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各分野で活躍する人物にスポットを当て、その人の魅力・素顔に迫る人間密着ドキュメンタリー番組『情熱大陸』。
8月12日は東大卒のプロゲーマー・ときど(本名・谷口一)に迫ったが、一見華やかで楽しそうに見える職業の現実は衝撃的。放送後のグーグル検索やSNSでのつぶやきは、通常の放送をはるかに超え、話題沸騰状態となった。

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情熱大陸の検索量とツイート数


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■検索量とツイート数

グーグル検索の量で見ると、ときどの放送後24時間を100とすると、他の回は半分ほどしかない。放送後3日間を累計しても、ときどの回は2倍近くと、余韻は大きいままだった。

これがSNSでのツイート数となるともっと極端だ。
放送直後では軒並み10倍以上。さらに3日間の累計でも、4倍から12倍。その辺のドラマより、多くのつぶやきが発生していたのである。

同番組では、6月20日にファッションモデルでタレントの藤田ニコルを取り上げた。また7月17日には女優・タレント・モデルをこなす中村アンに迫っていた。
ところがプロゲーマーときどの回は、これら人気タレントも軽く凌(しの)いでいた。いかに彼の実像が、多くの視聴者に驚きをもって迎えられたのかがわかる。

■プロフィール

東大工学部を卒業し、大学院を中退してプロゲーマーの道を選んだときど。
経歴も変わっているが、「ときど」という名前の由来もユニークだ。
中学1年で初めて参加したゲームの大会で、ジャンプキック(とんでキック)から闇払い(どうしたぁ!)という連続技しか使わなかったことから来ている。友人に「もう"ときど"でいいじゃん」と言われ、それ以来「ときど」と名乗っている。

プロゲーマーを目指したのは、日本人初のプロゲーマー梅原大吾に憧れたから。当時は大学院に在学中だったが、米国企業からスポンサー契約の申し出があったこと、そして親も「好きなことをやれ」と後押ししてくれたため、茨の道に踏み込んだ。

去年7月、2000人以上が出場した世界最大の格闘ゲーム大会EVO2017(ラスベガス)のストリートファイターV部門で優勝。一躍世界的に有名なプロゲーマーとなった。
以後、国際大会での優勝が既に4度と快進撃が止まらない。ゲーマーの世界ランキングでトップ争いを演じている。

■ドキュメントの見せ場

人間の実像に迫るドキュメンタリーの名シーンとしては、プロになったきっかけの人・日本初のプロゲーマー梅原大吾と今春に戦ったシーン。
囲碁や将棋にも通ずる気迫で臨んだが、結果は10対5と完敗。
悔しそうに「また、出直してきます」とインタビューに答えたときどは、その後に真剣に涙を流していた。

日常生活も意外だった。
事務所兼練習場で、仲間と腕を磨く日々。手を休めるのは食事を作るときぐらい。食事も炭水化物を控え、高たんぱくにこだわっている。まるで一流のアスリートだ。

週に一度は空手の稽古に通っている。これも勝つための練習という。「格闘技や武道から、何かヒントが得られるんじゃないかと」というが、とことんやるのがプロの存在証明ということか。

自宅は寝るためだけのワンルーム。家具などは、本棚もテレビも、何もない。
「収入に応じて生活ランクを上げてはいけないという谷口家の厳しい教え」とさらっと答えるが、トップを目指すプロゲーマーの日常は、おそろしくストイックだ。

ゲーマーとしての能力を高めるためなら、どんな努力も惜しまない。
視力のトレーニング施設にも通っている。周辺視野を広げるためのトレーニングに励んでいるが、自分の癖も知ることができ、戦い方を改善する上で必須だという。

■信念

テレビゲームを仕事にするというのは、普通の人は楽しくて楽な商売と思いがちだ。ところがときどは、全く別の考え方をしていた。

中高生のころから、ゲームのことを言われたり、大会で勝っても褒められたりが嫌だったという。
「ゲームが自分の中で良いものだとは思えていなかった」からだ。
世間には、テレビゲームに対してネガティブな見方があることの裏返しだ。

だからこそ、番組の中でのインタビューも、強烈だった。
「過剰なeスポーツ持ち上げは一過性のブームになる」
「なぜ勉強ができるのにゲーム?」という問いには、「順序が逆。ゲームをするために勉強しただけ」とさらりと答える。
「僕らが戦わなきゃいけないのは、ライバルではなく世間の目」

日本人は遊びに対して、良く思わない人が多い。
それをわきまえた上で、ときどはパイオニアとして新たな道の開拓に挑んでいる。そんな求道者の実像と考え方は、間違いなく普通の仕事でも参考になる。
『情熱大陸』ときどの回が話題沸騰となったのは「むべなるかな」と納得してしまった。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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