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湯島ちょこは本業である漫画家の傍ら、銭湯文化の普及に尽力する"銭湯アイドル"。浴場での写真撮影やライブ、銭湯グッズのデザインからペンキ絵に至るまで、幅広い表現で銭湯の素晴らしさを世に伝えている。彼女が銭湯にハマったきっかけとその魅力、さらにイチオシの銭湯情報について語ってもらった。

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "銭湯アイドル"湯島ちょこ)


・銭湯アイドルは実は潔癖症だった!>>

・関東と関西の銭湯にある大きな違い>>

■銭湯は「精神的な調律をする場所」

――漫画やイラストのお仕事と平行して"銭湯アイドル"としてもご活動されている湯島さんですが、そもそもなぜ銭湯を愛するようになったのでしょうか?

湯島:「高校生のとき、学校にも家にも居場所がなくて『このまま死んじゃったほうが楽なのかな』というくらい落ち込んでいた時期があって。たまたま電車の窓から銭湯の煙突が見えたので、なんとなく途中下車して行ってみたんです。温泉やスーパー銭湯ではない街の銭湯は初めてだったので、最初は入り方もわからないくらいでした。」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "銭湯アイドル"湯島ちょこ)
撮影:hawk


湯島:「隣に座ったおばあちゃんが親切にいろいろと教えてくれて、ご自身の身の上話をしてくれたんですけど、戦争の話だったり旦那さんが亡くなった話だったり、めちゃくちゃヘビーなのにあっけらかんとしていたんですよ。大変なことや悲しいことがたくさんあっても銭湯で楽しそうにしている姿が、疲れていた心に染みました。大きなお風呂もすごく気持ちよくて、すぐに銭湯が大好きになりましたね」

――確かに、お客さん同士が親しげに交流しているのは街の銭湯ならではの光景かもしれません。

湯島:「あんなにオープンな状態の人たちとお風呂に入るのは人生で初めてだったので、すごく新鮮でした。みんな普段からそこまでオープンなのかと言ったら、けっしてそんなことはないと思うんです。銭湯ならではの不思議な開放感がそうさせてくれるんでしょうね。お互いにすっぽんぽんで、守る場所も逃げ場所もない、みたいな(笑)。」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "銭湯アイドル"湯島ちょこ)


湯島:「悩んでいるときや落ち込んでいるときって、1人で塞ぎ込んでしまいがちじゃないですか。でも街の銭湯に行けば、お風呂に入りながらいろんな人たちの日常に混ざることになりますよね。すると不意に『端っこに寄ってしまっていた気持ちが少しだけ真ん中に戻る』みたいな感覚があるんです。私の中では、銭湯は精神的な調律をする場所なんですよ」

■趣ある銭湯文化を残していくために

――あらためて「銭湯が好きだな」と感じるのはどんなときでしょうか?

湯島:「たとえば、おばあちゃん同士が延々と天気の話をしているとき。『またその話かよ!』ってちょっとツッコミたくなるかもしれませんけど、よくよく考えれば天気のことを気にしていられるのって素晴らしいじゃないですか。『明日は暖かそうだから買い物かねえ』なんて話しているのを聞くと、すごくホッとするんです。

別に常連になる必要があるわけではなくて、偶然居合わせただけでもそれぞれのドラマが垣間見える。自分の知らないところで、みんな喜んだり苦悩したりしながら生きていることを実感できて、『私だけじゃないんだ』と思えるんですよね。まあ基本的にお風呂が大好きなので、大きな湯船につかっただけでエクスタシーを迎えちゃうんですけど(笑)」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "銭湯アイドル"湯島ちょこ)


――湯島さん流の銭湯の楽しみ方を教えていただけますか?

湯島:「根っからの長風呂派なので、できる限りゆっくり入りたいですね。私にとって銭湯は夢の国なので、すべてを放棄して延々とその中にいるのが最高のぜいたくなんですけど、やりすぎると社会に適合できなくなってしまう(笑)。"銭湯アイドル"という仕事柄、お店をハシゴすることもよくあります。でも、本当なら休憩を挟みながらずーっと居座っていたい(笑)。ちなみに、お風呂上がりの飲み物はフルーツ牛乳派です!」

――巷(ちまた)では銭湯ブームと言われていますが、経営者の高齢化や赤字などを理由に廃業するお店も増えています。

湯島:「銭湯が少なくなってきている中で、私なりに少しでも力になれないかと思ってアイドル活動を始めました。最新式の設備がそろったお店も確かに素晴らしいんですけど、古い銭湯って唯一無二の風情があるんです。その素晴らしさは入ってみなければわからない。憩いの場としても文化財としても価値のある場所なので、絶対になくしちゃいけないと思っています。一度なくなってしまえば、復活はないですから」

■湯島ちょこのオススメ銭湯3選!

――湯島さんオススメの銭湯を教えていただけますか?

湯島:「まず、新大久保の隠れ家的な銭湯の『万年湯』さん。2016年の8月にリニューアルしたばかりで設備もとても充実しているんですが、銭湯建築の専門家である今井健太郎さんが手がけた、木の温もりをふんだんに取り入れたレトロなデザインが素晴らしいです。

エリアで言うなら大田区が大好きです。大田区には天然温泉を使った銭湯がとても多いんですよ。池上の『桜館』という銭湯の最上階に展望露天風呂があって、ちょうどスーパームーンのタイミングで友達と行くことができたんですけど、とにかく最高でした。なにも遮るものがない中で美しい月を眺めて、どうでもいいことを喋(しゃべ)って......」

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(GYAO! トークバラエティ「ぶるぺん」出演 "銭湯アイドル"湯島ちょこ)


――友達と銭湯に入っているときって、ものすごくとりとめのない会話をしますよね。

湯島:「お風呂につかっているせいで思考回路がユルユルになるんでしょうね(笑)。でも、それがめちゃくちゃ気持ちいい。お互いに限界までダラけた状態で、話の内容なんてまったくないんですけど、だからこそ最高に満たされます。

大田区のお店だと、東京都浴場組合の近藤理事長がご主人をされている『はすぬま温泉』もリニューアルしたばかりですごく奇麗な銭湯です。大正ロマンを感じさせる情緒あふれる内装で、まるで温泉旅館に行ったかのような気分が味わえますよ」

――今後、湯島さんはどのように大好きな銭湯と関わっていきたいと考えていますか?

湯島:「1人でアイドルをやっていくのは限界があるので、たとえば銭湯が好きな女の子や、銭湯に特化したVtuberをプロデュースしてみたいですね。あとは私にできる漫画やデザイン、若者向けのアイデアを使って銭湯業界に貢献したい。銭湯の減少を食い止めるために、なんとか銭湯好きの分母を増やしていきたいです。

テーマパークでキャストの仕事をしていた父が『お客さんが楽しんでくれたら、自分たちは倍楽しい』と教えてくれたんですけど、実際、自分の活動を通じて銭湯を楽しんでくれている人を見ると本当にうれしいんです。やっぱり私の孤独を癒やしてくれた場所ですから。大切なものを理解してもらえるのって、人間の一番の喜びだと思います」

◆湯島ちょこ
漫画家、イラストレーターとして創作に勤しむ傍ら、銭湯文化の普及と復興を目指して銭湯アイドル、銭湯プロデューサーと多岐に渡って活動中。毎週末、ファンと一緒に銭湯を巡る"オフろう会"を開催しており、1日1軒をこえるペースで銭湯に通い続けている。
座右の銘は、「出すぎた杭(くい)は打たれない」。

(取材・文/曹宇鉉@HEW

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