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今クールは職業ドラマが花盛りだ。
「トレース~科捜研の男~」「メゾン・ド・ポリス」などの警察モノ、「グッドワイフ」「スキャンダル専門弁護士 QUEEN」などの弁護士モノ以外にも、「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!」「家売るオンナの逆襲」「ハケン占い師アタル」「私のおじさん~WATAOJI~」など、職場が舞台の物語が数多くある。

中でも「後妻業」は、正式な職業ではないものの、社会の裏側で人が生きていく一つの実存に迫る作品になっている。関西弁で展開されることも含め、今クール最もユニークなドラマの一つと言えよう。

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カンテレ・フジテレビ系列ドラマ「後妻業」が、1月22日よりスタート(毎週火曜21時~)


・【無料配信】「後妻業」(毎週火曜21時より放送)各話テレビ放送終了直後から>>

・物語につながる特別ドラマ「チェインストーリー」を独占配信>>

■キャスティングの妙

原作は黒川博行の小説「後妻業」。
大竹しのぶが主演・小夜子を演じ、圧巻の存在感を見せつけた映画『後妻業の女』が16年に公開されている。
今回のドラマ版では、木村佳乃が小夜子に挑戦している。日本を代表する大女優が作り上げた強烈なイメージがある中、木村佳乃へは厳しい目が注がれるだろう。それでもさまざまな役に挑戦し、バラエティでも体を張ってきた思いっきりの良さがあり、飾らず自然体の美しさを兼ね備えたママ女優・木村佳乃に、ぜひ頑張ってもらいたいところだ。

東京出身の木村佳乃がコッテコテの大阪弁を早口でしゃべるのも、従来のイメージを新たに覆す感じがありオモシロイ。ドラマが始まって2話、まだ自然な大阪弁とは言い難いが、回を重ねるごとに板についていくに違いない。
今まで演じてきた"良い妻""良い母"から、「僕のヤバイ妻」以降やり手の悪女を演じるようになり、今回の「後妻業」ではついに殺人まで犯し"カネの亡者"となる。

共演者には、脂ののった演技派がそろう。小夜子が働く結婚相談所の社長・柏木亨役に高橋克典。
そして小夜子と激しくバトルを展開する中瀬朋美役が木村多江。嫌悪し合う女同士の戦いなのだが、あっけらかんとした大阪のノリもあり、まるでコントを見ているような笑えるシーンとなっている。
さらに中瀬朋美の内縁の夫・佐藤司郎(長谷川朝晴)や、朋美の大学の先輩で元刑事・本多芳則(伊原剛志)。3人の歪(いびつ)で複雑な男女関係も注目だ。

■切り口と演出の妙

舞台が大阪ということもあって、関西では視聴率が伸びている。
ただし関東では、いまのところ数字はパッとしない。ただし東京に次ぐ第二の都市・大阪でのヒットから、徐々に全国に波及する可能性もなくはない。
2時間ほどの映画では成し得なかったストーリーの大胆な展開と、各出演者の演技力次第ではないだろうか。

そもそも後妻業と呼ばれる職業なんて、本当に存在するのだろうか。
結婚詐欺や夫婦間の保険金目当ての殺人事件は、残念ながら多く発生している。高齢社会の今、老齢の親や家族を抱え、一番仕事盛りの年齢層に重くのしかかる介護問題は深刻だ。遺産をめぐり兄弟や親子関係にヒビが入ることも珍しくない。

そんな状況をつぶさに見ると、資産はたくさんあるが孤独な老後生活を送っている男性老人に狙いを定めた後妻業は、なるほど興味深い職業だ。
小夜子のように"絶対に失敗しない"その道のプロが出てきてもおかしくはないだろう。

カネに目がない小夜子だが、不動産や株よりも、特に現金に反応する点も興味深い。
不動産も株も投資信託も、価値としては現金と同じだが、束ねられた札は最もわかりやすい宝。養護施設で育った小夜子が、金銭で苦労したであろう過去が想像される。高級マンション・毛皮のコート・宝飾品などを小夜子が見せつけるほど、過去の貧困が浮き彫りになる。しかも養護施設では長時間神に祈る聖女の小夜子が出てくる。過去と現在の対比は、実におもしろい演出だ。
過去の聖女と現在の悪女がどんな決着を迎えるのか、今後への興味をかきたてる。

今回のドラマも、音楽は"ワンミュージック"所属の作曲家・眞鍋昭大の手による。
小夜子が殺人に手を染めるシーンで、モーツァルトのレクイエムが流れた。オーケストラとの合唱作品で、死の和音と言われるニ短調のキョーレツなフレーズが、人を殺すシーンにあまりにぴったりでびっくりした。
音楽と映像が"悪と聖"を際立たせる演出は、やはり新鮮だ。

木村佳乃vs. 木村多江のバトルも、一見すると悪と聖の対峙(たいじ)に見える。
それでも実際の人間は、そんなに奇麗に二元論に収れんされない。最後に"幸せ"を勝ち取るのは、いったい誰だろうか。音楽・演出・ストーリー展開にどんな挑戦が込められているのか、悪と聖の行方は見逃せない。

・【無料配信】「後妻業」(毎週火曜21時より放送)各話テレビ放送終了直後から>>

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所

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