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お笑い芸人・コウメ太夫が毎日Twitterに投稿するネタ「まいにちチクショー」が、リプライ欄も含めて人気を集めている。ひとつひとつのネタに対して、真摯(しんし)にダメ出しをするアカウント、そのダメ出しをダメ出しするアカウント、ダメ出しのダメ出しに賛成するアカウントなどが現れて、コウメ太夫の投稿を中心としたコミュニティが出来上がっているのだ。

コウメ太夫本人がリプライ欄の盛り上がりに反応することはないが、彼自身はこの謎のムーブメントを把握しているのだろうか......。

サムネイル

(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 お笑い芸人・コウメ太夫)


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■日めくりカレンダー化を狙って始めた「まいにちチクショー」

――「まいにちチクショー」は、もともと日めくりカレンダー化を狙って始めたそうですが、2017年末に念願の日めくりカレンダーが発売されました。今まででお気に入りのネタはなんでしょうか?

「『空気を吸っていると思ったら~、空気を吐いてました~』や『丸だと思って見ていたら~、よく見たら三角でした~』、『騙されたと思って食べてみたら~、騙されてました~』ですかね。このへんはいいほうです(笑)。リツイートやいいねが多かったネタは、ネタ番組や営業で披露してみたりしていますよ」

――かなりシュールというか、ナンセンスなネタもありますよね。「台風に備えて窓に板を打ち付けていたら~、トントントン こんにゃく トントト~ン わかめかぶ トントントン  フィッシングベスト   トントト~ン  過去 ドンガラガッショ~~ン こわれた チクショー!!」など......。「さすがに意味不明すぎる」とボツにするようなことはあるんでしょうか?

「正直、番組呼ばれてそのネタやるかって聞かれたら、やりません。内容が飛躍しすぎだし、長いですからね。でも一応、投稿する上での基準はあります。感覚だからうまく説明できないんですが、これはいくらなんでも笑い来ないかなって判断するときはあります。でも最近は、自分でも『何言ってんだ、これ』というものが増えてきて......。感覚が変になってきていて、困っているんですよね」

――「まいにちチクショー」に対するリプライはご覧になっていますか?

「ああ、なんかいろんな方がいらっしゃるみたいですね。でも自分はあまり見ないようにしています」

――えっ、じゃあネット上の盛り上がりも本人はあまり把握していないんですね!

「『まいにちチクショー』を始めたばかりのころ、『芸人やめろ』とかいろいろ言われたので......。盛り上がっているということを周りから聞いて、『あ、そうなんだ』という感じです。ネットを見ていると、他人にいろいろ文句を言っている人ばかり目についてしまいませんか? なんか病んできそうなので、自分ではあまり見ないようにしています。人間って本来もっと温かいものじゃないですか!」

――でもコウメ太夫さんのリプライ欄は、もう少し温かい雰囲気だと思いますよ。

「えっ、温かいの!?」

―― 一応ダメ出しのような形を取っているものの、コウメ太夫さんのファンの方々が「まいにちチクショー」を中心に交流しているような空間です。

「ああー、そうなんですか。そう聞くと、ちょっと見てみようかなという気になってきました(笑)」

――かなり話題になっていたので、本人が知らなかったというのは驚きです!

■「できなさすぎて面白い」キャラは納得済み

――コウメ太夫さんは、もともとダンサー志望で、大衆演劇の役者として梅沢劇団にも所属していた経歴の持ち主でもありますし、実はかなり芸事のバックグラウンドがしっかりしている方ですよね。そのぶん、芸人として「出来なさすぎて面白い」的なイジられ方をすることに葛藤はなかったんでしょうか?

