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スリリングな男女の掛け合いボーカルと、独特の言語センス、そしてヒネリの効いた予測不能なコード進行とメロディが、今なお唯一無二の輝きを放っているBARBEE BOYS。彼らが今から30年前の1988年8月22日に、東京ドームで行った『STARS ON SPECIAL』ツアーの最終公演の模様『BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22』が、未公開映像15曲を含む完全ノーカット版、最新HDリマスタリング映像にてリリースされる(2018年11月21日 発売)。

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『BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22』を2018年11月21日 発売


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同期を一切使わず、サポート・メンバーなしにたった5人で作り上げたシンプルなステージ。それだけに、このバンドが持っていた圧倒的な演奏力と楽曲の素晴らしさがダイレクトに伝わってくる、貴重な映像資料だ。

そこで今回、映像配信サイト「GYAO!」では、KONTA(ボーカル、ソプラノサックス)、いまみちともたか(ギター)、杏子(ボーカル)の3人に、当時のエピソードを振り返ってもらった。

■ライブが終わって記憶をシャットアウトしてた。「なかったことにしよう!」くらいの気持ち(いまみち)

──今回、1988年のライブ映像のリマスターが10月に劇場上映&11月20日にパッケージ発売。久しぶりに見た率直な感想は?

KONTA: 当たり前なんだけど、今より30年は若いなあと(笑)。MCなんかにしても、勢いに任せていた部分が随分あるなあと思いましたね。で、見ているとステージの上でどんなことを考えていたのか、瞬間的に蘇(よみがえ)ってくる感じがして面白かった。鮮明に思い出したのは、お客さんとのタイムラグ。東京ドームみたいに広いところでやったことがないから、リアクションがいつもよりもワンテンポ遅れて感じるんです。なんていうか、衛星を介して中継している時みたいな感じ? それが、当時はよく分からなかったから、やたらもどかしさがありましたね。「このズレはなんだ?」っていう。MCのあの、ちょっと突っ張った感じはそこから来ているのかもしれない(笑)。そしてそれが、2時間以上のステージを続ける原動力でもありましたね。あと、最後の最後で声が飛んじゃって、物凄く悔しくてうずくまっちゃったのを思い出しました。

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『BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22』を2018年11月21日 発売


杏子: 私、もう記憶喪失か?っていうくらい、当時のこと覚えてなくて(笑)。唯一覚えているのは、コイちゃん(小沼俊昭)がサウンドチェックでスネアをパン!ってたたいた時、今KONTAが言ったみたいに遅れて返ってきて。「うわ、本当に広い......!」と思ったこと。それまで結構、浮かれてたんですよ。「東京ドームかあ、衣装はどうしよう?」なんて。でも、音が遅れて返ってくるって気づいたその瞬間からは全く覚えてない。先日、丸の内ピカデリーに見に行ったんですけど、「あ、そうか。"なんだったんだ?7DAYS"から始まったんだっけ」みたいにやっと思い出しました。

あとは、ずっと(映画を)見ながら自分で自分にダメ出ししまくってましたね。「なんでそのタイミングで、そこに立ってんの?」「なんだその意味不明なタンバリン踊りは!」とか(笑)。ちょっとワルぶったMCも、全然サマになっていないし。ただ、演奏と映像がとにかくよくて。それが唯一の救い。男子がみんなカッコいいんですよ、KONTAの歌もすごくいいし。

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『BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22』を2018年11月21日 発売


いまみち: 演奏自体はビート感も含めていい感じなのに、なんでいつもより曲間を空けてるんだろう?と思って見てたんだけど、今KONTAの話を聞いてて思い出した。曲が終わった後の、客席からの歓声がいつもより遅れて届いていたからだね。だから俺も杏子と同じで、あのライブが終わってから記憶をシャットアウトしてるのね。「なかったことにしよう!」くらいの気持ちだった。でも、今回こうやって改めて見直してみたら、「演奏は案外ちゃんとしてるし、悪くないじゃん」って思いましたね(笑)。

──ライブは4作目『Listen! BARBEE BOYS 4』リリース直後でしたが、当時バンドの状態はどんな感じだったのですか?

