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レコード、CD、配信、サブスクリプションサービス(聴き放題)......音楽を伝える形は時代とともに変化し、リスナーの音楽の楽しみ方も多様化している。そんな中、GLAYが自身の全ての音楽と映像を配信するサブスクリプション型アプリをリリースした。

定額制の音楽配信サービスはいくつもあるが、アーティスト本人が自身に特化したアプリを制作、運営するのは業界でも異例。それはこれまで常に"ユーザーメリット""バンドにとって良い環境"の2つを追求してきたGLAYだからできたことだった。

GLAYのリーダーであり所属事務所「ラバーソウル」の代表取締役でもあるTAKUROは、「俺たちはGLAYのプロであり、GLAYファンの人たちの気持ちは自分たちが一番よくわかっている」と胸を張る。

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GLAYのリーダーであり所属事務所「ラバーソウル」の代表取締役でもあるTAKURO


■アプリ開発の原動力は「ファンとの距離を縮め自分たちの思いを伝えたい」という思い

アプリ開発に限らず、94年にデビューしてからGLAYがずっと考えてきたことが「ファンの人たちとともに豊かな音楽人生を描く」ということ。僕らとファンの人たちの音楽人生をデザインするためにはどうすればいいか、ということをデビューしたときから当時のスタッフの人たちと話してきたんです。その中で、もっとGLAYのメンバーに音楽を作る環境、音楽に集中できる環境を提供したいということと、よりファンの人たちにメリットのあることという2つに行き着いた。

メンバーにとってより良い音楽環境ということで言えば、予算や期日、決算といった都合に縛られずに自由に音楽活動してほしい。ファンの人たちには、「温かいスープを温かいままファンの人たちに届ける」という、ミュージシャンの体温や手作りしたそのものを正しく伝えたい。当時のレコード会社と話し合いを重ねながら、2005年に僕の個人会社がそれまでのGLAYのすべての権利関係......映像原版、出版権、原盤権、ファンクラブの権利などすべてのGLAYの権利を有するに至ったんです。2011年には「G-DIRECT」というGLAYのアイテムを公式に取り扱う通販サイトを立ち上げました。そこがやっぱり大きな僕らの決断だし、ターニングポイントでしたね。

レコードというものが発明されてからアーティストは皆コンテンツとして扱われてきたけど、アーティストがコンテンツホルダーになってもいいのではないか。Amazon Music Unlimited、Apple Music、Google Play Musicなどプラットフォームができていくなかで、やっぱりいつまでたってもアーティストは一コンテンツでしかない。でも、GLAYはGLAYのファンの気持ちをよく知っているし、GLAYのファンもGLAYの気持ちをよく知ってる。だから、巨大な企業がやっているプラットフォームを僕ら町のまんじゅう屋がやったっていいんじゃないかという発想で、自分たちのすべてのライセンスを一本化しようと思ったんです。
その第一弾がloversoul music & associates(現LSG)、いわゆる自主レーベルであり、その後のG-DIRECTでした。僕らとユーザーの間にいろんな中間業者が入ることで、もちろんいいこともあるけどスピード感は落ちるしスープも冷めてしまう。それを一本化することで、もっともっとファンとの距離は縮まり、自分たちの思いが伝わる。そこを突き詰めた結果たどり着いたのがアプリでした。でも、今後もキャリア決済やオフライン再生に対応したり電子チケットに対応したりとアップデートしていくので、まだまだ発展途上ですけどね。

■今は入口がたくさんある幸せな時代。でも「俺たちはGLAYのプロ」

このアプリは、これまでのファンの方との距離を密にするものでもあり、新しくファンになってくれた人たちにGLAYの膨大なアーカイブを極めてシンプルに提供するものでもあります。20年以上あるGLAYのキャリアをすべて追っていくには、いわゆる盤ではなかなか難しい。

あと、やっぱり自分自身も生活していて思いますけど、人って"そこにある中から選ぶ"ことに慣れてしまうんですよ。いま自宅にGoogleとamazonのAIスピーカーがあるんですが、例えばお風呂に入るとき「今日はビリー・ジョエル聴こうかな。じゃあビリー・ジョエル」って話しかけるじゃないですか。ところが、ビリー・ジョエルのコアなアルバムはまだ配信に乗ってなかったりする。そうすると、「じゃあいいか、聴かなくて」となるんですよ。人はそうやって、ないものに関してはよっぽどのことがない限り探すことまではしないという方向になっていくだろうと思います。

