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アダム・サンドラー&ドリュー・バリモア主演で日本でも人気を博した映画『50回目のファースト・キス』を、数々のコメディ作品を世に送り出してきた福田雄一監督(『銀魂』『勇者ヨシヒコ』ほか)がリメイクというニュースが流れたとき、「どんな作風になるのだろうか」と思った人は多いのではないだろう。山田孝之&長澤まさみ主演で、しかも福田組の常連と呼ばれる佐藤二朗&ムロツヨシもしっかりとメインキャストに顔を連ねている純愛ラブストーリーとは......。そんな疑問を解消すべく、佐藤二朗&福田監督にその全貌を聞いた。

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佐藤二朗&福田雄一監督が挑む純愛ラブストーリー『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


【予告編映像】映画『50回目のファーストキス』>>


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■重いけれど悲壮感がない父親役は佐藤二朗しかいない!

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


――福田監督と言えば、佐藤二朗さんというほどの間柄だと思いますが、今回、難病を抱える長澤さん演じる瑠衣の父親という配役の意図を聞かせてください。

福田: この映画を撮ると決めた時点で、父親の役は二朗さんと決めていて、台本も僕なりに二朗さんに当てて書いていました。事故によって脳に障害を持ってしまった女性が主人公という重い話で、オリジナルでは、娘をかわいがりつつも、厳格な父親像でした。この映画の良いところは、重い話だけれど、悲壮感がないところ。愛はあるけれど、ちょっとどこか抜けたような父親像というのは二朗さんにピッタリだと思ったんです。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


佐藤: 起用理由はいまはじめて聞きましたが、僕も同じようなことを思っていました。手段が正しいかどうかわからないけれど、娘が病気に気づかないように、毎日同じことを繰り返している家族。ものすごく厳しい状況だし、悲劇的ではあるけれど、それを土台にして、ただ重いだけにしない。そこには父親や家族の明るさが救いになっているという描き方が求められているんだろうなという意識はありました。

福田: 作った僕だけかもしれませんが、あれだけの障害を持つ娘がいる家族なのに、毎日パーティーをして馬鹿やって、楽しいやり取りをしつつ、その裏で娘にバレないように、シャンプーのボトルに液体を詰めたり、壁の絵を懸命に消したりしている姿を見ているだけで泣けてきました。

佐藤: いや、俺もホント、そう思うよ。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


福田: 節操の問題なのですが、難病を描いた作品は、絶対当事者を笑いに持っていってはダメという考えがあるじゃないですか。そこを、二朗さん演じる父親や、太賀くんふんする息子、山田(孝之)くん演じる大輔が未来を提示して、笑いを交えながら前向きに生きて行く。これまでの難病を描いた作品の常識を打ち破る感じになっていると思います。

――そんなしんみりと笑いの絶妙なバランスを醸し出す父親役を演じた佐藤さんですが、涙するシーンは新たな一面を見たようです。

福田: あのシーン、二朗さんが「泣いたほうがいいの?」というから「泣けるんですか?」って聞き返したんです。

佐藤: 失礼なこと言うな! 俺をなんだと思っているんだ(笑)。「娘にこんな良い友達がいたんだ」ってこと自体、父親的に堪らないと思ったから「お父さんも泣くよ」と言ったんです。そうしたら「泣けるんですか? 泣けるなら、一つそれでお願いしや~す」だからね。あんな軽い感じで言われたのはビックリでしたよ。

福田: いや、泣けると思ってなかったから。でも実際泣いているから、モニターみながら「うわーマジで泣いているよ」って思っていました(笑)。「すごいな、佐藤二朗も泣けるんだ。福田組以外ではちゃんと仕事しているんだな」と改めて思いました。ムロくんも二朗さんも、うちの組に来たらふざけた芝居しか求めたことなかったから、二人とも、とても新鮮でした。

■二朗さんやムロくんたちと一緒の仕事はいつもすごい緊張感

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


――福田監督がラブストーリーを撮るということで、驚かれている方も多いと思うのですが、なぜこのタイミングだったのでしょうか?

福田: 『大洗にも星はふるなり』(2009年公開)から二朗さん、山田くん、ムロくんとの関係性があり、『勇者ヨシヒコ』シリーズも第3弾までやって、なにか違うことをやりたかったんです。そこには「常に新しいものを」みたいな格好つけたことではなく、単純に違う関係性で遊びたかった。みんな大好きなのですが、違った刺激がないとマンネリになってしまう可能性がありますからね。その意味で、このメンバーでラブストーリーを撮るというのは面白いだろうなと思ったんです。予想通り今回、二朗さんや山田くん、ムロくんとも新鮮な関係性ができたのはとても楽しかったです。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


佐藤: 僕は役者なので、福田の手のひらに乗ってワイワイやっている感じなのですが、そういった意図があることは知りませんでした。でも実際は、いままでにないようなことが起きたし、福田の思惑通りだったのかもしれませんね。

