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映画5周年を迎えた『妖怪ウォッチ』が最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(12月14日公開)で打ち出すのは、「シリーズ史上、最も泣ける衝撃の妖怪ウォッチ」。さらにシリーズおなじみのキャラクターではなく、猫又や河童、座敷童子といった伝統的な妖怪たちがメインで登場することが発表されており、公開前から大きな注目を集めている。『映画 妖怪ウォッチ』シリーズが、掟破りとも言える大胆な挑戦を続ける理由とは――? 製作総指揮/原案・脚本を担当した株式会社レベルファイブの社長である日野晃博氏に真意をたずねた。

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株式会社レベルファイブ 代表取締役社長/CEO・日野晃博氏 /最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年12月14日公開)


【予告編映像】最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年12月14日公開)>>


■目指すのは、子供向けではなく"家族向け"

――最新作はポスタービジュアルなども過去作と少し違った雰囲気で、「大人も泣ける」というのをアピールしていますね。

日野: 「なんといっても5周年なので、ビジュアルも格調高い雰囲気になっています(笑)。今回も基本的には子供たちの冒険ストーリーなんですけど、大人たちも子供時代を思い出して感情移入できる作品を目指しました。子供が大人になっていくような、スタンド・バイ・ミー的な要素を取り入れたかったんですよ」

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最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年12月14日公開)
(C)LEVEL-5/映画「妖怪ウォッチ」プロジェクト 2018


――今回「大人も泣かせよう」という方針になったのには、どんな理由があるんでしょうか?

日野: 「映画は毎回、子供向けじゃなくて"家族向け"を意識して作っています。たとえば初期から、大人じゃないとわからないような小ネタを挟むことを続けているんですが、そういうネタが出てくると、子供が『あれはどういう意味なの?』とお父さんお母さんに聞いて、家族の会話が生まれるじゃないですか。今回初めて大人向けになった印象を受けるかもしれませんが、家族向けというコンセプト自体は変わっていません。ただ今回は『大人の鑑賞にも堪える』ということを明確にして映画作りを進めていきました」

――5周年記念作ということで意識したことはありますか?

日野: 「『妖怪ウォッチ』の集大成ですね。友情あり、親子愛あり、妖怪たちとの絆ありで、今まで『妖怪ウォッチ』が表現してきたものを1作に詰め込んだイメージです。メインで登場するのは猫又を始めとした伝統的な妖怪たちですが、これまで『妖怪ウォッチ』に登場してきた妖怪たちもドバッと出てきますよ」

――2回、3回と繰り返し見ても、「このシーンに、あのキャラがいたんだ!」という発見がありそうですよね。

日野: 「僕のお気に入りのアンドロイド山田というキャラクターもチラッと映っていて、『おっ!』となりました(笑)。編集作業でもう3回くらい見ていますが、全然飽きませんね。ラストバトルもすごいんですよ。怪獣大戦争というか、善と悪のシーソーゲームの面白さが大爆発しています!」

■クロスメディア展開だからこそ冒険が続けられる

――妖怪を含め登場人物のほとんどが新キャラクターというのも大胆な試みですね。2016年の『映画 妖怪ウォッチ 空飛ぶクジラとダブル世界の大冒険だニャン!』ではアニメ×実写の演出を取り入れたり、昨年の『映画 妖怪ウォッチ シャドウサイド 鬼王の復活』ではビジュアルのホラー要素を強めるなど、『映画 妖怪ウォッチ』は毎年冒険を続けますね。

日野: 「同じことを続けていくモノ作りだと、どうしてもモチベーションを上げられないんですよ。せっかくなら自分たちも面白がれるものを作りたいので。とはいえ商業的には、『変わったことをしなくてもいいんじゃないか』という声はありますけどね(笑)」

――確かに商業的には、「ケータくんが主人公で、ジバニャンとウィスパーが横にいる」という王道を続けていく方が安心感はありそうです。

日野: 「さすがに僕たちも『シャドウサイド』のときは、コンセプトの時点で相当揉(も)めました。古い妖怪ウォッチを守るべきか、新しいことに挑戦すべきかって。ただ、いろんな視点があるんですよね。『シャドウサイド』は、新しいキャラクターを打ち出すことによって、ゲームの売り上げなども含めると大成功でした。クロスメディア展開という視点でいくと、ビジネスを成立させるためにはいろんな方法がある。今回の『FOREVER FRIENDS』も新しい妖怪ばかりですが、新キャラによってコンテンツがさらに活性化することもあるでしょうし、全然心配はしていません」

