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今年は40周年イヤー。盛り上がることは予想されていた。しかし、それを遥(はる)かに超え、燃え盛ったと言ってもいいのがサザンの活躍ぶりだった。ふと思えば、本格的なツアーのスタートは、来年の2019年である。つまり今年は序章......。でも、最初の一歩からしてデカかった。タイミングがいいことに、原由子が歌うサザンの新曲「北鎌倉の思い出」が主題歌を務める、映画『ビブリア古書堂の事件手帖』の公開(11月1日)も間近である。

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季節はすっかり秋だけど、いまだ熱狂蘇る、この夏のサザンの快進撃を振り返る。


・「サザンオールスターズ40周年記念特集」(GYAO!)>>

・【ライブ映像】「勝手にシンドバッド」(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018 DAY-4)>>

・【ミュージックビデオ】「壮年JUMP」(アルバム『海のOh,Yeah!!』より)>>

・【ミュージックビデオ】「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」(アルバム『海のOh,Yeah!!』より)>>

 実は「北鎌倉の思い出」こそが、サザンの40周年イヤーの幕開けだった。今年の初旬、作品を制作し始めることで、実質上の活動を再開したわけだ。直前までソロ活動を続けていた桑田佳祐も、原が歌い、サザンが演奏するということで、もちろん曲作りにおいても、別の意識で臨んだことだろう。

 メディアでは、サザンオールスターズが1978年にデビューしてから最初にCMタイアップした「三ツ矢サイダー」とのサザン40周年スペシャルコラボレーションが、彼らの10年ごとの名曲をもとに、シリーズCMとしてお茶の間を飾り、アニバーサリー・ムードを整えていた。そして、4月には正式に、活動再開のアナウンスが届く。
 ファンがヤキモキするなか、新曲「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」が、配信という形で世に放たれ、見事、デジタル・シングル・ランキングの1位を獲得している。この曲は、矛盾を感じつつも精一杯頑張ろうとする人々へ、熱いエールをおくる内容であり、社会派の作品であった。

 さらにデビュー記念日の6月25日から二日間にわたって、NHKホールでのキック・オフ・ライブ、『ちょっとエッチなラララのおじさん』を開催する。キャパがキャパだけに、見ることができたのは幸運な人たちだった(二日目は、全国の映画館でライブ・ビューイングがあった)。この日、筆者が客席で感じたのは、確かにサザンというエンジンが、再び高速で回転し始めた事実だった。この5人にしか成し得ない阿吽(あうん)の呼吸、その結果として生まれる音楽のエネルギーには、生き物のような説得力があることを再確認した。

 「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」が大人のビター味ならば、よりまろやか&爽やかな味わいだったのが、次にアルバムから先行配信された「壮年JUMP」である。いつの世も、人々の夢や憧れを受け止めてくれる"アイドル"は不滅であり、そんな存在への賛歌といえるのが、この作品だった。
 思わず"シュワッシュワッ"と一緒にコーラスしたくなる愛おしい作風だ。40年間、第一線で活躍し続ける彼らだが、けして巨匠バンドになったわけではなく、今も市井の人々の、普段の感情のすぐ近くで歌っていることを証明するような作品なのだった。

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アルバム『海のOh, Yeah!!』 (2018年8月1日発売)


 そして8月1日。サザンにとって20年ぶりとなるプレミアム・アルバムがリリースされた。『海のOh, Yeah!!』だ。タコとマグロがマリアージュする奇抜なジャケットが、むしろ奇抜さゆえに"サザンぽい"と思えてしまう。"ぽい"の中身を明確に解説し得た人間はいない。それはこのバンドが、常に有機的な音の組成を繰り返し、ジャンルレス&タイムレスを旨とする人たちだからである。

  『海のOh, Yeah!!』を改めて聴くと、ふと口ずさみたくなる曲が、これでもかというくらい収録されている。時にそれは、背中を押してくれる友の助言のようでもあり、また、思い出の在処を知らせる記憶の栞(しおり)のようでもあった。まさに彼らの名曲たちが、そこかしこで心の風景となり存在していることに、改めて気づかされたのだ。この横に20年前の『海のYeah!!』と並べれば、彼らの40年間の偉大なる歴史が、バランスよくダイジェストされることにもなるのだ。

