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 第7回「東宝シンデレラ」オーディションで賞を獲得し芸能界入りした上白石萌音、上白石萌歌姉妹。これまでPVなどでの"共演"はあったものの、6月8日に公開する『羊と鋼の森』で、映画初共演となった。妹・萌歌は、姉妹共演が「夢だった」と目を輝かせて語っていたが「ライバルでもあり一番の理解者」という二人に初共演の感想や、作品の魅力を大いに語ってもらった。

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上白石萌音&上白石萌歌、姉妹初共演『羊と鋼の森』(6月8日公開)


【予告編映像】映画『羊と鋼の森』(6月8日公開)>>


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■姉妹共演は夢だった!

――姉妹でオファーを受けたときの率直な感想を聞かせてください。

萌歌: やっと夢が叶(かな)ったと思いました。このお仕事をはじめてから、それぞれ別の仕事をすることが多く、これからも交わることがないのかなと思っていたんですが、実は私にとって姉妹共演が一番の夢でした。これまで育ててくれた方たちに、二人の姿を見ていただいて恩返しができたらという気持ちです。

萌音: もちろん私も感激しましたし、夢が叶(かな)って嬉しかったのですが、同時にすごく分厚い楽譜を渡されて「しっかりピアノをマスターしてください」と言われたので「どうしよう......」という不安もありました(笑)。ただ、萌歌と一緒なら乗り越えられるだろうという安心感もありました。

――萌歌さんは心の支えになってくれると?

萌音: そうですね。同じ目標に向かってそれぞれやっていましたし、同じ家に住んでいるので、萌歌が役柄に向き合っている姿を見ては「私もやらなければ!」と駆り立てられました。一人ではここまで突き詰められなかったと思います。

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上白石萌音&上白石萌歌、姉妹初共演『羊と鋼の森』(6月8日公開)


――劇中では、見事なピアノを披露しています。練習中は辻井伸行さんての曲をずっと聴いていたそうですが、完成披露試写会ではご本人がピアノを披露されましたね。

萌音: 鍵盤のタッチの振動が伝わってくるほどの臨場感でした。ずっと(萌音が演じた)和音が理想としていた音は辻井さんの音だと思い、撮影前も、撮影中もずっと辻井さんの曲を聴いていました。その憧れの人が目の前で演奏されているのを見て、本当に幸せで。終わってほしくないと浸っていました。

萌歌: 本当に「こんなにすてきな時間がありますか!」とずっと感激していました。ピアノを弾いている辻井さんを正面から見ると、表情や呼吸とかを感じることができて、言葉にならないほど感動しました。

■仕事をする上でも、一番の相談相手

――劇中で二人が演じた和音と由仁という姉妹はピアノという共通点でつながっているものの、あまりピアノについては話をしませんでした。お二人はお互いのお仕事の話はしますか?

萌音: します。一番の相談相手です。姉妹という関係性ではなく、対等の立場で話をします。

萌歌: 基本的には対等ですが、姉が相談にしっかり答えてくれると「やっぱり姉だな~」と感じます。

萌音: でも、たまに「あれ、私お姉ちゃんだったっけ?」と錯覚することもあります。萌歌はしっかりしているんです(笑)。

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上白石萌音&上白石萌歌、姉妹初共演『羊と鋼の森』(6月8日公開)


――年齢差はあっても同期みたいな関係ですか?

萌音: お仕事をはじめたタイミングは一緒なので、同期ですね。

――橋本光二郎監督からは姉妹という関係性についてなにか言われましたか?

萌音: あまり言われた記憶はないです。とにかくピアノのことを気にされていました。それはきっと橋本監督が、"ピアノに向き合うことが役に近づくこと"だと分かってらっしゃったので、言葉にする必要がなかったんだと思います。

――非常に静かながらも、メッセージ性の強さもある映画らしい映画に仕上がっているように感じられますが、出来上がった作品をご覧になった感想は?

