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ここ数年急増している事件ものドラマ。
1月クールも、弁護士を主人公にした「グッドワイフ」「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」「イノセンス 冤罪弁護士」がある。警察や科捜研を舞台にした「トレース~科捜研の男~」「相棒」「刑事ゼロ」「記憶捜査~新宿東署事件ファイル~」が並ぶ。
その中にあって、「メゾン・ド・ポリス」は他のドラマとは異なるユニークな側面を持っている。

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Japanese actress Mitsuki Takahata attends the 41st Elan d'or Award ceremony in Tokyo, Japan on February 2, 2017. (写真:アフロ)


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■ユニークな部分

重く真面目なテーマの作品が多いTBS金曜ドラマ枠。
ところが「メゾン・ド・ポリス」は、ソフトでゆるい感じで見られ、かつ何とも面白く、予想外なツボにはめてくれる物語になっている。

主演は新人刑事・牧野ひよりを演ずる高畑充希。
共演者には大物のおじさま方のオンパレード。小日向文世・角野卓造・野口五郎・近藤正臣に、一回り若い西島秀俊。いずれも存在感のある超豪華なベテラン俳優が名を連ねる。

ひよりは新米刑事のペーペーで、所属する柳町北署でも、"新米で女"のためか、男社会の警察署でやる気を見せるも、なかなか相手にされない。元警察官の偉大なる力を借りて、もまれながら事件を解決していくことになる。

キャスティングはベテラン俳優がそろうとはいえ、主役の高畑充希以外は、ほぼ男だらけ。
「メゾン・ド・ポリス」というタイトルも、どこか生ぬるさを感じなくもないが、これが意外や意外に、段丘の差があるリズミカルなドラマに仕上がっている。
しかもリタイアしたおじさまたちの使用人として、こき使われているのが花形主演俳優の西島秀俊。アイロンがけで集中したり、新作スイーツの研究に奮闘するシーンもあり、セクシーな西島の異なる側面を楽しめるようになっている。

■ドラマの魅力

おじさまたちの現役時代の功績は素晴らしいが、事件の捜査に関わっていない普段はごく普通のリタイアした老人。老眼だったり足腰に関節痛を抱えたり、そして薬も欠かせない。
どんなに過去の栄光が華やかでも、老化の現実は誰にも平等にやってくる。そんな日常をポップにありのままに描くことで、視聴者の共感を呼び、安心感を与え、そして事件が発生しトキメキをもたらす。

新人のひよりは"ひよこ"と呼ばれ、おじさま方にいじられながらも、唯一の現役として形の上ではチームのリーダーに抜擢(ばってき)され、問題解決に奮闘する。
ひよりのまっすぐで真摯(しんし)な姿勢を、リタイア組のおじさま方は応援し、必要ならば全力で手を貸す。現役を退いたからこそできる、余裕の優しさや、かつての肩書をひけらかさないスタイルも、原作者・加藤実秋と、脚本家・黒岩勉の高齢者に対するリスペクトが込められているようで、とても気持ちが良い。
高畑充希と西島秀俊がタッグを組み、さらにバックアップするリタイア組。3世代にわたるジェネレーションのトライアングルが、一つの理想的社会のあり方に見えるところも興味深い。

そしてリタイア組は、シェアハウスのオーナーで、元警視庁副総監の伊達有嗣(近藤正臣)の豪邸で、共同生活をしている。そして元捜査一課の主任だった夏目惣一郎(西島秀俊)が、住み込みの雑用係だ。通いの管理人・高平厚彦(小日向文世)の下で、料理など家事を教わっている。
さらに買い物係兼なんでも屋の瀬川宗介(竜星涼)が、マメにシェアハウスに出入りしている。
孤立しないシェアハウスの風通しの良さや、単に老後を分け合う同居ではなく、住人・使用人・オーナーなど、全員がそれぞれ自分の居場所と共同生活のポジションをうまく保ち、健全な生活を送れる所も魅力的だ。

刑事モノの事件解決の面白さも、もちろん健在ではあるのだが、このドラマの魅力は多様な見方を提示してくれる点だ。
現役で働く自分。組織に所属する自分。退職した後の自分。自由意思で動く自分。
どの世代も過去や未来ではなく、現在を豊かに生きる姿を見ることができ、現実をポジティブに変えるパワーをもらえるドラマとなっている。

音楽担当は末廣健一郎。
またもやワンミュージックの劇伴アーティストだ。
ルパン三世を思わせる、ワイルドでシャープなサウンドは、ブラスバンドのかっこよさを最大限に生かしている。そして末廣とタッグを組むのはMAYUKOだ。
この二人がコンビを組む作品は、「逃げ恥」「大貧乏」「チアダン」など。記憶に残るドラマで活躍している。

現代社会をポジティブに変える「メゾン・ド・ポリス」。ひよりの成長と隠された過去と同時に、若くして退職した夏目の過去も気になるところだ。
初回12.7%・2話12.4%と出だし好調だった同ドラマが、中後半でどう視聴者の心と掴(つか)み続けるのか、おじさま方がキラ星の如く輝く物語だけに、展開が楽しみでならない。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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