杏子: とにかく忙しかったですね。ライブとレコーディングをひっきりなしにやっていて、空いた時間はKONTAとプロモーション。でも、私はBARBEE BOYSというバンドについていくのに必死だったのが、3枚目の『3rd BREAK』(1986年)でようやく一員になれたかも、みたいに思えて。自信を持って「私たち5人組です」って言える状態で(東京ドームに)臨めた記憶がありますね。

KONTA: 俺は確か、代々木体育館とドームの間に映画(『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』)の撮影があって。なので、映画がクランクアップして「ただいま!」のタイミングでドームという感じだったんですよ。

杏子: そっか、じゃあその時にRADIO-K(KONTAといまみちがメンバーだった、映画『・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・』サントラ用のバンド)をやってたのか。あれ、このあいだ初めて聴いたらすごくよくて。当時は「なんだよ、2人で楽しそうなことやっちゃって」って拗(す)ねて聴いてなかったんだ。

(一同笑)

いまみち: てことは、結構それぞれ自分活動を始めていた頃だね。俺は確か、ニューヨークへ行ってたんだった。曲作りに集中しようと思ったんだけど、結局遊んじゃって何も作らず戻ってきたんだけど(笑)。よくリハとかやる時間あったね。

■笑ってくれると思ってた歌詞を、マジに受け止めてる人が思ったよりも多くてビックリしてました(KONTA)

──改めて見て思ったのは、いまみちさんのギターの音が素晴らしくカッコいいということでした。ちょっとジョニー・マーっぽくもありますよね。

いまみち: それ、当時も今もよく言われるんだけど、「そうかなあ」って思うんだよね(笑)。誰それみたいな音にしようっていうのはあまりなくて、ただアメリカのマッチョな感じよりかは(笑)、ちょっと湿り気のあるブリティッシュなサウンドが好きだったのは確か。シングルコイルで気持ちいいギターサウンドを出したかったんですよね。

──それと、やっぱり男女掛け合いボーカルで、恋愛の駆け引きを歌っているのは最大の特徴でしたよね。唯一無二の世界観というか。

KONTA: 俺はね、個人的にはもっと笑ってくれるかと思ってたの(笑)。こんなバカバカしいことを歌ってるんだから。でも、マジに受け止めてる人が思ったよりも多くてビックリしてました。それと、2人いないと成り立たないメロディっていうのは、確かに「他にないぜ」っていう自負はありました。杏子がバンドに入ってきてくれて、「この特殊な編成を利用しない手はない」って思っていましたね。

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『BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22』を2018年11月21日 発売


杏子: あと、KONTAと私がステージ上では絶対に絡まないっていうのを、どちらが言い出すもなく決めていて。2人がそれぞれお客さんにバーンって言葉を投げかけて、受け取る側の中でそれがくんずほぐれつ大げんかしてるっていうのが面白さがあったんだと思います。それに、KONTAのキーがメチャメチャ高くて、私のキーがわりと低めだから成り立つ部分もあったと思う。同じ旋律を歌えますからね。「Aメロを男子が歌い、サビは女子が歌う」みたいな、ありがちな役割分担をしないでもよかったのは、かなり大きかったですね。

──なるほど。確かにステージ上で2人はほとんど目も合わせないんですよね。それがヒリヒリとした緊張感を醸し出していて、子供心にドキドキしながら聴いていたことを思い出しました。

杏子: あ、そうかもしれないですね。一緒のマイクで歌うとか、そういうの一切なかったから。

いまみち: そんなことやってたら気持ち悪かっただろうね!(笑)

杏子: 確か、一度だけステージ上でKONTAと目が合ったことがあって。その時は逆にビビっちゃいましたね、「え、何かトラブル発生?」って(笑)。

KONTA: 俺、それ覚えてるよ。「よし、ここから2人で前へ行くぞ!」のサインだったんだよ(笑)。ちょうどイマサとエンリケがそろって後ろに下がったから、「このタイミング!」って。そしたら杏子がビックリした顔をしてるから「ええ?」ってこっちもなった(笑)。

杏子: そうだったんだ!今知った驚愕の事実。でもKONTAは本当に記憶力がいいね。

KONTA: さっきも言ったけど、そういう瞬間的な記憶っていうのは時々ふっと思い出すんだよ。

──さっき、KONTAさんたちが「もっと笑ってくれるかと思った」とおっしゃってましたが、歌詞を書いている時に多少はそういう狙いがあった?

いまみち: 根っこのところでは、そういう気持ちもあったかもしれない。でも俺自身は歌詞の内容よりも言葉の響きやリズムが大事なんですよ。作る曲のビートに合った言葉で辻褄(つじつま)が合えば、歌も気持ちよく歌ってもらえるんじゃねえかなって。

■今もまだ、本音で言い合える仲間がいて良かったなと思う(いまみち)

──ものすごく独特な言葉遣いなので、ちゃんと意味も聞かせたいのかと思っていました。今回、GYAO!では「女ぎつねon the Run」のライブ映像を配信予定なのですが、あの曲のことで何か覚えていることはありますか?