萌歌: 素晴らしい映画だなって素直に思います。自分が出演しいるのを忘れてしまうぐらい、世界観に入り込めました。静かながらも、すごいパワーをもらいました。

萌音: すごく静かな映画でありながら、燃えるような力もある。実際、映画のなかには無音のシーンがいくつもあるのですが、その静寂から流れてくるピアノの音が、とても情熱的でもあり、その対比もすてきだなと。いま、この年齢でこうした映画に携われたことは奇跡だなと感じました。

■妥協のない現場

――撮影は旭川でのロケだったとお聞きしましたが、いかがでしたか?

萌音: 結構長い間、旭川にいました。特に私は、2月と6月の撮影で、いったん空いて、また撮影というスケジュールだったのですが、現場に入ると、作品の空気感がそのままで、まったくブランクを感じさせないんです。橋本監督や(山崎)賢人くんの優しい人柄がにじみ出ているような現場でした。

――撮影は妥協をしない監督だとお聞きしました。

萌歌: 監督がしっかり私たちを見てくれるので、そのとき一番の力が出せる環境でした。

萌音: 確かに妥協されない監督でした。粘って粘って、感情が出るまで、じっくり撮影していただきました。

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上白石萌音&上白石萌歌、姉妹初共演『羊と鋼の森』(6月8日公開)


―― 一番印象に残っているシーンはありますか?

萌歌: (山崎演じる)外村さんに病気のことを話すシーンは、本当に粘って粘って撮った緊張感のあるシーンでした。私自身もしっかり感情を出せたシーンです。

萌音: 私はラストの方で、ショパンのピアノソナタを弾くシーンです。最初2月に撮影をしてひととおり終わったのですが、橋本監督から「もうちょっと時間があったら、演奏の精度をあげられますか?」と言われたんです。私ももうちょっと時間が欲しいなと思っていたので「ハイ」と言って、6月まで特訓しました。

――感覚が空いた時間も他の仕事をされていたんですよね?

萌音: 同じ時期に他のお仕事もさせていただいていましたが、原作を読んだときから、和音は自分の分身のような気持ちでした。大変でしたが、そこにゴールがあるのは頑張る源になりました。

萌歌: そのときの姉は、背中から「ショパンめ!」という空気が漂っていました。その姿を本当に「頑張れ!」という気持ちで見ていました。

萌音: 6月の撮影でも、橋本監督から「もっといける、解き放て!」とすごく粘ってくださったので、自分でも思っていなかった表情が出たと思います。長い時間をかけて一つのシーンを撮ることの情熱というのはすごく、貴重な体験ができたと思っています。

■それぞれからみた魅力とは

――目標に向かって突き進むことは楽しいですか?

萌歌: 姉のすごく尊敬できる部分は、作品への愛と責任感です。台本をもらうと、その日に全部読んでしまうぐらい。ご飯ができても部屋から出てこないんです(笑)。その背中を見ていると、私も「もっと作品を知ろう」とか「備えが必要だ」と感じるんです。

萌音: 取材でもないと、こういうことを言ってくれないので、感謝です(笑)。

――萌音さんから見た、萌歌さんの魅力は?

萌音: 萌歌はぶれない自分を常に持っていながら、それをすごく柔軟に手放すこともできるんです。役を演じるときは「行っておいで」と自分を逃がしてあげて、終わると戻ってくる。私は役を引きずるタイプなのですが、萌歌はどんな役をやってもスッと切り替わるんです。あとは、自分の意思を明確に話せる人です。私は流されやすいので、いつもすごいなって思っています。コツコツ型でもありますね。

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第13回本屋大賞を受賞した小説を、山崎賢人主演で映画化『羊と鋼の森』(6月8日公開)


――萌音さんもコツコツ型ではないのですか?

萌音: 私は追い込まれてお尻をたたかれた方が頑張れるタイプです(笑)。誰になにも言われずとも自分から努力できる萌歌を尊敬します。

――今回初共演でしたが、この映画を経験して姉妹の関係性は変わりましたか?

萌歌: 劇中の姉妹から得られるものが、とても多かったです。いつもどこかでつながっている理想の姉妹だなと。そういう部分はお互い影響を受けましたね。

萌音: 今まで別の仕事をしていて、初めて一緒の現場になったことで何か姉妹の関係に変化が生まれるのかなと想像していたのですが、それはなかったです。これまで積み上げていた関係性が私はとても居心地が良かったので、ホッとしていますし、嬉しかったです。

―― 張り合うことは?

