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タレントで漫画家の星野ルネは、カメルーン人の両親のもとにカメルーンで生まれ、母親が日本人と結婚したことをきっかけに、4歳で兵庫県に移住。以降は日本人と同じような生活を送ってきた。そんな星野は、日本とカメルーンの違いや、黒人に対する学生時代のクラスメイトの反応などを、遊び心たっぷりにエッセイ漫画にして話題を集めている。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 日本在住30年のカメルーン人漫画家・星野ルネ)


クラス内が騒然となったカメルーン式弁当>>

入学式で一番目立ったカメルーン人の母>>

■理想の彼女は「ジャングルを散歩できる人」

――国籍はどちらなんですか?

星野:「カメルーン人の両親のもとにカメルーンで生まれたので、国籍はカメルーンです。ですが、実は大人になるまで父親に会ったことがなかったんですよ。僕が生まれた村では、村全体で子供を育てるような風習があったので、生みの親に会ったことがないのは特別変わったことではなかったみたいです。4歳くらいのときに母親が日本人で現在の父と結婚して、兵庫県に移住しました。日本の永住権も持っています。

幼かったのでカメルーンに住んでいた記憶はほとんどないです。育ったのは日本なので中身はただの日本人です(笑)。でも、2~3年に1回くらいは帰っているので、もちろんカメルーンのことも知っていますし、大好きです。よく『どっちの国を母国と思っている?』と聞かれるのですが、その答えはどっちも。1つに決める必要はないし、『メンタルは自由だぜッ!』って感じですね(笑)。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 日本在住30年のカメルーン人漫画家・星野ルネ)


あとよく聞かれるのが、『日本人女性とカメルーン人女性、どっちが恋愛対象なの?』という質問です。これに関してはもっと自由。2カ国どころか、世界中の国の女性が恋愛対象ですね(笑)。条件があるとすれば、"ジャングルを一緒に歩けること"くらいです」

――ジャングルというのは、映画なんかでよく出てくる"あの"ジャングルですか?

星野:「みなさんが想像する"あの"ジャングルです(笑)。僕が生まれた村のすぐそばにジャングルがあるんですよ。村に帰ったときは、そこを散歩をしています。ジャングルは猛獣が襲ってきたり、危険な植物や虫がいると思われがちですが、それはみなさんが映画を見過ぎているだけ。確かに四方八方から動物の鳴き声が聞こえてきますけど、猛獣に出くわすことなんてまずありません。猛獣側も警戒しているので、むしろ会いたくても会えない。4時間ぐらい散歩したりしますけど、危険な目にあったことなんかないですよ。とはいえ、景色は映画やテレビで見るジャングルそのまんまなので、散歩したらすごく楽しい。お付き合いするなら、そういう場所を一緒に歩けるような人がいいですね」

■外国人なのに無理して"外国人"のフリ?

――日本在住の外国人あるあるはありますか?

星野:「外国人好きの日本人女性を紹介されることはよくありますね。でもそういう女性って、外国人の言動や考え方が好きなんですよ。なのに僕は、中身が思いっきり日本人。話しているうちに、少しずつガッカリしていくのがハッキリと伝わってきます。オファーを受けていったはずなのに、必ずフラれるんです(笑)。最終的には、『本当の外国人を紹介して』ってなります。

外国人だと思い込まれて、無理して外国人を演じることもあります。ただ行き先を確かめるために駅で路線図を見ていると、外国人と話してみたい日本人が、つたない英語で話しかけてきたりするんですよ。こっちもなぜか『その期待に応えなきゃ』って思っちゃって、無理して英語で電車の乗り方を聞くんです。僕が日本語ペラペラだということを知っている人が見たら、ただの茶番ですよね(笑)。他にも、飲食店に行ったときに英語のメニューを渡されることもあります。手間を掛けてしまうのも申し訳ないので、『Ah...this... this...&this』と指を差して注文します(笑)」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 日本在住30年のカメルーン人漫画家・星野ルネ)


――英語も話せるんですか?

星野:「カメルーンで使われているフランス語はもともと話せますが、英語はコンプレックス解消のために覚えました。前に兵庫の地元を歩いていたとき、ブリトニー・スピアーズみたいなものすごい美人のアメリカ人女性に、英語で道を聞かれたことがあるんです。でも僕は当時は英語が話せなかったので、慌てて、『I can't speak English』って言ったんです。そしたらその女性は『Really!? oh my God!』って呆(あき)れた顔でその場を去って行きました。あれは傷つきましたね。それから外国人と思われてもいいように、英語を必死で覚えました(笑)。

外国人と思われて異常に期待されてしまうこともありますね。たとえば、小学校のときに運動会の短距離走に出ると、『黒人が走るぞ。どんだけ速いんだ?』って僕にものすごい期待の目を向けてくるんですよ。それで3位とかになるとものすごくガッカリされる。声を大にして言いたいんですけど、黒人みんなが運動神経が良いわけではないんですよ! 個人差は当然ありますからね(笑)」

■「世界は1つに。パスポートなしで行き来できる世の中に」

星野:「人種によって得意なもの不得意ものが違うイメージがあると思いますが、結局は育つ環境が大きいと思います。日本人は手先が器用だと言われていますけど、それは子供の頃から細かい作業をする機会に恵まれている結果だと思います。日本で育ったカメルーン人の僕は、漫画を描いていますし(笑)。

つまり、小さいころから描き続けているから描けているだけで、生まれつきの能力の話ではないんです。人間って結局のところ持って生まれたものは大抵の人はあんまり変わらない。だから人種を分けるとか、国で人を判断するのって意味ないですよね。最終的には世界中の相互理解が広がり、パスポートなしで行き来できる未来になればいいと思います。それが理想ですよね。

前に日本人の祖父をカメルーンに連れていったことがあるんですよ。祖父は、異国に行くからって緊張していたんですけど、僕が生まれた村に行ってみたら意外とすぐになじんでいました。『戦争のとき、満天の星空の下で大勢の家族と住んでいた。貧しかったけど、あのときの日本と同じだ。なんだか懐かしい』って。僕はその言葉が全てだと思います。

僕の漫画は、Twitterを通して多くの海外の人が読んでくれています。中国とかブラジルとか、いろいろな国に住むマイノリティの人種の人が、メッセージを送ってくれたりします。だから僕は漫画を通して、異国に住むことの違和感を楽しく伝えて、いずれはそれが当たり前の世界にしたいです」

◆星野ルネ
1984年8月20日生まれ、カメルーン出身。カメルーンで生まれ、4歳のときに母の結婚を機に兵庫県に移住。27歳のときに上京し、放送作家を目指す。その後タレント活動を行いドラマやバラエティ番組に出演。Twitterに上げていたエッセイ漫画が話題を呼び、2018年8月に『まんが アフリカ少年が日本で育った結果』(毎日新聞出版)を出版。
座右の銘は、「為せば成る、明日は明日の風が吹く」。

(取材・文/沢野奈津夫@HEW

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