【インタビュー】北村匠海、充実の2018年!「先を見据える力がついた」
2018/12/12 18:10
累計380万部を突破するあなしん原作の人気コミックを実写映画化した『春待つ僕ら』(12月14日公開)。周囲に溶け込めず寂しい学生生活を送っていた美月(土屋太鳳)が、四天王と呼ばれる人気バスケ部員たちとの出会いから、人として女性として成長していく姿を描いた青春ラブストーリー。本作で、美月に大きな影響を与える朝倉永久(とわ)を演じたのが、俳優、アーティストとして活躍中の北村匠海だ。2018年も映画、ドラマ、ライブ活動と多忙だった北村が、久々となる土屋との共演で感じたことや、撮影エピソードなどを語った。
【予告編映像】『春待つ僕ら』(12月14日公開)>>
■好きなものにまっすぐに向き合う部分は自分と似ていた
――北村さんが演じた永久は、とてもまっすぐで正直な青年でしたが、どんな部分を意識して演じたのでしょうか?
北村: 永久は、ただバスケが好きで、いちずに向き合っていたら、大切な仲間ができ、美月という大切な存在にも出会えた。すごく環境に恵まれた人だなと思いました。あまり内に秘めた感情を持つような複雑な人間ではなかったので「素直にまっすぐに物事に向き合う」という永久の特性を大切に演じました。
――永久のシンプルな部分というは、北村さんにも共通するところはありましたか?
北村: 僕も好きなものを突き詰めていきたいタイプで、共感する部分は多かったです。ただ、僕は好奇心の塊なので、好きだと思ったことに結構飛び付くんです。音楽やお芝居はもちろん、写真は個展を開いたり、ファッションも好きだし、映画も本もよく見たり読んだりします。いろいろなものに触れていたいと思うタイプなんです。
――では役作りではあまり苦労はしなかった?
北村: 永久は、普段の自分の生活のテンションと近い部分が多かったです。そのぶん、バスケシーンはすごくこだわりました。僕もバスケは中学生のころ3年間部活でやっていたのですが、試合のシーンが本物に映るか映らないかで映画の質が大きく変わると思ったんです。
――かなり練習を重ねたそうですね。
北村: 魅せるというよりは、リアルにバスケをしていたところを、カメラに切り取ってもらったという感じだと思います。本気で動いて汗をかいて、僕らが真剣にバスケをしているからこそ、伝わる部分が多いと思ったんです。原作が人気少女コミックということで、キラキラする部分はファンタジックに映るかもしれませんが、一方で、生々しい男くさい部分を描くことで、恋愛映画から一歩突き抜けられると思って演じました。
■チームワーク抜群の四天王!
――そうなると四天王と呼ばれる磯村勇斗さん、杉野遥亮さん、稲葉友さんとのチームワークも重要になってきますね。
北村: かなり密な関係性を築いていました。地方ロケで泊まりのときは、稲葉くんの部屋に集まって、馬鹿話をしていました。いまでも役者仲間のなかでは特別な存在だなと感じています。役柄として演じてはいるのですが、作品を見たとき、素の親密度もスクリーンに投影されているなと思いました。みんなで温泉に行って、裸の付き合いもしましたしね(笑)。
――北村さんは4人のなかでも一番年下ですが、どんな立ち位置なのですか?
北村: 基本的に友くんがなんでも突っ込む感じで、他のみんなは小さくボケているという感じ。常に笑いの絶えない現場でした。
――なにか面白いエピソードはありますか?
北村: とにかく小関くんが面白いんです。あるとき大喜利をやろうという話になって「愛とは」というテーマになったんです。僕らは、面白くない回答をしていたのですが、小関くんが突然「バラかな」と真顔で言うんです。なぜバラなのか聞いたのですが、大した理由もなく......(笑)。本当に彼はすごい! とにかく回路が人とは違うんです。
■役者を続けてきてよかった!
――土屋太鳳さんとは、2011年に放送されたドラマ「鈴木先生」以来、約7年ぶりの共演でしたが、久々で感じたことはありましたか?
北村: お互い、仕事面での成長は感じたとは思いますが、なにより太鳳ちゃんから見ると、僕は見た目がだいぶ変わったと思ったんじゃないですかね。初めて出会ったとき、身長は太鳳ちゃんと同じぐらいだったので。「声が低くなっている」とか「顔が濃くなった」って言っていました。人間的な部分で言うと、太鳳ちゃんはいい意味でブレずに生きてきたという印象を持ちました。昔から"土屋太鳳"という芯をしっかり持っていた人でしたが、そこは全く変わっていないですね。
