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『人を動かす』は、世界で1500万部以上売れたアメリカ人作家のデール・カーネギーが書いた書籍だ。
「他者に対する自己の行動を変えることにより、他者の行動を変えることができる」という考えが柱になっている。
土屋太鳳主演の「チア☆ダン」は、チアダンスの夢に向かって女子高生たちが邁進(まいしん)するドラマだが、実は「人を動かす」「人を踊らせる」物語として読み直すことができる。

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イメージ画像(ペイレスイメージズ/アフロ)


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■人はどう動き出すのか?

同ドラマでは初回、主人公の藤谷わかば(土屋太鳳)が、転校生・桐生汐里(石井杏奈)、姉のあおい(新木優子)、教師の漆戸太郎(オダギリジョー)の言動で動き出す。
「努力は裏切らないなんてうそや」と完全に自信を失っていたわかば。原因は完璧に見える姉。ところが姉にも臆病という弱点があった。それを克服すべく、東京に出る決断をした。
その揺れと決意を見てわかばも心を決める。
最後は「苦しむだけかも」「でも、本当にやりたいことをやれてる時が楽しいかも」という太郎の言葉で、「当たってくじけろやね」とわかばは立ち上がる。
カーネギーの本にある「人を動かす三原則」の<強い欲求を起こさせる>条件が整った場合だろう。

一度は6人となったチアダンス部員は、汐里の指導が厳しすぎて4人が辞めてしまう。
ところが東京に旅立つあおいを勇気づけるために、わかばは汐里と2人だけで踊る。それを見て、辞めた4人も加わる。
「人を説得する十二原則」の<人の美しい心情に呼びかける>パターンだ。

■人はどう結束するのか?

第2話では、終業式までに8人部員を集めることになっていた。
番組ラストで最後の2人が集まる。ところが最後の1人として名乗り出た学級委員長の桜沢麻子(佐久間由衣)は、みんなから「似合わない」と笑われてしまう。そこで一歩前に出たわかば。「ちょっとそこ、笑わんといてくれるか。人のやりたいこと笑うな」と一喝する。
<人の身になる><相手の考えや希望に対して同情を持つ>みごとなリーダーシップだ。

練習不足のまま初めての大会に出たわかばたちのロケッツ。
いうまでもなく結果は惨敗。ミスや転倒を繰り返す散々なステージになってしまったのである。
意気消沈したわかば達は、顧問・太郎に「無駄な時間使わせて悪かったの」と頭を下げ、会場を去ろうとする。
ところが太郎が「ほんまにそれで良いんか?」と、部員全員の名前を一人一人呼び、穏やかな口調で語りかけた。それぞれ重い言葉が続いたが、特に最後の一言が振るっている。
「俺、私なんか、って言う言葉がどうしても許せないんよ。諦めていいんか。失敗したっていいじゃないか。どん底から一つひとつ乗り越えていけばいいんだよ」
<名前は、当人にとって、最も快い、最も大切な響きを持つ言葉であることを忘れない>
<相手の関心を見抜いて話題にする>
かくしてメンバー全員に<強い欲求を起こさせる>ことができ、ロケットスタートとはいかなかったが、ロケッツは着実に前進し始める。
顧問の太郎先生は、前の学校での失敗を教訓に、指導者として大きく成長しようとしている。

■まわりの人をどう巻き込むか?

校長・駒子(阿川佐和子)の配慮などもあり、目標の中央高校チアダンス部JETSの見学をさせてもらったり、部室が手に入ったりしたチアダンス部ロケッツ。
ようやく本格的な活動が始まると思いきや、わかばが所属していた望(堀田真由)率いるチアリーダー部の嫌がらせが始まった。悪意ある張り紙をされたり、部室をメチャクチャにされたり、メンバーがけがをさせられたりしたのである。
それでもわかばは、いきり立つ部員を抑え続けた。かつて自分をどん底から立ち上がらせてくれたのが望なのに、その思いを踏みにじってしまった部分があったと思っていたからだ。

<批判も非難もしない。苦情も言わない>
<議論に勝つ唯一の方法として議論を避ける>
<おだやかに話す>
<まず自分の誤りを話した後、相手に注意を与える>
最大のピンチに際し、わかばはデール・カーネギー著『人を動かす』の原理に沿った対応をいくつかみせる。こうした対応で、チアリーダー部とチアダンス部の関係は、果たしてどう変化していくのか。
そのプロセスは、青春・学園ドラマゆえ若い感情があふれ出過ぎているものの、実は会社組織の中で派閥や思惑に翻弄(ほんろう)されている30~50代のサラリーマンにこそ学ぶ要素がいくつもある。大人こそ、一度じっくり見てもらいたいドラマである。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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