今、GLAYはすごい数の配信会社、サブスクリプションサービスと契約していますが、そこでは限られた楽曲の中でしかGLAYを知ることができない。そこでもし気に入ってもらえて、「私もうGLAYといくつかのバンドしか聴かないわ」となったら、アプリの方が絶対にいいですよ。規模としては巨大企業とは比べるべくもない町のまんじゅう屋ですが、GLAYのことをもっと知るには最適ですよ、と。この形が、多分一番GLAYにとって、GLAYのファンにとって豊かな音楽ライフの入口になり得るんじゃないかと思っています。昔から応援してくれているお客様に対してコアなファンじゃなきゃ喜ばないようなものも提供できるし、昨日好きになってくれた人に対しては、全アルバムを定額制で聴き放題で。そこはやはりどちらもカバーしていきたいですね。

ジョブズの言葉にもありますが他のサブスクリプションサービスとケンカをしたいわけじゃないけど、かといって無視するわけでもなく、やっぱり競争したいっていうのはあります。彼らはプラットフォームのプロだけど、俺たちはGLAYのプロ。GLAYファンの人たちの気持ちは自分たちが一番よくわかっているし、GLAYファンの人たちの声に一番真剣に応えられるのはGLAYとそのスタッフだと思っていますから。GLAYを使うことに関しては誰にも負けないという自負がある。

競争といっても、共存する中での競争です。今、ライフスタイルそのものが非常に多様化している中、Spotifyに入っているものしか聴かないよって人もいるでしょうし、Apple MusicとiTunes Storeだけだよって人もいてもいい。入口がたくさんあるという、ある意味では幸せな時代かもしれないですね。

■25周年を迎える来年は20周年のときより多くのライブを

GLAYは来年25周年を迎えます。まさか25年も続けられるとは思っていませんでしたが、実は昨日もメンバーと会って話したんですけど本当にファンの人たちあってのことですよね。今年はいわゆる25周年への助走期間ということで、ライブ自体は夏の函館くらいでそんなに多くない。ファンの人たちが一番願っているのは、ライブでたくさん素晴らしい時間を共有することでしょうから、来年は20周年のときよりも多くのライブをします。しかも、そのライブっていうのが、ホールからアリーナから野外からあらゆる場所でやっていく中で、メンバー一人ひとりが考えた"メンバープロデュースライブ"を何年かぶりにやろうとおもってるんですよ。昨日HISASHIから聞いたんですけど(笑)。

そういったメンバーの面白いアイデアっていうのは、このアプリとの相性もすごくいいんじゃないかな。GLAYには「ライブだけを楽しむのではなく、ライブの前後も楽しんでほしい」というのがベースとしてあるんです。ライブ自体とは別に、会場に午前中に来てもなにかしら楽しいイベントが待っていて、終わったらクラブイベントがあって、とか。2013年には「HOTEL GLAY」というコンセプトがあり、実際にホテルをGLAY仕様にして泊まってもらったりしました。今年の函館も、ライブの前後に函館の良さを知ってもらえるような、観光とGLAYが一体となったような施策もあります。25周年も、ライブ自体はもちろん、その前後によりファンの人たちと楽しい時間を持てるような企画をたくさん用意します。アプリがあることでより楽しめるものになると思うので、アプリを手に楽しんでほしいなと思います。もちろん、アプリなんかなくてもみんな自分で自発的に楽しむんだと思いますが、みんなのそういったひとつひとつの行動に、このアプリが寄り添ってくれればなと思います。そのためにはGLAY本体が動かないとね。このアプリが一番活きるときはやっぱりGLAYが楽しそうに動いているときだと思うので、25周年、楽しみにしていてください。

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GLAYのデビューから現在までに発売したすべての音源(アンソロジーシリーズのDISC2音源、その他特典の音源は除く)や、100を超えるミュージックビデオが月額制ストリーミングサービスで聴き放題&見放題。最新情報や、過去にDVD&Blu-rayにて販売したライブ映像の配信、最新フォトライブラリー、GLAYオフィシャルFan Club「HAPPY SWING」の会報誌などのコンテンツも定期的にアップデートされる。
今後もオフラインへの対応、電子チケット対応なども予定している。

◆TAKURO
GLAYのリーダーであり、ギタリスト/キーボーディスト。多くの楽曲で作詞作曲を手掛け、楽曲提供やプロデュースも行う。所属事務所「ラバーソウル」の代表取締役。自主レーベルは『LSG』。

【LIVE映像】GLAY 「SOUL LOVE」from 「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」>>


【LIVE映像】GLAY 「Eternally」from 「GLAY Special Live 2013 in HAKODATE GLORIOUS MILLION DOLLAR NIGHT Vol.1」>>


(取材・文/大木信景@HEW

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