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 山田洋次監督の『家族はつらいよ』シリーズ最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』が5月25日に公開を迎える。タイトルにあるように、本作のテーマは、平田家の妻。なかでも長男の嫁・史枝をメインに、彼女がある出来事によって我慢の限界を超え、家を飛び出してしまうことから起こるさまざま騒動をユーモアたっぷりに描いている。そんな史枝を演じた夏川結衣と、義理の妹・憲子役の蒼井優が、『東京家族』から続く山田組で芝居をすることについて、大いに語った。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


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■監督、スタッフの愛が感じられる現場

 第1作目は、結婚50年目を迎える熟年夫婦の間に起こった「離婚騒動」を、続く2作目は「無縁社会」をテーマに巻き起こる家族の騒動を描いた『家族はつらいよ』シリーズ。最新作では、家族のために懸命に家事をこなす主婦・史枝を中心にストーリーが展開していく。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


 夏川は「ありがたいことに今回、史枝にスポットが当たったことで、彼女のバックボーンが描かれています。史枝がどういう家で生まれ、どんな両親に育てられたかなどが、ロケセットのなかにとても丁寧に組み込まれていて、史枝という女性を理解する手助けになりました」と目を細めると「本当に山田組のスタッフさんが、作品に対してどれだけ愛情を持っているのかが感じられ、山田監督だけではなく、スタッフみんなで一生懸命史枝という女性を想像していただけていることがうれしかった」としみじみと語る。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


 こうした夏川の発言に大きく頷(うなず)いた蒼井も「山田組でこういったシリーズに参加させていただけるというのは、本当に贅沢(ぜいたく)なことなんです」と実感を込めて語る。その言葉通り、シリーズならではの時間経過によって、見ている側も大いにキャラクターに感情移入できる。この点について蒼井は「2作を経て、憲子もだいぶ平田家のなかでずうずうしくなってきています。そういった距離感の変化などをじっくり描いていただけるのも、シリーズならではだと思います。史枝さんが家に戻ってきたときは、芝居ではなく本当にうれしいと思いましたから」と証言する。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


■威圧感や緊張感はすごい!

 2013年公開の『東京家族』から4作目を迎えた山田組の現場だが、夏川は「過去の4作を振り返ると、どれだけ山田組に鍛えていただいたかを実感できます。俳優として得られるものは果てしない」と感謝の意を述べると、蒼井も「これだけ長く同じ役をやらせていただいた経験は初めてなので、とても貴重な時間でした」と感慨深い表情で語る。

 確かにフィルムで、しかも順撮りという手法は、近年の映画製作の現場では珍しいものなのかもしれない。手間や時間は当然かかるだろうし、集中力も問われる。こうした現場の緊張感について、夏川は少し口ごもりながら「正直すごい威圧感はあります」とつぶやく。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


 続けて夏川は「男の人が......というより映画監督が自分の人生や命をかけて作品に向き合っているとき、怖くないわけがないと思うんです」と語ると「みんなを背負って、結果を求められる。そんな人が撮影中、ニコニコしているはずがないんです。人が真剣になにかをやっているときは近寄りがたいですし、別のオーラもあります。正直山田監督は怖いです。でもそれだからこそ、こうして名作を世に残しているのだと思うのです」と心情を吐露した。

 蒼井も「山田組のお芝居は求められることが特殊。お芝居の方法論も教えていただいているのですが、同時に映画を撮るということはなんなのか、監督が受け継がれてきたものを私たちに教えてくださっているんだと思います」と語ると「どんどん技術が進歩し、いまは低予算でも映画が撮れる時代。誰でも自由に発信できるなか『映画のプロフェッショナルとはなにか』ということを示してくださっている気がします」と、山田監督から受けたものすべてが財産になっているという。

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山田洋次監督 最新作『妻よ薔薇のように 家族はつらいよIII』(5月25日公開)


 本作はシリーズ第3弾となったが、夏川、蒼井ともに「ずっと続いていってほしい作品」と口をそろえると、夏川は「すごく丁寧で美しい日本語がセリフとしてそこにあるので、私自身もしっかり発音し自分のものとして話せるようにしていきたい」と山田監督作品の魅力を述べる。蒼井も「現代劇のなかに文学的な色合いがあるところがすてき」と世界観に魅了されているようだった。
最後に山田組の徹底したプロ意識に魅了され続けている二人に座右の銘を聞くと、夏川は「一期一会」、蒼井は「なんとかなるさ」と答えてくれた。

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わたしたち、「主婦」辞めます! 妻の反乱で、夫たちに史上最大のピンチが訪れる――。
「男はつらいよ」シリーズ終了から20年の時を経て山田洋次監督が作り上げた、ファン待望の喜劇映画「家族はつらいよ」の第3弾。三世代でにぎやかに暮らす平田家。ある日、主婦・史枝(夏川結衣)がコツコツ貯めていたへそくりが盗まれた! 夫・幸之助(西村まさ彦)からは嫌味の嵐......ついに我慢も限界に達し、史枝は家を飛び出してしまう。掃除、洗濯、食事の準備......主婦がいなくなってしまった平田家の暮らしは大混乱! 家族崩壊の危機に......!? "主婦への讃歌"をテーマに、すべての女性が笑って共感し、しみじみ泣けて励まされる、"家族のラブストーリー"が幕を開けます。

【本編】映画『家族はつらいよ』(2016年)(01:47:46)>>


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(取材・文・撮影:磯部正和)
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夏川結衣(なつかわ・ゆい)
熊本県出身。映画初主演を果たした『夜がまた来る』(94年)でヨコハマ映画祭・最優秀新人女優賞を受賞。TVドラマでは「青い鳥」(97/TBS)、「結婚できない男」(06/KTV)、映画では『歩いても歩いても』(08)など多数の話題作に出演。2010年に公開の映画『孤高のメス』では、日本アカデミー賞・助演女優賞など数々の賞に輝いた。山田監督作品では、『東京家族』(13)、『小さいおうち』(14)、「家族はつらいよ」シリーズに出演。

蒼井優(あおい・ゆう)
1985年生まれ、福岡県出身。1999年、ミュージカル『アニー』のポリー役として女優デビュー。2001年公開の映画『リリイ・シュシュのすべて』でスクリーンデビュー。その他代表作に『花とアリス』(04)、『フラガール』(06)など。2017年公開の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』では日本アカデミー賞・最優秀主演女優賞を受賞。山田監督作品では、『おとうと』(10)、『東京家族』(13)、「家族はつらいよ」シリーズに出演。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
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