――決まった型を守っていけば、コンテンツが長寿化していくわけでもないと。

日野: 「日曜夕方のアニメのような普遍的な作品は、視聴率という意味では成功するかもしれません。でも僕らはゲームやオモチャも売っていかないといけない。となると、新規性のないものって非常に扱いづらいんです。だって去年と同じオモチャを買わないでしょう? ゲームやオモチャ事業を成立させるためには、新しいキャラクターたちが違う場所に行って違うことをする企画を打ち出していかないといけません。もちろん同一作品の中で普遍的な型を作っていくというコンテンツの続かせ方もあると思うんですけど、僕は新しいことをしたい派なので(笑)。『新しいことをしていかないと商品も売れていかない』というクロスメディア展開が性に合っていると感じます」

■妖怪たちは大人の代弁者ではない

――幅広く展開されていますが、その中でも日野社長が『妖怪ウォッチ』の核として捉えているものは何でしょうか?

日野: 「『常に妖怪たちは子供の味方である』ということかな。大ヒットしたとき、いろんなところからオファーがありましたが、僕が唯一ストップをかけたのが標語です。大人が子供に押し付けたい言葉を妖怪に代弁させるようなポスターや広告は止めようと決めました。妖怪は大人の代弁者ではなく、子供たちを楽しませようとする存在です。子供たちに『妖怪たちも結局大人と同じことを言うんだ』とがっかりしてほしくありませんでした」

――確かにジバニャンも、アイドルヲタクだったり、少しひねくれていたりして、ただかわいいだけのキャラクターではありませんね。

日野: 「床に寝そべってチョコボー食べたりしますから(笑)。『妖怪ウォッチ』を通して子供に伝えたいテーマは一切ないんですよ。ただその瞬間、子供たちを元気づけたいだけ。だから、学校では叱られるようなことをキャラクターたちがすることだってある。『ケータくんのまねをしたら、お母さんに怒られた』なんてことがあっても全然いいんじゃないかな」

――日野社長は、子供とビジネスマンの視点、両方を持ち合わせているのが強みなんでしょうね。

日野: 「うーん、子供心が本質的に理解できれば苦労はありません(笑)。むしろ『自分が子供の頃に好きだったものを今の子供たちに伝える』という感覚ですね」

――今後の『妖怪ウォッチ』プロジェクトについて教えてください。

日野: 「テレビシリーズでも、また新しいことを準備しているところなんです。『妖怪ウォッチ』というキーワードを使って、まだいろんな表現ができるし、まだ出せていないアイデアもいっぱいある。おなじみの『妖怪ウォッチ』を続ける一方、『そんなことやっちゃうの!?』って驚かせるようなことだってやりながら、見ている人も楽しませつつ、作り手側も楽しんでいくつもりです。これからも期待していてください!」

【予告編映像】最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年12月14日公開)>>


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映画第5弾『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』は、12月14日より全国公開。1960年代の東京・さくら元町を舞台に、エンマ大王誕生の秘密が描かれる。下町シンと高城イツキ、有星タエの3人は、シンの守護霊・スーさんや、猫又を始めとした妖怪たちとともに、家族の魂を救うため未知なる冒険へと向かう――。ゲスト声優として、俳優・小栗旬(閻魔大王の座を狙う敵妖怪・紫炎役)とお笑い芸人・ブルゾンちえみ(人の魂を喰らう妖怪・玉藻前役)も出演する。

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株式会社レベルファイブ 代表取締役社長/CEO・日野晃博氏 /最新作『映画 妖怪ウォッチ FOREVER FRIENDS』(2018年12月14日公開)


◆日野晃博(ひの・あきひろ)
1968年7月20日生まれ、福岡県出身。ゲームソフト開発・販売会社であるレベルファイブの代表取締役社長/CEO。ゲームクリエイターとして、『レイトン教授』シリーズや『妖怪ウォッチ』、『イナズマイレブン』、『ダンボール戦機』、『スナックワールド』といったヒット作を手がける。
座右の銘は、「小五心」。

(取材・文/原田イチボ@HEW

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