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これまでの清純派イメージを払拭(ふっしょく)して、石原さとみが法医学者役に挑戦する『アンナチュラル』。
ビデオリサーチ社の視聴率や、データニュース社「テレビウォッチャー」の満足度などで、16年秋に大ブレークした『逃げるは恥だが役に立つ』と比べると、面白い事実に気づく。
2話まで両ドラマはほぼ互角だった。ところが3話以降で、『アンナチュラル』は視聴率で下回るようになった。それでも3~6話ぐらいまで、満足度と録画再生視聴率で接戦を続けた。ところが7話以降で、両者の差は広がり始めた。
『逃げ恥』が急上昇したのが最大の原因だ。つまり『アンナチュラル』は『逃げ恥』ほどの大ブレークには至っていない。両ドラマを徹底的に比べることで、『アンナチュラル』終盤の可能性を考えてみたい。

サムネイル

2ドラマの視聴率と満足度


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■視聴率と録画再生視聴率

最終回で視聴率を20%台に乗せた『逃げ恥』は、実は極めて珍しい軌跡を描いていた。
初回が10.2%で始まって以降、第6話と7話が13.6%と足踏み状態だったが、基本的に一度も数字を下げずに最終回で20%突破の大ブレークに至った。
実は一度も数字を下げずに最終回まで突っ走ったドラマは、過去四半世紀の中ではもう1本、2013年夏放送の『半沢直樹』しかない。ただし『半沢直樹』は、ほぼ倍の視聴率で推移していた。大ブレーク中の大ブレークだったのである。

ちなみに録画再生を勘案した総合視聴率で見ると、『逃げ恥』も負けてない。
初回はほぼ20%。第5話で25%を突破。第9話で30%台にのせ、最終回は33.1%まで上昇した。19.4%で始まり、第4話で25%を突破、第7話で30%台にのせ、最終回が42.2%だった『半沢直樹』と奇跡がほぼ重なる。しかも『逃げ恥』の場合、総合視聴率では全話が前回を上回った。次々に新たな視聴者を集める吸引力の強さが際立っていたのである。

この録画再生視聴率や総合視聴率では、『アンナチュラル』も健闘した。
当初2話の総合視聴率は『逃げ恥』を上回った。3話以降、リアルタイム視聴率が下がり始めたが、録画再生視聴率は第3~5話まで互角。序盤だけで言えば、『逃げ恥』と同等のインパクトをもっていたと言えよう。

■満足度と次回みたい率

『アンナチュラル』の満足度は、初回3.87で始まり、2話以降が3.9台、5話以降4.0超と異例の高さだ。今クールでは『99.9』とほぼ互角で、他のドラマに大差をつけている。
ところが『逃げ恥』と比較すると、初回は3.94、2話が4.00、3~6話が4.0台、そして7話以降が4.2前後と途轍(とてつ)もない高さと伸びを示した。やはり後半の伸びに『アンナチュラル』は届いていない。

データニュース社「テレビウォッチャー」では、視聴した番組に「次回絶対見る」「なるべく見る」「見るかも知れない」「たぶん見ない」「絶対見ない」の5段階で評価もしてもらっている。この上位2評価の比率を「次回見たい率」と定義すると、『アンナチュラル』は初回84%で始まり、4話以降90%台、しかもおおむね右肩上がりと素晴らしい成績を収めている。
これも『99.9』と互角の成績だが、『逃げ恥』はここでもすごい。初回から92%となり、その後おおむね右肩上がりを続け、最高値は9~10回の95%だった。

■『アンナチュラル』後半の可能性

以上のように各種データで比較すると、『逃げ恥』がいかにパワフルだったか分かる。
院卒だけど内定ゼロ、派遣社員になるも派遣切り。やむなく家事代行として働き始めた末に契約結婚に至る。恋愛でもお見合いでもない。しかもお相手は、自尊感情の低い35歳童貞。これまでにない新しい男女の関係を描いた物語は、強力な吸引力で多くの視聴者をとりこにした。

『逃げ恥』と同じ脚本家の野木亜紀子によるオリジナル作品『アンナチュラル』は、一話完結型の法医学ミステリー。法医学の知識や事件の謎といった知的レベルの高さもあり、残念ながら視聴者の広がりという意味では、『逃げ恥』ほどの取っ付きやすさに欠けたかもしれない。
それでも他殺に見せかけた自殺の背景にある"いじめ問題"をするどく突いた第7話は、満足度も次回見たい率も申し分のない成績だった。
解剖医ミコト(石原さとみ)の「死因は自殺でも、殺人同然だと思う」も、中堂の「許されるように生きろ」という言葉も、それまでの同ドラマの中で最も重いセリフだった。
しかも生き残った者の思いとして、中堂の恋人の死を二人は今後協力して究めて行くことになる。その意味では、温泉旅行に行きながら何もなく終わったかと思いきや、帰りの電車が終点に着いた瞬間にキスをした『逃げ恥』神回と言われた第6話に、『アンナチュラル』第7話は近い。

事実、ろくでもない息子と思われていた焼死体の詳細な検視の結果、実はビル火災で多くの人を救うべく大変な努力をしていた事実を浮かび上がらせた第8話は、視聴率が急伸した。『逃げ恥』が第6話を経て、最終回に向かってブレークしていく姿と似ている。しかも『アンナチュラル』は、ここから中堂の恋人の死について、本格的な究明が始まる。
設定もストーリー展開も大きく異なる2つのドラマだが、野木亜紀子の手の内にはやはり類似性がある気がする。
『逃げ恥』ほどの規模は望めないだろうが、『アンナチュラル』の今後一段の上昇に期待したい。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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