杏子: 確かアンコールでしたよね?あのときの私は最悪だったんだ......(笑)。ハッピかなんか着ちゃって、バンダナなんかしちゃって。1人だけ宴会状態になってましたよね。もう恥ずかしくて、映画館で見ながら「早く取ってよよそのバンダナ!」って心で念じていました。

──(笑)。個人的には「dearわがままエイリアン」のアコースティック・セットが印象に残りました。

杏子: ああ、あれは良かった!

いまみち: でも、あのとき自分の音が聞こえてなかったんじゃないかな。結構、当てずっぽうでアコギをかき鳴らしてたんだけど、改めて見たらちゃんと形になっててホッとしました(笑)。

──エンリケさんがいきなり結婚宣言したのも驚いたんですけど(笑)、その前にちょっと音声がトラブっていたように見えました。

いまみち: いや、あれエンリケが突然しゃべりだしたから、あいつのマイクがオンになってなかったんだよ。

KONTA: そうそう、確かそうだった。

杏子: あ、だから「マイク入ってない」って言ってるんだ。

いまみち: やっぱ、このライブ映像の見どころはそこだよ!

(一同笑)

──それと、BARBEE BOYSは同期を一切使わず5人だけで、あれだけ厚みのあるアンサンブルを奏でていたことに衝撃を受けました。

KONTA: あれは、実はちょっとしたトラブルが原因なんですよ。バンドの活動初期に渋谷公会堂だったかな、テープに合わせて大コケしたことがあって。ブラス・セクションを同期で鳴らしたんだけど、クリックが聞こえなくて4小節くらいズレたことがあるんです(笑)。それ以来、「同期は信用できない!」っていう意識になっちゃったんですよね。

──先日、8年ぶりに再結成ライブを行ったそうですが、今後も集まる予定はありますか?

杏子: どうだろう。バービーじゃなくても、時々一緒になることは多いんですよね。私とKONTAが一緒にやったり、私がエンリケのバンドと対バンしたり。イマサとエンリケも一緒にやってるよね?

いまみち: そうだね。なんか、バービーってそれぞれ頑固なんだけど主体性がないのよ(笑)。なかなか「集まろう」って言い出すやつがいなくて。あの時は、なんで集まれたんだろう。たまたまスケジュールが空いてたのかな。

──(笑)。では最後に、皆さんにとってBARBEE BOYSとは何かをお聞かせください。

KONTA: まあ、唯一無二でしょうね。別のメンツで同じことを、もう一度やろうとは思えないです。そこまでのエネルギーはない(笑)。

杏子: ほんと、コンちゃんの言うとおり唯一無二で、いつ見てもカッコイイバンド。私がこうしてミュージシャンでいられるのは、BARBEE BOYSがあったからだし。良くも悪くも(笑)、人生が大きく変わったバンドです。

いまみち:みんなブツクサ言いながら本音でやっていたバンドだと思うし、今もまだ、本音で言い合える仲間がいて良かったなと思いますね。

・・・・・・・・・
◆ 作品内容 「BARBEE BOYS IN TOKYO DOME 1988.08.22」(2018年11月21日 発売)

なんだったんだ? 7DAYS
帰さない
MIDNIGHT CALL
もォやだ!
あいさつはいつでも
midnight peepin'
小僧-cryin' on the beach
ふしだら VS よこしま
タイムリミット
打ち上げ花火
Dearわがままエイリアン
泣いたままでlisten to me
はちあわせのメッカ
わぁい わぁい わい
ごめんなさい
ナイーヴ
C'm'on Let's go!
離れろよ
負けるもんか
翔んでみせろ
ラサーラ
使い放題tenderness
女ぎつねon the Run
チャンス到来
※BD DVD同収録内容

◆BARBEE BOYS
1982年にKONTA(ボーカル、ソプラノサックス)、いまみちともたか(ギター)、小沼俊昭(ドラムス)が結成したバンドに、杏子(ボーカル)、ENRIQUE(ベース)の順で加わり、84年、デビュー時の5人に。男女のツイン・ヴォーカルを特徴とし、男女間のさまざまな場面を、音と音の隙間を生かしたサウンドにのせて表現するバンドだった。84年「暗闇でダンス」でデビュー。86年に『3rd.BREAK』でブレイクし、TMネットワーク、レベッカらとともにJ-ROCKの一時代を築いた。92年に解散するも、03年に再結成を果たす。以来、マイペースに活動中。

(取材・文・撮影/ 黒田隆憲)

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