ここから本文です

デビュー25周年を迎えるシンガー・ソングライターの斉藤和義が、19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』を3月14日にリリースした。音楽好きから絶大な支持を得る、"歌うたい"。今回はその美しいメロディーと卓越した演奏力はそのままに、ドラムマシンやアナログシンセを導入。手作りの打ち込みビートを大胆に展開している。生々しい歌&ギターと無機質で性急なリズムがぶつかり合う楽曲群は、アルバム冒頭からインパクト絶大だ。50代を迎えてますます自由になる、斉藤和義の現在とは。

サムネイル

デビュー25周年、斉藤和義19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』を3月14日にリリース
(C) JVCKENWOOD Victor Entertainment Corp.


【ミュージックビデオ】藤原さくらがゲストコーラスとして参加した最新曲「Good Luck Baby」>>


【4月2日(月)より「GYAO!」特設サイトにて再配信】斉藤和義、白熱のスタジオライブと気さくなトーク>>

【ミュージックビデオ】斉藤和義、過去曲を一挙配信中>>

【ツアー情報】デビュー25周年全国アリーナツアー開催決定!(Yahoo!チケット)>>

■ずっと生演奏で音楽を作ってきたけど、打ち込みには興味があったんです

──最新作『Toys Blood Music』は、ほぼすべての楽器を斉藤さん自身が演奏した"一人多重録音"。どこか80年代テクノポップを思わせるプリミティブな打ち込みビートが全編に導入されています。通算19枚目にして、これまでとはまるで異なる質感が印象的ですが、なぜこのような手法を?

去年、たまたまある方からローランドの「TR-808」という古いリズムマシンをいただきまして。これは1980年頃に発売された、ファンの間では"やおや"と呼ばれる名機なんですけど。実際に使ってみると、自分なりにあれこれいじって音を出す過程がすごく楽しかったんです。その後、「LINN DRUM」という、やはり同時期に出たヴィンテージのドラムマシンも借りてもらって。これまたメチャメチャ音がよかった。で、すっかりハマってしまったんです。

サムネイル
デビュー25周年、斉藤和義19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』を3月14日にリリース
(C) JVCKENWOOD Victor Entertainment Corp.


──その盛り上がりが、アルバムにそのまま反映されたと。

そうですね。あと、リズムマシン単体で打ち込むだけじゃなくて、MIDI(電子楽器の世界共通規格)を使って複数の機器をシンクロさせるやり方を習得したのも大きかったな。もともとYMO世代で、十代の頃はああいうテクノっぽいポップも聴いてましたし。自分はずっと生演奏で音楽を作ってきたけど、打ち込み自体には興味があったんです。なので今回、手持ちの楽器から古いアナログシンセサイザーも引っ張り出してきて。何台ものドラムマシンとつないで、いろいろ試してみたんです。その作業がとにかく楽しくて(笑)。新たな発見もたくさんありました。

■マシンなのに、人を相手にプレイしている感覚に近かった

──発見というのは、たとえばどういうことでしょう?

まず一つは最初にお話しした、ヴィンテージのドラムマシンが持っている音の面白さ。当時はビット数も少なくて、今みたいにサンプリング音源も豊富じゃないけれど、そのぶんサウンドに独特の質感があって。しかもギターと同じで、機器ごとにクセや個体差があるんです。だから打ち込みでビートを作っても、リズムが微妙にヨレたりする。しかもどのマシンを"親"にしてつなぐかによって、まったく違う音が出たりするし。

──そこが面倒くさくもあり、愛着がわくところでもあると。

そうそう(笑)。複数のドラムマシンやアナログシンセを接続して曲作りをしていると、自分でも予想してなかったパターンがいきなり鳴りだすこともあって。そういう偶発性みたいなものが新鮮だったんですね。オモチャっぽくはあるんだけど、意外に血の通った生っぽい感じもあって。マシンなのに意外と人を相手にプレイしてる感覚に近かったというか。

サムネイル
デビュー25周年、斉藤和義19枚目のオリジナルアルバム『Toys Blood Music』を3月14日にリリース


──なるほど。それが『Toys Blood Music』というアルバムタイトルにもつながっていくわけですね。

そうやって何曲か作ったところで、今回はもう生ドラムは一切禁止にしようと、自分のなかでルールを決めまして(笑)。ドラムマシンやリズムマシンをMIDI経由でアナログシンセとシンクロさせて、そこに僕のヴォーカルとかギターがガツン!と絡む形にしようと思ったんです。

■新しいオモチャを発見したようなワクワク感

──五十代を迎えてから初のオリジナルアルバムで、しかもデビュー25周年の節目にも重なります。なにか特別な感慨のようなものは?

うーん......それはほとんどないですね。まあ、五十肩がずっと治らなかったり、首が回りにくくなってたり(笑)。肉体的には「ああ、四十代とは違うのね」と実感する瞬間もないわけではないですけど。音楽に向かう気持ちそのものは、全然変わっていないつもりだし。やっぱり、そのときどきで興味のあるものを素直に追いかけるのが好きなんでしょうね。ちなみにレコーディングが終わった今も、このブームはずっと続いていて。家で一人、インチキテクノをやってます。機材もあれからさらに増えて......。もう5?6台は買ったのかな。今もドイツ製ヴィンテージ・リズムマシンをネットオークションで入札中なんですよ。(現時点では無事に入手)

──ベタな表現ですが、新しいオモチャを発見した的な?

そうですね。まさに(笑)。新たなオモチャを見つけたぞ、と。

■タイアップ曲ほど、自分の気持ちが素直に滲むこともある

──リズムセクションを打ち込みにすることで、楽曲やアレンジが影響された部分はありますか?