萌歌: 例えばプリンを食べるときとか、姉が食べ終わるのを見てから食べます。私が先に食べ終わって、姉が残っているのが嫌なんです(笑)。

萌音: 私もそうです。萌歌より先に食べ終わるとなんか損した気分で......。くだらないですね(笑)。

――お話を聞いていると、あまり姉妹という感じではなく、同期の仲間のように感じます。

萌音: 妹が、姉のことを名前で呼ぶ関係性ってあるけれど、うちは萌歌が「萌音」と呼ぶと、親から「お姉ちゃんでしょ」と直されていました。そうやって育ったので、姉と妹という関係性ですね。

萌歌: 確かにほとんど「萌音」と呼んだことはないですね。

萌音: でもお仕事をはじめたころから、同期という関係性になったので、いまでも「お姉ちゃん」と呼んでもらっていますが、あまり姉妹という感覚ではないかもしれません。

――そういう感覚だからこそ、共演はうれしかったんですね?

萌歌: お互い違う作品をやって苦しいことがあっても、姉がいたので、頑張れたところがありました。やっと共演できて、それが最高の作品でとても楽しかったんです。でも「1回だからこそ価値があるのかな」と思う部分もあり、これが最後でもいいのかなと思ってしまうぐらい、特別な作品でした。

萌音: 演じた姉妹も最高の関係性で、運命を感じました。

――最後に座右の銘を教えてください。

萌音: 「山椒は小粒でピリリと辛い」。これは『舞妓はレディ』の周防正行監督から贈られた言葉なのですが「萌音ちゃんは小さいけれど、どこにでも存在が感じられる味のある人になってください」というメッセージだったので、私は山椒になりたいです(笑)!

萌歌: 私は「死ぬこと以外かすり傷」です(笑)。

萌音: ロックだなぁ(笑)。

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第13回本屋大賞を受賞した小説を、山崎賢人主演で映画化『羊と鋼の森』(6月8日公開)


『火花』『君の膵臓をたべたい』など数ある話題作を抑え、2016年第13回本屋大賞を受賞した小説『羊と鋼の森』が映画化。ピアノの音、森の景色や匂い、心を打つ言葉... 映画ならではの、五感を刺激する美しい映像が完成した。エンディング・テーマは久石譲が作曲し、辻井伸行がピアノを演奏、世界的アーティストの初共演が実現。出演は、山崎賢人、鈴木亮平、上白石萌音、上白石萌歌、堀内敬子、仲里依紗、城田 優、森永悠希、佐野勇斗、光石 研、吉行和子、三浦友和。

(取材・文:磯部正和 撮影:中村好伸)
(※「山崎」の「大」は「立」が正式表記)
(C)2018「羊と鋼の森」製作委員会

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上白石萌音(かみしらいし・もね)
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。2014年公開の『舞妓はレディ』で主演に抜擢(ばってき)されると、みずみずしい演技が評価され、第38回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2016年公開の『君の名は。』ではヒロイン宮水三葉の声を演じ、第11回声優アワード主演女優賞を受賞。その他、『ちはやふる』シリーズ(16,18年)や『溺れるナイフ』(16年)などの映画をはじめ、日曜劇場「陸王」などにも出演。歌手としてもミニアルバム『chouchou』をリリースしメジャーデビューを果たしている。7月27日からは、ミュージカル『ナイツ・テイルー騎士物語ー』に出演する。座右の銘は「山椒は小粒でピリリと辛い」。

上白石萌歌(かみしらいし・もか)
2000年2月28日生まれ、鹿児島県出身。2011年第7回「東宝シンデレラ」オーディションで、最年少(10歳)でのグランプリを獲得。2012年にドラマ「分身」で女優デビューを果たす。その後『金メダル男』(16年)、『ハルチカ』(17年)などの映画に出演。待機作に『未来のミライ』(7月20日公開)、『3D彼女 リアルガール』(9月14日公開)、10月からは舞台「浪漫活劇『るろうに剣心』」に出演する。座右の銘は「死ぬこと以外かすり傷」。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

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