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松田龍平×新垣結衣×田中圭の「獣になれない私たち」が始まった。
2016年に放送された「逃げるは恥だが役に立つ」のセンセーショナルなヒット以来、不動の人気を保つ新垣結衣の2年ぶりの秋ドラだ。

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Japanese actress Yui Aragaki attends the 41st Elan d'or Award ceremony in Tokyo, Japan on February 2, 2017.(写真:アフロ)


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■キャスティング

新垣結衣は「コードブルー」(08年・10年・17年)、「全開ガール」(11年)、「リーガルハイ」(12年・13年)、「空飛ぶ広報室」(13年)、「掟上今日子の備忘録」(15年)、「逃げ恥」(16年)と、この10年にわたりほぼ毎年、話題作・ヒット作で主要な役を演じてきた。

W主演の松田龍平は「ハゲタカ」(07年)、「まほろ駅前番外地」(13年)、朝ドラ「あまちゃん」(13年)、「カルテット」(17年)などでユニークな演技をみせていた。他にも16歳で出た『御法度』(1999年)以降、10代で多くの映画に主演した。『探偵はBARにいる』シリーズ(11年・13年・17年)、『舟を編む』(13年)などで高い評価を得ている。

多くのドラマに出演しながら主演が少なかった田中圭は、今春の「おっさんずラブ」で大ブレークした。以後、「健康で文化的な最低限の生活」に続き、連続ドラマに連続出演だ。

■注目が集まる脚本

放送前から注目が集まる脚本は、売れっ子の野木亜紀子が手がける。
原作の魅力を損なうことなく、エピソードを取捨選択する手腕の確かさで高く評価されている脚本家だ。
新垣結衣とは、「空飛ぶ広報室」「掟上今日子の備忘録」「逃げ恥」に続くコンビだ。またオリジナル作品としては、「アンナチュラル」(18年)に続く。二重の意味で、どんな作品になるのか期待が高まる。

番組ホームページには「本能のまま、"野生の獣"のように自由に生きられたらラクなのに・・・」とある。タイプの異なるバカになれない「頭でっかち」な大人たちが、出会いの中でどんな化学反応を起こしていくのか。現代人のストレス・もどかしさに寄り添ったメッセージを発信する物語として期待したい。

■第1話の印象

このドラマ初めはなんだかポップなノリで、軽く見られるのかと思った。ところが激務・パワハラ・セクハラ・DVなどハラスメントが盛りに盛られている。同じ気持ちで共感する視聴者は、意外に多いのではないだろうか。

主人公・深海晶(新垣結衣)は、幼少期は父親から暴力を振るわれ、母親からはお金をせびられていた。大人になって自立してからは、会社でワンマン社長にこき使われ、逃げてズルい同僚には仕事を押し付けられる。

恋人の花井京谷(田中圭)には、都合良く結婚を引き延ばされている。その恋人も、自分で買ったマンションに、ニートの元カノに居座られている。京谷のどこか人の好い弱さを、晶も容認してしまっている。二人の共通点は、何か意味があるのだろう。

いつも同じ者ばかりが、なぜハラスメントの被害に遭うのだろうか。真面目で責任感が強く、完璧に仕事をこなそうと最大限の努力を惜しまない。そんな人は、要注意だ。
本当ならば、こういう精神的に成熟した方が「強い者」と呼ばれるべきだが、ハラスメントの世界では「強い者」は別の意味を持つ。
悪人は善人の"人の良さ""スレてない正直さ"を瞬時に見抜き、自分のモノにしようと言葉や行動で支配しようとする。巧みな話術で独自の正論を掲げ、善人の懐に滑り込むのだ。
善人は悪人に課せられた任務が果たせないと、自分を責め過労と心労で自殺にまで追い込んでしまう。ふと電車待ちしている時に線路をじっと見つめ、「その先へ進んでしまえば......」と思ったら、かなりの限界にまできているはずだ。

そんな状況をこのドラマは、よく描いている。
京谷の母・千春(田中美佐子) は、寝たきりで在宅介護になった夫の世話による虚無感からか、息子の京谷に依存している。
こういうパターンは母と娘の関係でもあり得る。高齢化社会の課題も浮き彫りにしている。

晶が同僚のミスを社長命令でフォローし、担当外のプレゼンや事務処理をこなし、激務に耐えながら行きつけのクラフトビールバーへやってくる。
そこで以前から顔見知りの根元恒星と言葉を交わし、少しずつ2人の距離が近くなっていく。

「バカになれたらラクなのにね......」
ほっと一息、疲れきった心に染み入る一言が、やはり野木氏の脚本力だろう。
次の日、晶は変わろうと決意する。洋服とハード系ブーツを購入し、ワンマン社長に業務改善の申請をする。
獣になれない晶がまず一歩、獣への道を踏み出すシーンは、「よし!」と声をかけ、背中を押してあげたいと思わせる。

ドラマのメッセージは、社会的要素を持ちつつ、ヒューマンドラマにもなっている。
そこにアメリカで作曲を学んできた平野義久の音楽が流れる。洗練されていて都会的なカラーで軽さを出し、重く暗くなりがちなドラマのテーマを軽減している。これまた絶妙と言えよう。

新垣結衣による完璧で不憫(ふびん)な晶の演技は、とても好感が持てる。今後どう変わるのか、それともやっぱり変わらないのか、応援しながら見守っていきたい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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