――今回は物語の中心となる役柄での共演でした。
北村: なによりうれしかったのは、まだお互い役者を続けられていたということですね。当時僕は中学生だったのですが、共演していた仲間には、もう役者をやめて別の道を歩んでいる人もいます。そんななか、こうしてまた共演できるというのはすごくうれしいです。特に僕は子役からやっていたのですが、太鳳ちゃんとか(松岡)茉優ちゃんとかと比べると遅咲きだったので、こうして作品で再会できるのは感慨深いです。最近、昔からの仲間から「よく見かけるよね」とか「頑張ってきてよかったね」と声をかけてもらえるんです。本当に一生懸命続けてきてよかったなと思います。
――土屋さんとは「TAOTAK」として主題歌でもご一緒していますね。
北村: 僕は音楽活動もしていますが、歌とお芝居って自分のなかでエネルギーが全然違うんです。今回はレコーディングに映画のプロデューサーさんも立ち会っていて、そういう人に声を張っている自分を見せるのは、ものすごく恥ずかしかったです。太鳳ちゃんと歌うのも不思議な感覚です。いつもはメインボーカルをやらせてもらっているのですが、今回は、あくまで太鳳ちゃんを引っ張りつつも、支えるという役割を担えたらいいなと思っていたので、いつもとは違う感覚でした。
■先を見据える力がついた2018年
――メガホンをとった平川雄一朗監督とはドラマ「仰げば尊し」でもご一緒しましたね。
北村: 今作では、僕に対して、多少なりとも信頼を置いてディレクションをしていただけたのかなという印象があったので、お互い思っていることをしっかりぶつけ合うことができました。平川監督は、すごく煽(あお)るのがうまいんです(笑)。僕にも最初冗談っぽく「いやーアカデミー賞俳優だから(第41回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞)期待しているよ」とか言ったり、耳元で他の共演者にライバル心を掻(か)き立てるようなことを呟(つぶや)いたり......(笑)。本当に共演者のチームワークを強固にするのがうまいんです。いつも平川監督の手の内で転がされている感じです(笑)。でも本当に人柄もすてきな監督さんです。
――2018年も多忙な一年だと思いましたが、どんな一年でしたか?
北村: 今年は公開作品もいくつかあり、ずっと撮影をしていた印象があります。この仕事って、撮影をしてから長い時間かけて公開されることも多々あるので、先々を見る力が自分のなかには生まれた感じがしました。ある程度先に視点を移すことで、見えてくることも変わってくるんです。その意味では、今年は先につながるすてきな仲間がたくさんできた年でした。
――最後に、映画『春待つ僕ら』の見どころを。
北村: いろいろな側面から見ることができる映画ですが、役柄だけではないチームワークの良さが作品の随所に出ていると思います。少女コミックならではのキラキラ感と、男くさい生々しさを見てほしいです。
(取材・文・撮影:磯部正和)
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北村匠海(きたむらたくみ)
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画『DIVE!!』にて映画初出演を果たすと、2013年にはダンスロックバンド「DISH//」のボーカル&ギターとしてメジャーデビュー。俳優、アーティストとして幅広い活動を続ける。2017年公開の映画『君の膵臓をたべたい』では、難病におかされるクラスメイトを温かい目で見守る"僕"を好演し、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の映画賞を受賞。待機作に映画『十二人の死にたい子どもたち』(19年1月25日公開)や『君は月夜に光り輝く』(19年3月15日公開)などがある。
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北村匠海、『春待つ僕ら』(12月14日公開)
【予告編映像】『春待つ僕ら』(12月14日公開)>>
■好きなものにまっすぐに向き合う部分は自分と似ていた

