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1月クールも刑事ドラマがめじろ押しだ。
フジテレビには月9で錦戸亮主演「トレース~科捜研の男~」、TBSは高畑充希主演「メゾン・ド・ポリス」、テレビ東京には北大路欣也主演「記憶捜査~新宿東署事件ファイル~」がある。
そして刑事ドラマの老舗テレビ朝日は、水谷豊主演「相棒」と並んで、沢村一樹主演「刑事ゼロ」を放送している。

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Ikki Sawamura on February 3, 2018, in Chiba, Japan.(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


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■好調な出だし

基本的に刑事ドラマは、視聴率が好調だ。
去年10月クールから続いている「相棒」は、平均視聴率が15%ほどで推移している。既にseason17に入っており、刑事ドラマの鉄板となっている。
他には「記憶捜査」のみ初回が8.3%だったが、「トレース」「メゾン・ド・ポリス」「刑事ゼロ」は今のところ毎話二桁を維持している。
特に「刑事ゼロ」は、テレ朝「木曜ミステリー」枠の初回として歴代最高の数字で始まった。

「刑事ものはテレ朝さん、盤石です」
「なんだかんだ面白く見てしまう」
「見立て殺人 金田一みたいで見ごたえがありました」
「相棒のように何回もやりそうな安定したドラマ」

視聴者の中には、早くもシリーズ化を望む声も出ている。
キャスティングは、主演の沢村一樹を中心に、武田鉄矢・寺島進・渡辺いっけい・財前直見・猫背椿と、ベテラン俳優や個性豊かなメンバーが脇を固めている。NHKの"歌のお兄さん"だった横山だいすけは、爽やかなイメージを残したまま、刑事役に挑戦している。
そして沢村一樹とタッグを組む瀧本美織が、清潔感のあるまっすぐな演技で、沢村と絶妙な味わいを出している。

■刑事ドラマとしてのユニークさ

刑事ドラマといえば、難解事件を巧(たく)みな知識と頭脳で鮮やかに解決するか、とにかく現場を走り回ることで解決に導くものが多い。ところが今回の「刑事ゼロ」は、今までとはわけが違う。
主人公・時矢暦彦(沢村一樹)は、20年のキャリアで培ってきた経験、捜査テクニック、ノウハウを記憶喪失ですべて失ってしまった。時矢の刑事としてのデータは全部消去され、いわばゼロからやり直すことになった"生まれたて刑事"なのだ。

記憶喪失と言っても日常生活で覚えていることは多く、「仕事」「刑事」「犯罪」についての記憶のみが抜け落ちている。外傷的理由はキッカケに過ぎず、心理的要因が大きいと考えられている。
強いストレスで、体にとって忘れた方が良いと脳が判断すると、記憶を消そうとすることがあるが、今回はそのパターンのようだ。

事件の謎を解いていく醍醐味(だいごみ)に加えて、同時に、時矢の過去のミステリーに踏み込んでいく、ダブルの面白さも魅力だ。
沢村一樹といえば、長身でキリリと整った顔立ちで、"できる男"を演じることが多かった。"エロ男爵"の異名があるが、イケメンと"えろオヤジ"の二刀流で、不動の人気を保っている。

今回は"天才刑事"の一面とは裏腹に、"生まれたて刑事"のピュアで知識や固定観念に全くとらわれない一面も持ち合わせる。
記憶喪失前の"ビフォー時矢刑事"とは、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)が名付けた側面。もう一つは、自信なさ過ぎのビクビクちゃん="今の時矢刑事"。これらパラドクサルな二面性を見事に演じ分けている。沢村一樹の様々(さまざま)な側面を楽しめる出来になっている。

■ドラマの味わい

人間の赤ん坊は、他の動物と比べ身体的にかなり未熟な状態で生まれてくる。そのため、危険から身を守る本能から、警戒心はもとより、五感や六感も大人に比べ優れている。
大人になるにつれ知識や経験によって、あらゆる問題に対応できるスキルを次第に身につける。ところがどんなに成長したと思っても、生まれ持った純粋な天才的能力に叶(かな)わないことはままある。
"ビフォー時矢"が解決できなかったような難解事件が、すべての五感と先入観のない視点で、"アフター時矢"が解決していくのは爽快だ。
"あっけらかん"とした時矢と対照的に、真面目で努力家でオタク気質・の佐相(瀧本美織)のキャラも、ドラマの味付けをキリリと引き締めている。

音楽はドラマ・アニメ・映画のサントラを手掛けている横山克と、日本を拠点に活動する作曲家・Evan Callの共作だ。
電子系のサウンドを得意とする二人の音楽は、現代的で都会的でありながら、どこか懐かしいような世界が広がって来る。サスペンス映画のような、スリル感とリズムセクションの軽快感。さらにオーケストレーションを巧(たく)みに操る壮大な演出も、テレ朝のゴールデンタイム常連視聴者を大いに喜ばせることだろう。

20年間の刑事としての膨大な記憶を、果たして時矢は取り戻せるのか。
あるいは記憶を失ないゼロからかけ出す時矢は、この後どう変わっていけるのか。
新たな切り口にどんな決着を用意するのか、今後に期待したい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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