淳がトランスジェンダーの主役を演じた。今クールのフジ月9『海月姫』には、瀬戸康史が女装男子で登場している。昨秋にはWOWOW『片想い』で、中谷美紀が性同一性障害の主人公を演じた。性同一にはいろんなパターンがあり、徐々に身近な問題として認識する人は増えている。それでも"どんな人だろう?"って興味を持つ人は少なくないだろう。

ミッツ・マングローブの場合は5歳で同性愛に気づいた。叔父でタレントの徳光和夫は、「この道を極めるだろうという感じがした」と語っている。
同性愛ではるものの、いわゆる"ニューハーフ"のように、豊胸・性転換などの美容整形手術は行わず、女性の格好をして生計を立てる"女装家"の道を選んだ。
そして2009年、34歳の時に女装したタレントとしてデビューした。MXテレビ『5時に夢中!』が最初だった。今やさまざまな番組で活躍するまでになっている。

■子供の頃

同番組は、ゲストに音楽2曲を選んでもらっている。
ミッツが選んだ「記憶の中できらめく曲」は、Wham!の『FREEDOM』(1984年 作詞作曲:George Michael)
はつらつとした声に惚(ほ)れた曲だが、実際には男子コンプレックスがあったという。学校の授業の後、最初に運動場に飛び出すような男子の花形になれないことから、この曲が鮮烈な印象だったという。

やがてミッツの態度は、コンプレックスを隠すために冷ややかな目で見るテクを使うようになる。「ガキねっ」という感じだ。
クラスの中では、裏番長的な存在になった。一番強くて男らしい同級生を、「陰で支えてあげるよ」って唆し、番長に立てるタイプだったという。
逆に女の子には、"本質的な部分"を見抜かれ、あまりモテない。
いつの間にかバレンタインの時は、ミッツを通してチョコを渡すしきたりができ、大忙しだったという。

■"人と違う"と"普通"の合間

「あなたはお神輿(みこし)担いでばっかり」「もう少し自分のことに目を向けなさい」母の言葉だ。
元コピーライターで、怖くはなかったが、自分の価値観・世界観で子育てをするタイプだった。ミッツが弟を虐めると、「私、そういう男嫌いだわぁ」など、根本的なセンスを全否定してくる。
幼稚園の遠足の時の水筒は、アニメや戦隊ものの絵が付いたタイプではなく、水牛の本革で出来た角型だった。「やだあ」とゴネると、「何言ってんの、わかってないわねえ。これが一番カッコいいじゃない」と来た。
早く普通の中に紛れたいという思いも募った。

ただしセクシャリティは抑えられない。幸いなことに両親は、それを心配するのは野暮と考えていた。
「大人が尊重して育てなければならない子供の個性は個性じゃない」。

■女装家への道

実はミッツは、2011年に歌手デビューしている。
これも生い立ちに関係がある。中学時代に父の転勤でロンドンの生活。高校と大学は慶応義塾。そして高校時代からバンドを組んで歌をやっていた関係で、英国ウエストミンスター大学コマーシャル・ミュージック科へ留学した。
「(好きなものを)ちゃんと現実をリンクさせてやってかなきゃ。それが将来設計というもんだぞ」という父の言葉が背中を押した。
ところが卒業せずに日本に帰って来た。「早くデビューしなきゃっ」という思いだったが、現実は厳しく、どこからもデビューできずに、女装して活動する道へ入ってしまった。

しかし、『5時に夢中!』(TOKYO MX)が人生を変える。
あるゲストのピンチヒッターにマツコ・デラックスを橋渡しした。これがきっかけで、新宿二丁目の名もなき女装家たちがテレビに出ていく道が開かれた。かくしてタレントや歌手としての道も開かれた。

ところが人生は悩みが尽きない。
もともと「普通になりたい」という思いもあった。さらに「これ(女装家)で生きていくのなら、虚構の世界で生きて行こう」と決めていた。ところがテレビの世界で求められたのは、いわゆるオカマのタレントだったので、「どうしたものかなあ?」と戸惑いが生じた。「上手にオカマができない」というコンプレックスができてしまったのである。
カンペで、「いやぁ~ん」とか「きゃあ、何よ」と書いてあっても、そのタイプではないミッツにはテンションが分からない。
結局いまも、"自分の人生のつじつまが合わない"という思いが残っているようだ。

ミッツのラストコメントが印象に残る。自分と異なる個性を見つめ直す、良いきっかけを与えてくれる番組である。

【無料配信】「サワコの朝」最新話を配信中>>

文責・次世代メディア研究所

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