「昔はイジられるっていうのが、どういうことかもわかっていませんでした。『エンタの神様』(日本テレビ系)でブレークできて、この調子でネタやって稼いでいくのかなと思ったら、ネタだけじゃなくてトーク力が求められる時代がやってきたので、しゃべれないやつは次々にバチンバチンバチン!と居場所をなくしていくハメになりました。気を紛らわすためにジム行っても、ランニングマシンやってるときなんかにテレビが目に入っちゃうんですよね。それで、『ああ、この人たちはテレビに出てる。いいな、俺も出たいな......』と思ったりして。結婚もしたけれど、落ち目になって支えてほしいなってタイミングでいなくなっちゃいましたし。......あれ、質問なんでしたっけ?(笑)そうだ。今は、"できないポジション"にも納得しています」

――なぜ納得できたんですか?

「実際、不器用な部分は本当に多いですからね。母親にさえ『おまえは何を言ってるかわからない』っていつも言われますから。小さい頃からバカだバカだ、変わった子だと言われて育ってきました。勉強も全然できないから、家庭教師を5、6人付けられていたんですよ。なんだか今は、小学生のときの自分がそのまま仕事になっている気がします」

――どんな子供だったんですか?

「ドリフターズが大好きで、クラスの先頭に立ってギャグをまねしたりしていました。笑ったり笑かしたりが好きなんですよ。だからバラエティでイジられまくっているときは、学校を思い出します。そのまま育ってきたような感じですね。自分は人前にいると、イジられたりする運命なのかなぁと」

■梅沢富美男から「もっと図々しくなれ」

――芸人さんなのに自分から前に出ていくタイプではなく、バラエティでも異質な存在感を放っている印象です。なぜガツガツしていないのでしょうか?

「爪痕を残したい気持ちはあるんですけど、自信のない自分がいます。『俺、この仕事向いているのかな』とか『前に出てワッとやって超スベったらどうしよう』とか不安になっているうちに他の芸人さんがワッワッと来るじゃないですか。もっとガツンとしたパワーと自信があれば、他の芸人さんの間に入って、自分もワワワワー!とできるんでしょうね。でもそれができたら苦労していません(笑)」

――アパート経営という副業も持って余裕があるから、収録でもマイペースでいられるんだと勝手に想像していました。

「収入としては芸人のほうがメインで、アパートは地道な感じですよ(笑)。単純に自分からグッといけない性格なんです。エレベーターなんかもいつも周りにゆずって最後に乗り込むから、劇団時代は梅沢富美男さんにもよく『もっと図々しくなれ』と言われていました」

――そういう性格の方が芸能界に身を置いていると精神的にキツい場面もあるのでは?

「芸事も目立つことも好きではあるんですよ。だから芸事を辞めようと思ったことはないんですが、食べられなければ芸能活動は35歳までにしようとは決めてはいました。シングルで育ててくれた母親にいつかは親孝行したいと思っていましたし。だから30歳超えて『エンタの神様』でブレークするまでは結構葛藤していました」

――コウメ太夫さんは、父親が芸能プロデューサー、母親が元女優という芸能一家の生まれなんですよね。母親としては、息子が今も芸能活動を続けていることはうれしいのではないでしょうか?

「おふくろはいつも僕のことを『アホだ、変だ』とバカにして文句たらたらですが、今となってはうれしく感じてくれていると思います。梅沢富美男さんの劇団を辞めたとき、皿洗いとか引っ越しのバイト生活に逆戻りして、やっぱり親戚も『梅沢さんのところ辞めなきゃよかったのに』とか言ってくるんですよ。それでおふくろも傷ついたと思いますが、『エンタの神様』のおかげでブレークしてからは、僕が何か番組出るってなると、いまだに喜んであちこちに電話するんですよ(笑)。母親が女優でしたし、そういうDNAがあるなら、これからは役者業もやってみたいなと思っています」

◆コウメ太夫
生年月日不明、東京都出身。大学中退後、梅沢富美男劇団に所属。 お笑いに転身した後、2000年代半ば、「エンタの神様」から大ブレーク。2013年、神奈川県で開催された「第1回ムーンウォーク世界大会」のお笑い部門で準優勝を果たして話題になる。
座右の銘は、「好きなことしようよ」。

(取材・文/原田イチボ@HEW

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