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オリンピック2連覇の羽生結弦・銀メダルの宇野昌磨、さらにロシアのラジオノワや、日本の宮原知子・紀平梨花・本田真凜など、トップフィギュアスケーターの衣装製作を手掛けているが伊藤聡美(30歳)。彼ら彼女らからは絶大な支持を集め、「マジックが使える人」と尊敬されている。
「そのルールこそが人生を映し出す」をコンセプトにした関西テレビ「セブンルール」。さまざまな分野でそのキャリアを輝かせている女性が主人公だが、今回は衣装デザイナー・伊藤聡美に光を当てている。

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Yuzuru Hanyu , NOVEMBER 18, 2018 at MegaSport Arena, Moscow, Russia.(写真:田村翔/アフロスポーツ)


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■ルール1「デザイン画の顔は本人に似せる」

伊藤が手掛けるスケーターの衣装は、今シーズンだけで40着。
その中で羽生結弦が今シーズン着用した衣装の制作現場に、取材陣は密着した。色染はスプレーでグラデーションを出し、装飾用に縫い付けるストーンは3000個以上。全て一人で作業をしている。

こうした製作の現場は、ファンを魅了したようだ。
SNS上では、絶賛の言葉があふれた。
「羽生結弦さんの衣装とか、出来上がる過程がすごい」
「こんなに拡大してみたことなかったから新鮮だった」
「凄い仕事見せていただきありがとうございます」

スケーターからの依頼は、曲と振付が決まった後に来る。
最初に作るのはデザイン画。その特徴は、「なるべく本人の顔に似せて描く」だ。誰にでも似合う衣装ではなく、その選手にしか着こなせない特別な一着を提案するためである。
「スケーターはリンクに1人で立って、自分が主役。衣装も特別なものを来たい。それに応えてあげられるようにしたい」
こう考えるからこそ、依頼主の顔を丁寧に描く。ユーザー本位の極みだ。

■ルール2「冷蔵庫にガリを切らさない」

日本人の父とタイ人の母の間に生まれた伊藤。
仕立て屋で働く母の影響で、ファッションに興味を抱いた。服飾を学ぶ高校に進学したが、ファッションはモヒカンスタイルで通した。多数派の意見に流されるのが嫌で、尖(とが)った高校生活を送った。

やがて浅田真央に心ひかれ、フィギュアスケートの衣装に携わりたいと思い始める。
22歳で大手衣装会社に就職するが、「自分が作っている」という気持ちが芽生えず、26歳で独立。そこからは、自作のデザイン画をスケートリンクに持ち込み、地道に顧客を増やしていった。

今では40着も製作しているが、デザインから装飾までほぼ一人で行っている。
それでも自分の作品を選手が最初に着て出場する試合の日は、おなかが痛いという。
「装飾落ちたらどうしようかなとか、酷評されたらどうしよう」と気になるからだという。

そんな彼女が、衣装の製作中に頻繁に食べているのがガリ。冷蔵庫から切らしたことがないという。
「すっぱい感じと体が熱くなる感じで、"やるぞ"ってなる」そうだ。
一見華やかに見えるが、その実厳しい作業であることがわかる。

■ルール3~7

ルール3は「嫌なことは"嫌"と言う」。
以下、「男子選手の衣装は850g以内」「年に一度、家族で寺を参拝する」「日没後、1時間徘徊(はいかい)する」「選手にデザインの意味は伝えない」などが並ぶ。
「何それっ」というものもある。
プロのプロに向けた衣装デザイナー&製作者ならではのルールもある。いずれにしても、人並外れた生き方・考え方からしか、突出した本物は生まれてこないことがよくわかる。

視聴者にそれが良く伝わっていることが、SNSのつぶやきに表れている。
「伊藤さんは人間が好きじゃないとは言うけれど、選手のことをすごく考えて衣装を作ってらっしゃる、優しくて素敵で、自分の仕事に誇りを持ってらっしゃる方なんだとわかった」
「1人1人を輝かせるために、その人のことだけを考えて作られている1着。本当にプロでした」
「もの作りをする人間の端くれとして、これからはもうコスチュームをうつした作品を作ることは止めよう、と思いました」
「あれほど魅力のつまった衣装に込められた想いを、選手に押しつけることなく預けているのがとても潔い」

あくまで主役はリンクに舞う選手。
だからこそ、かつては強烈に個性を主張していた伊藤は、地味に黒子(くろこ)に徹する。人間嫌いを公言し、選手とも一定の距離を置く。今では黒い服に身を包んだ個性は、だからこそ華やかにリンクで大輪の花を咲かせるのであろう。
プロとして生きていこうとする全ての人にとって、間違いなく一見の価値ある番組だ。

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文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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