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19歳のソロアイドル・戦慄かなのは、少年院にいた経験がある。母親から虐待を受けながら、なんとか自立しようともがいた結果、"ブラックなビジネス"に手を染めた。現在はアイドルとしての発信力を生かしながら、被虐待児たちのための活動を画策している。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "少年院出身アイドル"戦慄かなの)


19歳アイドルが少年院に入っていた訳>>


■少年院で"長老"と呼ばれた

「母子家庭だったんですけど、母親が1週間家に帰ってこなくて妹と飢え死にしそうになったりしたんですよ。お風呂とか歯磨きの仕方も教わってなかったから、いつも不潔で学校でもいじめられて。そんな中で『お金がなきゃ生きられないんだ』ってお金への執着が強くなって、高校入学から"ブラックなビジネス"を始めました。

少年院での生活は......1日のスケジュールを告白>>


少年院って最短だと10カ月で出られるんです。でも私はずっと荒れていたから、出るのに2年かかりました。"少年院の長老"って呼ばれていましたもん(笑)。少年院にいると、いろいろ気づいちゃうんですよね。それまで自分は、自立するために非行に走ったと思っていたんですけど、結局お母さんの気を引きたかっただけだったんだと思います。

少年院出身アイドルが吉田豪に放った一言>>


少年院って自分を振り返る時間しかないというか、そのための施設ではありますから。でも自分に向き合うのってキツいから、逃げるために勉強していました。でも少年院に入って、いろいろ変わったと思います。昔は自分の気持ちをわからないまま行動していることが多かったんですけど、少年院を出てからは、自分が今何を考えているのかわかるようになりました。

少年院の中で友だちができない理由に納得>>


少年院で毒親関係の本も読みましたよ。お母さんの心理を知りたかったし、自分がそうなる可能性の芽は摘んでおきたかったので。お母さんのことが全然わからなかったけど、そういう本を読んだら、『超ドンピシャじゃん!』と思いました。マニュアルがあると、接しやすくなるし、その場を収めるために『はいはい、ごめんね』みたいなことも言えるようになりました。過去の怒りも薄まって......いや、薄まらないですけど(笑)。でもまぁ多少は許せるようにはなりました」

■更生しても社会に出ると戻ってしまう

「少年院に入るような非行少年って、意外と自分に自信がない人が多いと思います。オラオラ系の不良に見えても、やっぱりどこか影がある。少年院みたいな見栄を張っても意味がない環境にいくと、自然と素が出てくる。そういう人は更生が早いんですよ。逆に、家族に反抗するために非行するお嬢様みたいな、ひねくれたタイプは先生とかにも心を開くのが遅いから出所が遅れる。これは"少年院あるある"です。(笑)

私も別に先生に心を開いたわけじゃないんですよ。最後まで大事なことは言わなかったし。でも、少年院の他のみんなよりちゃんとやっているんじゃないかな(笑)。出所してから会ったりしますけど、やっぱり社会に出ると戻っちゃいますよね。『大学に絶対行く!』って張り切っていた子も結局ガールズバーで働いちゃっているし。犯罪ではないけど、それでいいの? 私ほど見違えるような成長した人、他にいませんよ(笑)。

本当に立ち直るためには、身近な人が大切なんだと思います。私もいじめや虐待を受けていたとき、『なんでも相談していいよ』みたいな電話相談の番号が載ったプリントとか学校で定期的に配られていたし、絶対ストックはしていたんですよ。でも電話かけたことはなかったな。いくら機関が充実していても、これは重大な問題なんだってことを本人が認識していないと、そこまでアクセスできません。怖いし......。

1人でも多くの人に虐待の現状を知ってもらうことが、変化の第1歩だと思っています。それをなんとかTwitterとかで伝えられないかと頑張っています」

■被虐待児にご飯を届けたい

「子供食堂を作りたくて、今いろいろ動いているんです。ネグレクトされている子にご飯とかを届けたい。それで、少年院を出ても何もやることがない人に心理学の勉強をしてもらって、子供食堂で子供たちのメンタルケアを任せたいと思っています。どっちもWin-Winじゃないですか。言葉だけだと何を言っても届かない人には届かないし、物理的に助けていきたいです。

そういった活動でアイドルとしての拡散力が役立っている部分はもちろんあるんですけど、でも少し失敗したなと思う部分もあるんです。だって、"少年院出身アイドル"ってパワーワードじゃないですか(笑)。自分で曲も作っていて、アイドル活動はアイドル活動で普通に楽しんでいるから、あまり過去のことばかりが独り歩きしちゃうのもなぁと。NPOとか子供食堂の活動と、アイドルはもう少し切り離せたらよかったなとも思います。

Twitterで『少年院出身を武器にしている』ってたたかれたこともあるんですけど、アイドルにとってはマイナスイメージでしかないから!(笑) 同じアイドルから『あまり関わるなって運営に言われたからフォロー外します』って、わざわざTwitterでDM来たこともありますよ(笑)。

『戦慄かなのさんはすごい』みたいに言われることも増えたんですけど、全然実感がないんですよね。ただネタでツイートしただけの内容も妙に深読みされちゃったりして。それにアイドルとして私を応援してくれている人が、子供食堂のクラウドファンディングに協力してくれるかって言ったらまた別ですしね。このへん、最近のリアルガチな悩みなんです(笑)」

■少年院出身を隠さない人生もあり

「少年院出身だったことを隠して生きる選択肢もあったわけですよね。でも少年院で『だから、あなたも生きぬいて』(著:大平光代、2000年出版)という本を読んだんです。極道の妻から弁護士になった方の手記で、少年院にめっちゃ何冊も置いてあるんですよ。少年院のみんなが『一番好きな本だ』って言っていて、私は『それ以外本読んだことないからでしょ』って思っていたんですけど(笑)。

でも、こういう本を読んでいなかったら、少年院出身を公表する選択肢は思い浮かばなかったかもしれません。うちのお母さんって、少年院って単語を言うだけですごく怒るんですよ。『そのことは忘れて』みたいな。でも、少年院出身をオープンにする人生もありかなと思えたんですよね。それで非行少女たちのために活動するのも悪くないかなって。

過去を隠さないで成功している人たちも実際いるし、やり方次第だと思うんですよ。それにダメだったらダメだったで、そのときはそのとき。もともと人生1回終わっているようなものですから(笑)。

顔出しで活動していると、少年院で一緒だった人から『〇〇さんだよね?』みたいに連絡来たりするんですよ。中学生のときに私をいじめていた人から『元気?』って連絡が来たこともあります。『こういう次元まで来たんだ』と感じて、それはちょっとうれしかったですね!(笑)」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "少年院出身アイドル"戦慄かなの)


◆戦慄かなの
1998年9月8日生まれ。高校1年生のときから2年間、少年院に入っていた。講談社が主催するオーディション「ミスiD2018」でサバイバル賞を受賞して話題になる。現在は大学に通いながら、アイドルとしてイベント出演、コラム執筆などの活動を行っている。また、子供食堂を設立するためのクラウドファンディングを準備中。
座右の銘は、「人生はサバイバル」。

(取材・文/原田イチボ@HEW

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