ここから本文です

世界最大のプロレス団体「WWE」で活躍していたプロレスラー・TAJIRIは、当時アメリカでイチローをしのぐ知名度を誇っていた。現在はフリーのプロレスラーとして全日本プロレスなどの団体に参戦するほか、鍼灸(しんきゅう)師としても活動して、相変わらず多忙な日々を送っている。TAJIRIに夢を叶(かな)える秘訣(ひけつ)を聞いた。

サムネイル

(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 世界最大のプロレス団体「WWE」で活躍していたプロレスラー・TAJIRI)


米国でイチロー並みの知名度だった日本人レスラー>>


■アメリカだとプロレスは"月9"だ!?

――「イチロー以上の知名度」とは、具体的にどういう感じなのでしょうか? 日本だとプロレスというと、まだまだ「一部のマニアの趣味」というイメージが強いですが......。

「日米でプロレスに対する感覚は全然違います。アメリカだと、『WWE』の大会が毎週テレビ中継されて視聴率も高くて、好き嫌いはどうあれ、"みんな知っているテレビ番組"という感覚ですかね。日本で言うと月9みたいなものでしょうか。だから、必ずしも熱心なプロレスファンというわけではない家族連れが、映画を見に行くくらいの気軽さで『WWE』の大会に足を運ぶんです」

世界最大のプロレス団体は試合数も世界一>>


――となると、選手が街を歩くと大変なことになりそうですね。

「アメリカでは、プロレスラーたちは"いつもテレビに出ている人"という感覚なんです。街を歩いていたら囲まれて握手を求められたこともありました。あと、お店で酒を飲んで、会計しようとしたら、『あちらのお客様がかわりに払っています』とか。それでお礼を言いにいったら、『お礼はいいからサインください』と頼まれるようなことが、しょっちゅうありました」

――日本で大人気のプロレスラーといえど、必ずしも「WWE」からスカウトがかかるわけではありません。海外でも活躍するために、必要な能力は何でしょうか?

「プロレスに限らず、どんな仕事でもそうだと思うんですが、海外でうまくいく日本人って、何か"かわいい"んですよ。母国以外で活動するのだから、仕事ができるのは大前提。その上で、愛嬌(あいきょう)がある。自分をさらけ出すことがうまい、と言い換えてもいいかな。とくにプロレスは、単純に技とか身体能力がすごいというだけでは、絶対売れない世界ですしね」

米国トップレスラーの驚愕のファイトマネー>>


■「あの人みたいに俺もなる」と思わせるのが本物

――技や身体能力だけでは、トップを獲ることはできないんですね。

「エンターテインメントって、見る人の心にガチな刺激を与えることだと思うんです。それは別に『楽しい』という気持ちに限りません。だってホラー映画なんかは、ガチで怖がらせるエンタメじゃないですか。どんな感情であろうと、お客さんの心をガチで動かす。それがエンタメです。いくら飛び技がすごくても、それに本気で心を動かされるかといったら違いますよね。だから僕は、今のプロレスファンが植え付けられている"良い試合"という概念自体が間違っているんじゃないかと考えています。『あの技すごい』じゃなくて、『あの人みたいに俺もなる』と思わせるのが本物......というのが、僕のプロレス観です」

鍼治療で針を刺しているのに血が出ない理由>>


――Twitterでも「ちゃんとしたしきたりを身につけた者がいないためにだんだん消滅してしまう伝統芸能のようになってしまう。もうなりかけている」と現代プロレスに警鐘を鳴らしていましたね(4月2日のツイートより)。

「整合性のある立ち方など、基本技術をしっかり学んだ方がいいとは本当に感じます。今、日本で脚光を浴びている選手も、40歳くらいになってくると体力が衰えてくるじゃないですか。そうなるとプロレスのやり方がわからなくなって、有名選手でも引退する人がたくさん出てくるんじゃないかと心配しています。プロレスって本当は、年取ってもうまくなれるようにできているんですよ。僕は今年で48歳ですし、もっと年上で現役の選手もいる。ちゃんとやれば、プロレスって選手生命がすごく長いものなんです」

――TAJIRIさんから見て、この選手はすごいと感じるのは?

「今だと、宮原健斗じゃないですかね。タレント性を持っていて華やかですよ。純粋にすごいと感じるのは、ウルティモ・ドラゴン。立ち姿からすでに美しいですからね」

■プロレスを辞めたら「心が死ぬと思っていた」

――「WWE」にスカウトされるまでは金銭的に厳しく、スカウトされてからも世界中を回るハードスケジュールだったと聞きます。プロレスを辞めたくなったことはないんでしょうか?

「1回もありませんでした。辞めたら、自分の心が死んでしまうと思っていましたから」

――これがトップを獲った人間の考え方......!

「でも専門職に就いている人間って、誰でもそうじゃないですか? あなたは、ライターの仕事を辞めたくなること、あります?」

――辞めたくはなりませんが、忙しいと、どうしてもキツい、つらいとは感じてしまいます......。

「そういうときは、『このつらさを、いつか自伝に書いてやる』と思えばいいんです。自分はその通りになったんですよ。大学のとき、住んでいたアパートの隣に鉄棒があったんですが、そこで毎日懸垂しながら、『いつかテレビカメラに向かって、ここで懸垂していたと言おう』と考えていたら、本当にそうなった。自分にとって喜ばしい光景を先々考えて準備しておけば、勝手にそうなっていくものなんです」

――引き寄せの法則みたいなものでしょうか。でも確かに、多くの実業家たちもビジネスにおいて近いことを言っていますね。他にTAJIRIさんの、モチベーションを保つ秘訣(ひけつ)はありますか?

「僕はプロレスラーと鍼灸(しんきゅう)師の仕事をしているので、スケジュール的には今もかなり忙しいです。でも、やりたくない仕事は一切やっていないので、楽しく働けています。意外と世の中って、好きなことだけしていても生きていけるようになっているんですよ」

――そういうものでしょうか......!?

「世の中の8割くらいの人間が、『そんなわけない』って最初から決めつけてしまって、やりたくない仕事をやっているでしょう? この世には、そういう人たちが捨ててしまったぶんのエネルギーがごろごろ転がっているんですよ。だから、取り放題! 地球上にほったらかしにされているエネルギーを拾って、自分のものにしちゃうんです。『人生で起きることは、すべて死ぬまでの途中経過』だと思えば、結構なんでも踏み出せるものですしね」

◆TAJIRI
1970年9月29日、熊本県生まれ。94年にIWAジャパンへ入門して、同年9月デビュー。2001年2月に世界最大の米プロレス団体「WWE」と契約して、一躍スーパースターとなった。現在はフリーのプロレスラーとして活動するほか、東京都武蔵野市吉祥寺本町1-28-3の「武蔵野治療室」にて鍼灸(しんきゅう)治療もおこなっている。
座右の銘は、「人生で起きることは、すべて死ぬまでの途中経過」。

(取材・文/原田イチボ@HEW

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