よりシンプルになったんじゃないかな。たとえば、今までなら迷わずギターを足してたところでも、「ここはマシンが一定で鳴ってるから、自分は弾かなくていいか」という風に考えたり......。いい意味で、サウンドに余裕ができた気がします。カチカチした機械のビートに対して、グルーヴ感を出すのはやっぱり僕のギターだったりするので。ある程度、音に隙間があった方がやりやすいんですよね。なので、使用する楽器のチョイスも厳選されて。本当に必要なものだけで曲が成立することを、自然と意識するようになっていきました。

サムネイル
ライブ&トーク番組「GYAO! Presents 斉藤和義 LIVE& TALK "Toys Blood Music"」が4月2日(月)より再配信


──アルバム冒頭に収められた「マディウォーター REMIX ver.」は、まさにそういう楽曲ですね。ドラムマシンのせわしなく即物的なビートと奔放なアコースティックギターがぶつかりあって、なんともいえない切迫感、感情の生々しさが伝わってきます。

この曲は、シングルではエレキギターと生ドラムでレコーディングしたものを、今回は打ち込みとアコギで録り直しています。もともとハウスっぽい、性急なビートをイメージして書いた曲なんですが、マシンと組み合わせることで、よく使ってるアコギの鳴りがまるで違って響いたりするのが面白くて。「機械相手にもこんなに遊べるんだ」って実感した曲ですね。

──10曲目に収録されている「始まりのサンセット」。これは今回のアルバムを象徴するような、感動的なバラードです。夕陽と聞くとふつうは人生の黄昏を思い浮かべますが、ここではその寂しさも含んだ風景が"まだいける、もっとやりたい"という強い気持ちと自然に結び付いて、聴き手を励ましてくれる。これは25周年を迎えた現在の、素直な想いにも重なるのでは?

これはもともと、製薬会社のWebムービー用に書き下ろした曲で。先に映像ができあがっていたんです。海辺の町で働く、ある薬剤師さんの一日を追った内容で。そこからイメージを膨らませて書きました。ただ結果として、自分の年齢だったり心情が滲んだ部分はあったかもしれないですね。タイアップ曲というのは基本、あるお題に合わせて書くわけじゃないですか。でも後になって考えてみると意外と、そのとき自分が感じていたことがストレートに滲んでることも多くて。「始まりのサンセット」は、ドラムマシンにハマるちょっと前に作った曲ですけど、そういう部分はあった気がします。

──3月末からは、約4か月にも及ぶ全国ツアー「KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2018 "Toys Blood Music"」も始まります。本作の打ち込みサウンドは、ステージでも披露される予定ですか?

そうですね。耐久性や再現性の問題もあって、レコーディングの状態を完全に再現するのは難しいんですけど。最新の機材も混ぜつつ、打ち込みと生演奏をうまく組み合わせて。今回のアルバムの持ってる雰囲気は、ライブでもうまく出していきたいと思ってます。僕にとっては初めての試みだし、実際にリハをしてみないとどんな結果になるか読み切れない部分もあるけれど(笑)。それも含めて新鮮な感じが伝わればいいなと。自分でも楽しみにしています。

・・・・・・
3月13日(火)に生配信されたライブ&トーク番組「GYAO! Presents 斉藤和義 LIVE& TALK "Toys Blood Music"」が4月2日(月)より映像配信サイト「GYAO!」の特設サイトにてアーカイブ配信される。

【ツアー情報】デビュー25周年全国アリーナツアー開催決定!(Yahoo!チケット)>>

斉藤和義(さいとう・かずよし)
1993年にシングル『僕の見たビートルズはTVの中』でデビュー。翌年リリースの『歩いて帰ろう』で一気に注目を集める。
『歌うたいのバラッド』『ずっと好きだった』『やさしくなりたい』といった代表曲は様々な世代の人達から愛されている。
デビュー25周年イヤーになる今年は19枚目のオリジナルアルバム「Toys Blood Music」のリリースと全国41都市47公演のワンマンライブツアーを開催。

(取材・文/大谷隆之)
(写真/片山 祐輔)

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。



【関連記事】
【インタビュー】スカパラ、盟友BRAHMAN・TOSHI-LOW参加の<秘話>を語る......ラテングルーヴ満載の生命力溢れるニューアルバムが完成
【インタビュー】三浦大知の音楽人生「歌とダンスは両思いであるのがベスト」
【インタビュー】ソニーミュージックが審査段階で応援(予算上限300万円)やインフラを強力バックアップ!/『Feat. ソニーミュージックオーディション』
【インタビュー】絡まって、こんがらがったままが美しい! スカパラと峯田和伸のコラボ曲「ちえのわ」が示した人間関係とは?
【インタビュー】Do As Infinity、澤野弘之と全面タッグを組んだ集大成のアルバム『ALIVE』に込めた想い


【関連リンク】
【ツアー情報】デビュー25周年全国アリーナツアー開催決定!(Yahoo!チケット)>>
【GYAO!特設サイト】斉藤和義、白熱のスタジオライブと気さくなトーク>>
斉藤和義 公式サイト>>
【アルバム詳細】斉藤和義19th Original Album『Toys Blood Music』>>
【ツアースケジュール】KAZUYOSHI SAITO LIVE TOUR 2018 “Toys Blood Music”>>
【ミュージックビデオ】一挙配信中>>
【LIVE映像】斉藤和義『Kazuyoshi Saito 20th Anniversary Live 1993‐2013“20<21”~
これからもヨロチクビ~ at 神戸ワールド記念ホール2013.8.25』>>

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