『春待つ僕ら』(12月14日公開)
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
――北村さんが演じた永久は、とてもまっすぐで正直な青年でしたが、どんな部分を意識して演じたのでしょうか?
北村: 永久は、ただバスケが好きで、いちずに向き合っていたら、大切な仲間ができ、美月という大切な存在にも出会えた。すごく環境に恵まれた人だなと思いました。あまり内に秘めた感情を持つような複雑な人間ではなかったので「素直にまっすぐに物事に向き合う」という永久の特性を大切に演じました。
――永久のシンプルな部分というは、北村さんにも共通するところはありましたか?
北村: 僕も好きなものを突き詰めていきたいタイプで、共感する部分は多かったです。ただ、僕は好奇心の塊なので、好きだと思ったことに結構飛び付くんです。音楽やお芝居はもちろん、写真は個展を開いたり、ファッションも好きだし、映画も本もよく見たり読んだりします。いろいろなものに触れていたいと思うタイプなんです。

北村匠海、『春待つ僕ら』(12月14日公開)
――では役作りではあまり苦労はしなかった?
北村: 永久は、普段の自分の生活のテンションと近い部分が多かったです。そのぶん、バスケシーンはすごくこだわりました。僕もバスケは中学生のころ3年間部活でやっていたのですが、試合のシーンが本物に映るか映らないかで映画の質が大きく変わると思ったんです。
――かなり練習を重ねたそうですね。
北村: 魅せるというよりは、リアルにバスケをしていたところを、カメラに切り取ってもらったという感じだと思います。本気で動いて汗をかいて、僕らが真剣にバスケをしているからこそ、伝わる部分が多いと思ったんです。原作が人気少女コミックということで、キラキラする部分はファンタジックに映るかもしれませんが、一方で、生々しい男くさい部分を描くことで、恋愛映画から一歩突き抜けられると思って演じました。
■チームワーク抜群の四天王!

『春待つ僕ら』(12月14日公開)
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
――そうなると四天王と呼ばれる磯村勇斗さん、杉野遥亮さん、稲葉友さんとのチームワークも重要になってきますね。
北村: かなり密な関係性を築いていました。地方ロケで泊まりのときは、稲葉くんの部屋に集まって、馬鹿話をしていました。いまでも役者仲間のなかでは特別な存在だなと感じています。役柄として演じてはいるのですが、作品を見たとき、素の親密度もスクリーンに投影されているなと思いました。みんなで温泉に行って、裸の付き合いもしましたしね(笑)。
――北村さんは4人のなかでも一番年下ですが、どんな立ち位置なのですか?
北村: 基本的に友くんがなんでも突っ込む感じで、他のみんなは小さくボケているという感じ。常に笑いの絶えない現場でした。
――なにか面白いエピソードはありますか?
北村: とにかく小関くんが面白いんです。あるとき大喜利をやろうという話になって「愛とは」というテーマになったんです。僕らは、面白くない回答をしていたのですが、小関くんが突然「バラかな」と真顔で言うんです。なぜバラなのか聞いたのですが、大した理由もなく......(笑)。本当に彼はすごい! とにかく回路が人とは違うんです。
■役者を続けてきてよかった!

