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綾瀬はるか主演の「義母と娘のブルース」。
最終回の視聴率19.2%・クール平均視聴率14.2%で、夏クール全民放ドラマのトップで終えた。
しかも2年前の大ヒット「逃げるは恥だが役に立つ」と、視聴率の軌跡がほぼ重なる"小さな奇跡"を起こしてのフィニッシュだったのである。
背景には主演の綾瀬はるかの魅力と、ドラマの魅力がシンクロした点がある。彼女が女優として進化した10年と、物語の中での義母と娘の10年を重ねながら振り返っておきたい。

サムネイル

『逃げ恥』と『ぎぼむす』の視聴率比較


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■視聴率の動向

まず両ドラマのライブ視聴率。
初回は10.2%対11.5%と、「ぎぼむす」が「逃げ恥」を1.3%上回った。ところが2~5話では「逃げ恥」が逆転。ただし差は0.8%未満と大接戦だった。
そして6~7話で「ぎぼむす」が再逆転したが、8話でさらに再々逆転が起こった。しかも最終回は、「逃げ恥」20.8%に対して「ぎぼむす」は19.2%。日テレが安室奈美恵の引退特番をぶつけ15.0%となったために、「ぎぼむす」最後のひと伸びが抑えられてしまったようだ。
もし安室特番がなければ、両ドラマの軌跡はピッタリと重なる"大きな奇跡"だったかもしれない。

ただしタイムシフト視聴を含めた総合視聴率は少し違う。
初回で「ぎぼむす」が上回った点は同じだが、2話以降は一貫して「逃げ恥」が先行している。ただしラスト前および最終回は、「ぎぼむす」のライブ視聴率が急伸しており、今後発表される総合視聴率で状況が変わっている可能性がある。やはり奇跡的な軌跡を描いているかもしれない。

■綾瀬はるかの魅力

「ぎぼむす」後半での視聴率の盛り上がりは、主演する綾瀬はるかの魅力が大きい。
女優としては「世界の中心で、愛をさけぶ」(04年夏)以降の、天然・ぐうたら・かわいい"女の子"の役時代から、20代後半からは強靭(きょうじん)・アクション・ストイック・風変りなど、アグレッシブな一面を身に着けてきた。

こうした役者としての進化は、データでも裏付けられる。
20代前半までに出演したドラマの大半は、初回以降で視聴率は下落傾向だった。例えば「セカチュウ」から4作、平均視聴率は初回より1割以上下がっていた。
ところが近年は、初回より中後半の数字が高い傾向にある。例えば去年の「奥様は、取り扱い注意」は1割上昇した。今回の「ぎぼむす」は、初回より最終回が倍近い視聴率となった。

綾瀬の進化は、ドラマに留まらない。実はここ数年、広告塔としても急伸している。
30歳を迎えて以降、CM起用社数でベスト5入りし、年々数字を上げている。去年は初めて二桁、そして今年は上半期だけで11社だ。
CMはスポンサーにとって、商品の売れ行きに影響する重要なクリエイティブ。幅広く多くの人に好感を持たれるキャラクターが好まれるが、芸風を広げドラマの実績を底上げしてきたために起用が増えていると言えそうだ。

■「ぎぼむす」での魅力

こうした綾瀬の10年の進化は、「ぎぼむす」の中の"義母と娘の10年"に重なる。
ビジネスライクで杓子定規な亜希子(綾瀬)が、良一(竹野内豊)・みゆき(横溝菜帆/上白石萌歌)・麦田(佐藤健)などと出会い、次第に人間的な部分を出していく変化が大きい。

例えば初回では、幼いみゆきと出会った瞬間、亜希子は名刺を差し出して自己紹介をする。さらに履歴書も渡してしまう。さらに"腹芸""土下座""ソリューション"提案が出てくる。家庭生活にビジネス用語が続出しことごとく空回りする微笑ましい展開だった。

ところが中盤から、亜希子の真剣さが次第にみゆきの意識を変える。しかも同時に、亜希子の気持ちも変わり始める。
第3話では、教師や理不尽なPTAを相手に、亜希子は言葉の格闘で信念を貫き通す。亜希子へのみゆきの見方が大きく変わり始めた。
第5話では家族3人が川の字になって布団を並べるが、気持ちが通じ合った良一と亜希子は初めてキスしようとする。ところがみゆきに阻まれ、代わりに二人はみゆきの両頬にキス。亜希子も視聴者も、家族の素晴らしさに覚醒した瞬間だ。
さらに第6話では、良一を亡くした亜希子とみゆきが悲しみを分かち合う。そしてみゆきが亜希子を初めて「お母さん」と呼び、亜希子は生まれて初めて号泣するようになる。人間的な表情を取り戻した瞬間だった。

7話以降は、みゆきが受験生になり、亜希子は麦田のベーカリーで働き始め、それぞれの男女関係が始まる。
例えば8話では、それまでハイタッチを何度やってもバラバラだった亜希子と麦田が、店のリニュアールオープンを成功させ、歓喜のハイタッチを初めて一発で決める。ふたりの心が通い合った瞬間だ。
ところが終盤では、麦田が感動のプロポーズをするが、亜希子の返答は意外なものだった。そして最終回、義母と娘の10年は想定外の方向に向かうが、家族愛・親子愛をしみじみ感じさせる結末となった。

象徴的な亜希子とみゆきの会話。
亜希子「あなたが笑うと自分が笑ったような気持ちになる。あなたが傷つくと自分が傷ついたような気持ちになる。自分が欲しかったものを全部あなたに与えたい」「私があなたを育てた理由は、単なる私のエゴイズム」
みゆき「バカなんじゃないの」「世間ではそれを愛って言うんだよ」

最終回は、初回からの布石が次々に回収されて行く。
"義母と娘の10年"が、ぎゅうぎゅう詰め込まれ、圧倒的な展開となっている。綾瀬はるかの女優人生10年の進化を視野に入れながら見ると、彼女の次の進化にも期待が膨らむ。
同ドラマの続編と、綾瀬の次のステージをぜひ見てみたい。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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