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綾野剛主演のテレビ朝日木曜ドラマ「ハゲタカ」が始まった。
去年の「フランケンシュタインの恋」(日テレ・17年春)や「コウノドリ」(TBS・17年秋)では、イメージそのままの優しいキャラクターを綾野剛は演じていた。ところが今回は、一転して"ハゲタカ"と激しいバッシングを受ける外資系投資ファンドの代表取締役・鷲津政彦役を演じている。
不良債権を抱えた"大銀行"や経営不振の"名門企業"に次々と買収を仕掛け、鮮やかに勝利していく様を描いた、ドラスティックな経済ドラマである。

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Go Ayano attends a press conference for the launch of NTT DOCOMO's 2018 summer lineup of 11 mobile devices on May 16, 2018, Tokyo, Japan. (Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


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■光るキャスティング

綾野剛とは3度目の共演となる沢尻エリカ。
阿吽(あうん)の呼吸で、安心感のある演技を見せている。日光の老舗ホテルの娘で、東京のホテルのフロントマネージャー・松平貴子を演じる。
鷲津の右腕となるアラン・フジタ役には、池内博之が抜擢(ばってき)された。自身がハーフである容姿を生かして、日系アメリカ人役で、大手投資銀行出身ならではの剛腕を発揮する役柄だ。
そして大手銀行・三葉銀行の資産流動化開発室室長・芝野健夫役に渡部篤郎、常務の飯島亮介役に小林薫と重鎮が固める。

今回の綾野剛は、とにかくクールでカッコイイ。
「コウノドリ」の有能で優しい産婦人科医役では、隠れたピアニストとしても、かなりの腕を発揮した。綾野ファンには、うれしい金曜の夜となっていただろう。
今期の「ハゲタカ」は、2007年のNHK版が大好評だったこともあり、前イメージが出来上がりすぎていて難しい役どころとなった。それでも従来のイメージをガラリと変え、意外な一面を発揮しながら俳優としての演技の幅を広げている。

■骨太なストーリー

原作は2004年に刊行された真山仁の小説、『ハゲタカ』と『ハゲタカⅡ』だ。
2007年のNHK版は、原作を『ハゲタカ』と『バイアウト』とした。しかも原作に沿っている部分は一部に限られ、ドラマは原作とは別物として位置づけられていた。
評価は上々で、イタリア放送協会(RAI)主催の第59回イタリア賞・ドラマシリーズ番組部門賞などを受賞した。2009年には映画化もされている。
いっぽう今回のテレビ朝日版は、『ハゲタカ』と『ハゲタカⅡ』を原作としている。NHK版や映画版とはまた異なる、新たなバージョンに挑戦している。

なにより原作は力強い。枠組みも重厚で骨太だ。そして作者の伝えたいメッセージが強烈でしっかりしているからこそ、少々ストーリーを書き換えても、見劣りすることはなく魅力的な新作品に生まれ変わっている。
近年は漫画原作のドラマが一斉を風靡(ふうび)している。ところが「ハゲタカ」は、"小説の時代"到来を感じさせる作品だ。ストーリーが建築物のように展開し、連続して見るとその構造の面白さが見えてくるようになっている。

■スタッフの腕

この大作を演出するのは、大ヒットした「相棒」シリーズなどを手がけた和泉聖治監督だ。
「相棒」だけではなく、かつてピンク映画を多く手がけ、映画、Vシネマ、テレビドラマなど幅広く活躍してきたベテランだ。
緊張感のあるシーンと日光の自然を、どんな風に料理するのか期待が膨らむ。

主題歌は、ミスチルが歌う。
音楽は、富貴晴美が手がける。
ドラマや映画の劇伴を担当する作曲家は男性が多い。そんな中にあって若手女性作曲家が活躍するのは頼もしい。32歳の若さで、映画音楽・アニメ・CM・ドラマと、「いつ曲を書いているのか?」と聞きたくなるほどの活躍ぶりだ。ジャンルは、クラシックからロック・ジャズまで幅広く、アカデミックな作曲の知識を生かし、壮大な映画音楽のような迫力感から、女性ならではの繊細なメロディと洗練された楽器選びのセンス、細やかさが魅力的だ。

実はテレ朝木曜9時枠では、1年の中でも7月クールが最も苦戦続きとなっていた。
例えば15年の「エイジハラスメント」は、初回9.7%・シリーズ平均8.9%。16年「はじめまして愛してます。」が初回10.0%・平均9.9%。17年「黒革の手帖」が初回11.7%・平均11.5%。
今回の「ハゲタカ」は、11.9%で始まったが、右肩上がりの期待を担っている作品なのである。
経済ドラマという重厚な作りに、新たなエンターテインメント性を持たせ、従来のテレ朝ドラマと一味違う興味深い作品になるだろう。
魅力的なキャストに、腕の良いスタッフ、そして手に汗握るストーリーで、木曜9時が新たなステージを切り開く予感がある。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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