『春待つ僕ら』(12月14日公開)
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
(C)あなしん/講談社 (C)2018映画「春待つ僕ら」製作委員会
――土屋太鳳さんとは、2011年に放送されたドラマ「鈴木先生」以来、約7年ぶりの共演でしたが、久々で感じたことはありましたか?
北村: お互い、仕事面での成長は感じたとは思いますが、なにより太鳳ちゃんから見ると、僕は見た目がだいぶ変わったと思ったんじゃないですかね。初めて出会ったとき、身長は太鳳ちゃんと同じぐらいだったので。「声が低くなっている」とか「顔が濃くなった」って言っていました。人間的な部分で言うと、太鳳ちゃんはいい意味でブレずに生きてきたという印象を持ちました。昔から"土屋太鳳"という芯をしっかり持っていた人でしたが、そこは全く変わっていないですね。
――今回は物語の中心となる役柄での共演でした。
北村: なによりうれしかったのは、まだお互い役者を続けられていたということですね。当時僕は中学生だったのですが、共演していた仲間には、もう役者をやめて別の道を歩んでいる人もいます。そんななか、こうしてまた共演できるというのはすごくうれしいです。特に僕は子役からやっていたのですが、太鳳ちゃんとか(松岡)茉優ちゃんとかと比べると遅咲きだったので、こうして作品で再会できるのは感慨深いです。最近、昔からの仲間から「よく見かけるよね」とか「頑張ってきてよかったね」と声をかけてもらえるんです。本当に一生懸命続けてきてよかったなと思います。

北村匠海、『春待つ僕ら』(12月14日公開)
――土屋さんとは「TAOTAK」として主題歌でもご一緒していますね。
北村: 僕は音楽活動もしていますが、歌とお芝居って自分のなかでエネルギーが全然違うんです。今回はレコーディングに映画のプロデューサーさんも立ち会っていて、そういう人に声を張っている自分を見せるのは、ものすごく恥ずかしかったです。太鳳ちゃんと歌うのも不思議な感覚です。いつもはメインボーカルをやらせてもらっているのですが、今回は、あくまで太鳳ちゃんを引っ張りつつも、支えるという役割を担えたらいいなと思っていたので、いつもとは違う感覚でした。
■先を見据える力がついた2018年
――メガホンをとった平川雄一朗監督とはドラマ「仰げば尊し」でもご一緒しましたね。
北村: 今作では、僕に対して、多少なりとも信頼を置いてディレクションをしていただけたのかなという印象があったので、お互い思っていることをしっかりぶつけ合うことができました。平川監督は、すごく煽(あお)るのがうまいんです(笑)。僕にも最初冗談っぽく「いやーアカデミー賞俳優だから(第41回日本アカデミー賞新人俳優賞受賞)期待しているよ」とか言ったり、耳元で他の共演者にライバル心を掻(か)き立てるようなことを呟(つぶや)いたり......(笑)。本当に共演者のチームワークを強固にするのがうまいんです。いつも平川監督の手の内で転がされている感じです(笑)。でも本当に人柄もすてきな監督さんです。

北村匠海、『春待つ僕ら』(12月14日公開)
――2018年も多忙な一年だと思いましたが、どんな一年でしたか?
北村: 今年は公開作品もいくつかあり、ずっと撮影をしていた印象があります。この仕事って、撮影をしてから長い時間かけて公開されることも多々あるので、先々を見る力が自分のなかには生まれた感じがしました。ある程度先に視点を移すことで、見えてくることも変わってくるんです。その意味では、今年は先につながるすてきな仲間がたくさんできた年でした。
――最後に、映画『春待つ僕ら』の見どころを。
北村: いろいろな側面から見ることができる映画ですが、役柄だけではないチームワークの良さが作品の随所に出ていると思います。少女コミックならではのキラキラ感と、男くさい生々しさを見てほしいです。
(取材・文・撮影:磯部正和)

北村匠海、『春待つ僕ら』(12月14日公開)
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北村匠海(きたむらたくみ)
1997年11月3日生まれ、東京都出身。2008年に映画『DIVE!!』にて映画初出演を果たすと、2013年にはダンスロックバンド「DISH//」のボーカル&ギターとしてメジャーデビュー。俳優、アーティストとして幅広い活動を続ける。2017年公開の映画『君の膵臓をたべたい』では、難病におかされるクラスメイトを温かい目で見守る"僕"を好演し、日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ数々の映画賞を受賞。待機作に映画『十二人の死にたい子どもたち』(19年1月25日公開)や『君は月夜に光り輝く』(19年3月15日公開)などがある。
トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。