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神尾葉子原作の『花より男子』の続編、『花のち晴れ~花男 Next Season~』が始まった。
資産家や大企業の社長の子弟が通う英徳学園と、そのライバル校・桃乃園学院を舞台に、英徳学園に通う江戸川音を取り巻く学園ラブコメディだ。
マンガ原作とあって、ドラマ仕立てもかなりコミカルだが、作者の意図が端々に見え隠れするのが興味深い。

サムネイル

イメージ画像 廊下にいる日本人高校生カップル(写真:アフロ)


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■3人の三角関係

主演は江戸川音役を杉咲花、神楽木晴役を平野紫耀、馳天馬役を中川大志が演じる。この3人が三角関係となり、物語が進んでいく。

杉咲花は、弱冠20歳でありながら、その演技力と活躍は目覚ましい。
2016年の映画『湯を沸かすほどの熱い愛』では、宮沢りえと共演し、アカデミー賞や数々の映画祭などで、宮沢の最優秀主演女優賞に合わせて、杉咲は、最優秀助演女優賞を受賞している。
心に直球で刺さるとても感動的な作品だったが、出演者すべての演技が素晴らしく、その中で一段と輝く杉咲花の演技はとても印象的だった。

英徳学園の"C5"のリーダー・神楽木晴を演じる平野紫耀は、関ジャニJr.出身でKing&Princeのユニットで活動をしている。アイドル的な顔立ちから、マンガ原作のドラマ復刻には、適役と言えるだろう。
晴のライバル、馳天馬役の中川大志は、弱冠19歳だが、2009年のデビューからすでに10年弱のキャリアを持つ。映画や数々のドラマに出演し、刑事もののシリアスな作品から大河ドラマまで、幅広く活躍するイケメン若手俳優である。

■軽薄な表面の裏側

舞台となる「英徳学園」は、"超セレブ"な家柄でないと通えないという、典型的な漫画的設定だ。学校の品格を保つため、「庶民と分かった時点で、24時間以内に退学させる」のが、"C5"のお役目と来た。これまた現実にはあり得ない。

学園に通う女子たちは、互いに「ごきげんよう」と声をかける。ここもいかにも上流の匂い。
「銀座でおいしいパフェを見つけたので、学校の帰りに食べに行こう」と誘われた音(杉咲花)は、インスタに映る5,800円のパフェに思わず「高っ!」と驚く。
"庶民"の目線で見るお金の価値観が"フツー"の感覚なのだが、ここではその"フツー""当たり前"が通用しない。

学校には、専属の運転手がつき、家では執事とメイドが世話を焼く。
買いたいものは自ら注文しなくても、「欲しい」といえば執事が手配をしてくれて簡単に手に入る。
来る日も来る日も電車で通勤・通学をする庶民にとって、「こんな世界が本当に存在するのか」と言いたくなるような内容だ。

■意外に教育的効果が高い学園ドラマ

こんなふうにさまざまな疑問が湧いてしまう内容だが、そのまま見続けてみると、違う観点からの楽しみが湧いてきた。
"金持ち""名門私立""専属ハイヤー"や"巨大な豪邸"を眺めても、リッチな世界のオンパレードは、やがて見ているものの感覚をまひさせる。ところが、ここまで嫌みっぽく描く裏には、「別のメッセージが隠されているのではないか」と徐々に気づき始める。

そして、"C5"のリーダー・晴(平野紫耀)が音に「しょうもないヤツ」と言われ、昔のコンプレックスを引き出され、奮起を持って立ち向かうシーン。
校門でチンピラに絡まれている女子生徒を助けに向かった音が巻き込まれ、晴がありったけの勇気を出して殴りかかるのだが、ひ弱な上につまずいて偶然ヒットしただけのパンチが何と勝利をもたらす。
しかもいかにも当然のことのように振る舞う、度し難く"しょうもないヤツ"と来た。
こんな滑稽なシーン、そのダメダメぶりがどこか笑えて、いつの間に楽しんでいる自分がいる。

現実にはあり得ない大富豪の世界だが、晴の父・巌(滝藤賢一)の毒親っぷりが際立つ。音の母・由紀恵(菊池桃子)の親としての責任放棄ぶりも突き付けられる。この辺りも含め、「庶民は退学」という不条理な思想に異議を唱える作者のメッセージが、学園ラブコメに込められるという斬新な手法が面白い。
前編の『花より男子』で、道明寺役を演じた松本潤が、過去の回想シーンに登場するのも、ファンにとってはうれしい演出だ。

表面的なドラマの世界は、大人には退屈かもしれない。それでも作者が本当に伝えたいことは、江戸川音のセリフにそれとなく込められている。
その名言を名女優と呼んでも過言ではない杉咲花が演じることで、学校に通う10代から、ちょっと前の高校生の20代世代、そしてその親世代に幅広く刺さるこのドラマは、物事の内面を考える良い機会になるのではないだろうか。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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