福田: 二朗さんもムロくんも、福田組の常連で「風神雷神」とか言われていますが、お互いの関係は、実はものすごく緊張感があるんです。二朗さんもムロくんも山田くんも、お互いがお互い、つまらないと思われたくないという緊張感があると思う。僕も、新しいキャストとやったほうが、ずっと楽なんです。だって初めての人だと「福田さんの台本面白いですね!」なんて言ってくれるじゃないですか(笑)。それでもやっぱり二朗さんやムロくんとやりたいんです。そのためには「前のほうが全然面白かったよね」という台本は書けないし、演出もできない。明日から二朗さんとクランクインという日は、楽しみな半面、すごく緊張するんです。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


――意外な関係性ですね。

福田: 信じてもらえないかもしれませんが、プライベートで二朗さんと二人でご飯食べたことは1回だけですからね。

佐藤: 『THE 39 STEPS』口説かれたときだけですね。

福田: ムロくんだって、ベタベタ一緒にいるように思われるけれど、ご飯行くのなんか年に1~2回ぐらいです。普段から役者さんたちとなあなあでいると、面白くなくても許しちゃうと思うんです。それがないから、現場でつまらなければ「全然面白くないよ」って言えるんです(笑)。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


――福田監督にとって"面白いもの"というのは俳優さんからインスパイアされることが多いのでしょうか?

福田: それは大きいですね。『ヤングフランケンシュタイン』なんか、小栗(旬)くんとの付き合いのなかで、小栗くんがミュージカルやったら面白いだろうなという思いだけで企画しましたから。歌がどうとか、踊りがどうとかまったく関係ない。夏にやるミュージカルも、佐藤二朗がやったら面白いだろうなということだけ。好きな役者さんだからこそ、求めたいことがある。そういう視点は常に持っていたいですね。僕は役者が好きなんです。彼らの一挙手一投足を見ていて、面白いなと思う部分を切り取っているだけなんです。

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山田孝之&長澤まさみ主演『50回目のファースト・キス』(6月1日公開)


――この作品でも俳優さんから影響を受けたことも?

福田: 太賀くんの役は台本と全然違ったんです。もっとしっかりした弟だったのですが、クランクインの日に、空港で二朗さんがビンタするシーンがあったのですが、そのときの顔がめちゃくちゃ面白かったんです。「ビンタされました」という顔ではなく、ビンタされたことを忘れたような顔。その顔が劇的にツボにはまってしまい、その日に「太賀くん、ごめん」って言って、キャラクターを完全に変えてしまったんです。

佐藤: 台本を自分で書いているというのは大きいよね。

福田:それもありますが、やっぱり現場で役者さんからもらうものも大きいんですよ。

・・・・
「君を絶対、幸せにする。君が明日、僕を覚えていなくても―」
ハワイでコーディネーターをするプレイボーイの弓削大輔はある日、カフェで藤島瑠衣という女性と出会い、恋に落ちる。しかし、翌日同じカフェで会った彼女は大輔の事をまるで覚えていない。実は彼女は交通事故の後遺症により、新しい記憶が1日で消えてしまう短期記憶障害を抱えていた。事情を知った大輔は、翌日から毎日彼女に告白をし続けるが......。
山田孝之×長澤まさみ W主演、出演はムロツヨシ、勝矢、太賀、山崎紘菜、大和田伸也、佐藤二朗。映画『50回目のファーストキス』は6月1日(金)公開。

(C)2018 『50回目のファーストキス』製作委員会
(取材・文・撮影:磯部正和)
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福田雄一(ふくだ・ゆういち)
1968年7月12日生まれ、栃木県出身。1990年に旗揚げした劇団「ブラボーカンパニー」で座長を務め、舞台の構成や演出を担当する一方で、フリーの放送作家として「笑っていいとも!」や「SMAP×SMAP」など数多くの人気バラエティ番組の構成を手掛ける。ドラマの脚本・演出家としても「33分探偵」(08年)や「勇者ヨシヒコ」シリーズ(11-16年)、「アオイホノオ」(14年)などの人気作品を世に送り出し、映画でも『HK 変態仮面』(13年)や『女子ーズ』(14年)、『銀魂』(17年)、『斉木楠雄のΨ難』(17年)など個性的な作品を手掛けている。座右の銘は「演出は優しく、焼き肉には厳しく」

佐藤二朗(さとう・じろう)
1969年5月7日生まれ、愛知県出身。1996年に劇団ユニット「ちからわざ」を旗揚げし、全公演で作・出演を務める。その後、個性的な役柄で人気を集め、数々のドラマや映画に出演。福田監督作品では欠かせない俳優として認知されており、数々の作品で大きなインパクトを残している。座右の銘は「芝居は真摯(しんし)に精神年齢は低く」

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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