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唐沢寿明主演の「ハラスメントゲーム」(月曜よる10時)は、今年4月にテレビ東京が立ち上げたビジネスドラマ枠"ドラマBiz"の第3弾。今期は「テレビ東京開局55周年特別企画」という冠もつく大作だ。
視聴率は平均5%ほどとパッとしないが、テレビの視聴状況を調べる「テレビ視聴しつ」(eight社)の満足度では、5段階評価で3.91と今期の全ドラマ(大河・朝ドラなどを含む)の中で9位と健闘している。
特に男性が主人公で"企業もの"という男性向けドラマながら、女性視聴者からの支持が高い点がポイントだ。

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撮影:鈴木祐司 次世代メディア研究所


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■女性視聴者はなぜ支持する

満足度を男女年層別にみると、女性は全体より0.03ポイント高い。特に10代と50歳以上が4.17と極めて高いのが特徴だ。
女性視聴者の主な感想は以下の通り。

「スーパーの内情がよくわかり面白い」(69歳女性)
「スーパーのことだから興味深い」(56歳女性)
「身近に起こりうる問題で親身に感じられる」(59歳女性)
「なかなか身近な問題と思いながら見ている」(28歳女性)

主演の唐沢寿明は、大手スーパー「マルオー」で、ある事情から地方に左遷された。
ところが数年後に社長直属の「コンプライアンス室」という社内の問題を解決していく部署に配属になり、さまざまなハラスメント事件を解決していく。社長との関係・取締役の派閥・下で働く社員たちの厳しい現実と日常がリアルに描かれているドラマだ。

つまり内容的には男性向けドラマだ。なのに女性の受けが良い。
「舞台が女性にも身近なスーパーであることに加え、女性パート社員の反乱や、女性管理職の苦悩がテーマの回もあり、硬派な枠・テーマでありながら女性視聴者から "共感"を得ることに成功している」と、同調査を行った大石庸平室長は言う。
それを証明するように、同枠前作の「ラストチャンス 再生請負人」と比べ、女性視聴者の数が45%も増加している。

■深い奥行が魅力

「下町ロケット」が重厚感のあるドラマだとすれば、「ハラスメントゲーム」は軽快でスピーディな作品。
またヘッドハンティングを題材にした第1弾「ヘッドハンター」(主演・江口洋介)、企業再生を描いた前作第2弾「ラストチャンス 再生請負人」(主演・仲村トオル)は、硬派で渋いキャラクターが主人公だったが、今回はコミカルでありながら、その笑顔の裏に狂気も感じられる"変人キャラ"。
「"ハラスメント"という社会性のある難しいテーマを、とっつきやすい"キャラクター・ドラマ"で見せる手法が女性視聴者に受け入れた勝因」(同大石室長)だったようだ。

また同ドラマは、わかりやすい善悪をつけず、視聴者に考えさせる余韻も残すという点でも「下町ロケット」とは真逆で、女性を中心に新鮮に受け止められているようだ。
例えば26日放送の第7話では、何が本当で、誰が誰の味方か敵か、展開は複雑に変化した。
派遣の役員秘書・小松(市川由衣)にセクハラで訴えられた秋津(唐沢寿明)は、実は二人の会話を録音していた。身の潔白を証明する貴重なデータだが、ボイスレコーダーのチップを折り破棄してしまう。

会社から自主退職を言い渡されて、下請け会社に再就職することになるかもしれないと伝えた秋津に対して、妻・瑛子(石野真子)の反応も微妙だった。これまでなら「これからどうなるの」と夫を責めていただろうが、「そんなのおかしい、訴えるべき」「そんな会社、辞めちゃいなさい」と、夫サイドに立つ。彼女の前ではお調子者を決めてきた秋津も、今回ばかりは一味違う反応を見せる。

過去に経緯があった脇田常務(高嶋政宏)も、反社長・反秋津かと思いきや、秋津排除を主張する水谷取締役(佐野史郎)に対して、「私もマルオーを愛しています」と意味深な言い方で返す。
そして自ら秋津に自主退職と下請け会社への再就職を伝える役を買って出たのに、秋津が役員会で退職願を出すと、「その必要はない」と破り捨ててしまう。

基本的には1話完結の物語だが、ドラマ全体の縦軸となっている社内抗争の部分が終盤にかけて盛り上がってきている。
しかも紋切り型でなく、善悪・好悪など多面性を持つ人間の複雑な部分を出しながら展開する。これらの曖昧かつ微妙な部分が最終回までにうまく着地すれば、このドラマの満足度は極めて高くなり、有終の美を飾ることになる。名作の予感が徐々に高まっている。

※高嶋の「高」は「はしごだか」が正式表記。

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文・鈴木祐司次世代メディア研究所

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