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この冬クールは刑事ドラマと弁護士ドラマのラッシュが続く。
刑事ドラマでは、「相棒」「刑事ゼロ」「記憶捜査」「メゾン・ド・ポリス」「トレース」。弁護士ドラマでは、「グッドワイフ」「スキャンダル専門弁護士」が来て、「イノセンス 冤罪弁護士」が続く。
特に「イノセンス」は、初回視聴率8.3%・2話8.7%とスロースターターとなった。ただし冤罪(えんざい)の真相が究明されていく番組後半は、毎回圧巻の展開となっている。

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Kentaro Sakaguchi, October 29, 2018(写真:2018 TIFF/アフロ)


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■キャスティングの妙

主演は坂口健太郎と川口春奈。共演者も藤木直人・趣里・小市慢太郎・正名僕蔵・赤楚衛二・杉本哲太・志賀廣太郎・市川実日子・草刈正雄と実力派俳優が名を連ねる。

坂口健太郎演じる冤罪(えんざい)弁護士・黒川拓は、刑事事件で起訴された場合はほぼ100%が有罪と言われる裁判に、真っ向から立ち向かう弱者のためのビンボー弁護士だ。
ぬれぎぬを着せられた被告の無罪を証明するために、時に無謀な暴走をするが、科学者とジャーナリストの力を借りて、検証実験で冤罪(えんざい)事件の真相を究明していく。

坂口健太郎の洗いざらしのコットンのようなイメージに、ぴったりのはまり役といえるだろう。
カネや名声に惹(ひ)かれて揺らぐことなく、真実を暴き、正当な判決だけを探し求めるブレない真っすぐさが一番の特徴だ。ただし極端な正義感の代償としてか、弁護士のイメージを打ち砕く、ゆるゆるのカジュアルな着こなしと、「これは便利」と言って持ち歩く何でも入ったドラムバッグは、どう見てもビンボー学生スタイルだ。
普通の人が、この抜け感のあるスタイルにしても、ただの部屋着にしかならないのだが、モデル出身の坂口健太郎の手にかかると、ヨレヨレのシャツも洗いざらしに変わるから不思議だ。

それとは対照的に、川口春奈の役作りも徹底している。
川口が演じる新米弁護士・和倉楓は、役のためか髪の色は黒。硬派なスーツ姿に、一般論を語るフツーの常識を前面に出してくる、ちょっとイラッとさせる女子だ。
今までは、整った顔立ちに合う正統派な役が多かったが、今回はこのイラッとさせる演技が、なかなかのお手前といえよう。
黒川拓に振り回されながらも、和倉楓の成長ぶりと二人の関係にも注目が集まる。

脇を固めるパラリーガルの城崎穂香役・趣里の演技も、ドラマ出演ごとに存在感を増し、視聴者を楽しませてくれる。2017年の「リバース」では、ごみ屋敷にこもる妻役で、その圧倒する演技を披露した。続いて「ブラックペアン」「僕とシッポと神楽坂」に出演し、全く異なる役を見事に演じ分けている。

■"冤罪(えんざい)"が問うもの

あまり報道されることのない"冤罪(えんざい)"だが、罪を犯していないのに逮捕されてしまうケースや、そのまま起訴され有罪を言い渡されてしまうケースは、実は少なくない。
事実と十分に向き合わずに急いで逮捕してしまうやり方や、精神的に追い詰め自白させる取り調べのあり方。こうした実態に疑問を抱き、もう一度考え、見直していく必要がある。

では、なぜ冤罪(えんざい)は起きるのか?
やはり人が人を裁く以上、思い込みや成果主義など邪な要因が入り込む余地がある。裁く側に立つ人間は、これらを排し、正しい事実認識と、被告の人生を大きく変えてしまうかもしれないという責任を持たなければならない。
弁護士ドラマがいくつも制作されるのは、こうした姿勢があらゆる職業に求められる部分があり、そこに共感があるからではないだろうか。
今回の「イノセンス 冤罪弁護士」も、人が人を裁くことの重みと重大な責任について、もう一度向き合い考え直させられるドラマになっている。

音楽を手掛けるのは、日本が誇る作曲家の一人・岩代太郎だ。
映画音楽からドラマ・アニメ・ゲームなど、ジャンルを問わない作風の幅の広さは圧巻で、数々の最優秀音楽賞を受賞している。
何よりもピアノ曲のメロディとハーモニーは美しく、人の心に染み込んでくるような音楽が魅力的だ。
2話のラストのシーンで、無罪が認められ釈放された若者と母とのやりとりで流れるピアノソロの音色は、思わずぐっと心掴(つか)まれてしまう。

検察のあり方、警察と刑事の組織的問題、社会と世間の現実を考えながら、今後の展開に期待したい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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