 そしていよいよ、ついについに、もはや伝説の、あの日がやってくる。8月12日。13年ぶりとなる『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018』への出演だ。この日のステージは、今も語り草だ。ここで少し、当日の様子を振り返ってみたい。
 酷暑だった2018年。各地の野外フェスは、過酷な環境を強いられた。しかし、フェスが行われていたひたちなか市は、彼らが登場する夕刻になると、過ごしやすい気候となっていた。天気も良かった。そもそもサザンといえば、(当日のMCで桑田も触れていたが)有名な"雨バンド"である。しかしこの日は晴れた。

  ステージから眺めれば、地平線まで、人、人、人で埋め尽くされていたことだろう。サザンがお目当ての人たちはもちろん、他のアーティストを見にきた人も、この時間帯は、この場所へ、そう、グラス・ステージへ集結した。演奏を始めたメンバーの、テンションの高さも尋常ではなかったハズだ。
 いきなり「希望の轍」でスタートし、もちろんイントロで、大歓声が巻き起こる。ただ、演奏自体を一言で表わすなら、きちっとしていた。この日のパフォーマンスに一貫して言えることでもある。幾度もライブでやってきたであろう楽曲こそ、彼らは"正調"を旨として演奏し、でもそのことで、どんな年代のファンとも等距離で接して、魅了していったのだ。

  セットリストは濃かった。「希望の轍」の次が「いとしのエリー」、その次が「涙のキッス」......。いきなり通常のライブならクライマックスに登場しそうな大ヒット曲のオンパレード。「LOVE AFFAIR ~秘密のデート~」に続いて新曲の「壮年JUMP」をやった場面も印象深かった。早くもこの曲の"若葉マーク"が外され、観客を巻き込んだ熱狂のパフォーマンスだったことは特筆すべきだろう。
 広い会場の数万人の前だからこそ、楽曲が持つ"アンセム"としての結束力を発揮したのが「東京VICTORY」で、まさに"大地が揺れる"とはこのことだった。最後にシメとして演奏した「勝手にシンドバッド」は、デビュー当時のテレビ出演時にも用いられたサンバ・カーニバル風の演出で、原点に戻った雰囲気でもありつつ、2018年の最新の音で7万人を踊り狂わせた。このあたりの模様は、既にGYAO!で配信されているので、ご覧になった方も大勢いると思う。

  2018年にこれだけの盛り上がりをみせているのに、さらに加速して、2019年のツアーが始まったらどうなってしまうのか!? まだツアーの詳細は不明だが、きっと彼らなら、未体験の感動ゾーンへと誘ってくれることだろう。それまでに、心のスポンジをぎゅっと絞っておくことにする。いざライブに参戦した時に、感動を目一杯、吸収するためにも......。

・「サザンオールスターズ40周年記念特集」(GYAO!)>>

・【ライブ映像】「勝手にシンドバッド」(ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2018 DAY-4)>>

・【ミュージックビデオ】「壮年JUMP」(アルバム『海のOh,Yeah!!』より)>>

・【ミュージックビデオ】「闘う戦士(もの)たちへ愛を込めて」(アルバム『海のOh,Yeah!!』より)>>

サザンオールスターズ
桑田佳祐 関口和之 松田 弘 原 由子 野沢秀行
1978年6月25日にシングル「勝手にシンドバッド」でデビュー。
1979年「いとしのエリー」の大ヒットをきっかけに、日本を代表するロックグループとして名実ともに評価を受ける。以降数々の記録と記憶に残る作品を世に送り続け、時代とともに新たなアプローチで常に音楽界をリードする国民的ロックバンド。2000年1月リリースの「TSUNAMI」が自己最高セールスを記録、第42回日本レコード大賞を受賞。2008年8月、史上初の日産スタジアム4DAYS"「真夏の大感謝祭」30周年記念LIVE"を成し遂げた後、無期限活動休止期間に。2013年デビュー35周年を迎え5年間の沈黙を破り、シングルリリース&野外スタジアムツアーを敢行し大復活。2015年3月には約10年ぶりとなるアルバム「葡萄」を発表し、5大ドームや22年振りとなる日本武道館での追加公演を含む全国ツアーを開催、約50万人を動員した。
そして2018年、6月25日にデビュー40周年を迎え、NHKホールで"キックオフライブ2018「ちょっとエッチなラララのおじさん」"を開催。8月1日には、数々の名曲と新曲3曲が収録されたプレミアムアルバム「海のOh, Yeah!!」をリリース。さらに、2019年春、全国ドーム・アリーナツアーを行うことが決定している。

(文/小貫信昭)

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