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この1月クールは、職業を前面に出すドラマが多い。
「トレース~科捜研の男~」「メゾン・ド・ポリス」などの警察モノ、「グッドワイフ」「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」などの弁護士モノ以外にも、「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」「家売るオンナの逆襲」「私のおじさん~WATAOJI~」など、職場が舞台の物語が少なくない。
中でも「ハケン占い師アタル」は、普通の会社にありがちな人間関係を描き、チームの各構成員の人間性を掘り下げようとしている。しかもミステリアスでコメディ要素も入れた野心的な物語だ。

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Hana Sugisaki attends the Elan d'Or Award ceremony on February 1, 2018, Tokyo, Japan(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


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■杉咲花×遊川和彦

脚本を手がけるのは遊川和彦。
驚異的な視聴率をマークした「家政婦のミタ」を初め、「女王の教室」「過保護のカホコ」「はじめまして、愛しています」などの問題作・話題作を世に送り出してきた。
コメディタッチに描いても、社会問題が見え隠れする作風は、視聴者にとっては興味深く、またシリアスすぎない入りやすさと見やすさが、人気の理由の一つであろう。
今回の作品では、脚本に加えて演出にも名を連ねていることから、このドラマへの情熱と意気込みが感じられる。

主演は杉咲花。実力派若手女優だ。
数々のドラマに出演し、16年秋公開の映画「湯を沸かすほどの熱い愛」では、宮沢りえの娘役として共演した。作品の素晴らしさは言うまでもないが、主演の宮沢りえが数々の主演女優賞を受賞したが、杉咲花も負けず劣らず助演女優賞や新人賞を多数受賞し、その実力を一気に広めることになった。
杉咲花は今回のドラマに対してコメントで、「本格的なコメディは初めて」と語っているが、今までに見なかった彼女の新たな"花"を開花させてもらいたい。

■占いという切り口

"占い"といえば、一時期大ブームとなった「細木数子の六星占術」を初め、「動物占い」「新宿の母」「手相占い」「西洋のタロット」「血液型占い」「風水」など、いろんな種類の占いが世に溢(あふ)れている。
景気が良くても悪くても、あまり社会情勢などに関係ない。初詣に行っておみくじを引く人も多いし、
いつの時代も人は占いに頼っている。

「なぜか?」
それは、将来が見えないから。つまり、不安の裏返しである。
就職をすれば、結婚する適齢期がやってくる。仕事でも上司との関係や会社でのポジションについて悩む。
女性の場合だと、仕事と出産・育児の現実を考えてしまう。産んでから仕事復帰する場合もキツイし、妊娠しながら働くこともキツイ。

視聴者の誰かに当てはまりそうなさまざまなシチュエーションを背負った登場人物が、同じオフィスに集合し、一緒に働きながら、派遣社員の隠れ占い師・的場中(杉咲花)と不思議な関係を築きながら、ポジティブに変わっていく。
全く異なるキャラ設定のためか、共演者も、個性豊かでバリエーションも豊富だ。
小澤征悦・及川光博・板谷由夏・若村麻由美とベテラン俳優から、間宮祥太朗・志田未来・志尊淳・野波麻帆など若手俳優もそろってる。幅広い年齢層を網羅し、会社という社会をバランス良く映し出している。

■見どころ

第1話では、神田和実(志田未来)がターゲットとなった。アタル(杉咲花)の占いで裁かれ、自分の出した決断に自信を持って、明るく前に進んでいけるように成長した。
第2話のお目当ては、コネ入社3年目のおぼっちゃま・目黒円(間宮祥太朗)。純粋な心を持ち続けながら、紆余曲折(うよきょくせつ)を経(へ)て大人に一歩前進するというものだった。
この流れでいくと、イベント会社シンシアイベンツの制作Dチームのメンバーが次々と裁かれ、アタルによる"働き方改革"ならぬ"自分改革"が行われて行きそうだ。遊川和彦のルーティーンは、見事に確立されていると言えよう。
自分改革を経て成長し始める社員たちは、会社という枠の中でどう生きていくのだろう。

アタル役の杉咲花の演技も興味深い。
アタルは指示された仕事は「喜んで!」と笑顔で引き受け、初めて働くにしては有能で仕事が早い。
ところが占いになると態度が急変し、目つきも鋭くなる。誰にもない不思議な能力を持ったミステリアスな女子を演じるには、もう一つ演技に謎めいた奥行きが欲しいところだが、まだまだ盛り上がる気配を見せる杉咲花の本気モードに、期待が高まる。

劇中音楽を手掛けるのは平井真美子。
夫は歌手の森山直太朗。自身はエリート音大を卒業したピアニストで、作曲家だ。
イントロで使用しているオーケストラとパーカッションに乗せたピアノコンチェルトのような迫力ある音色が、印象的だ。
ピアニスト特有の安定したアカデミックな知識と、マリンバなど劇伴にしては珍しくオリジナリティのある巧(たく)みな楽器選びで、ドラマシーンにリアリティをプラスする。

占いという切り口、職場での人間関係、メンバーの成長物語、杉咲花の演技、そして音楽。いずれもちょっと変わった要素の集合体となる同ドラマが、今後どう化学反応を見せていくのか楽しみだ。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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