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1月クールは刑事ドラマが好調だ。
錦戸亮主演『トレース~科捜研の男~』・沢村一樹主演『刑事ゼロ』・高畑充希主演『メゾン・ド・ポリス』の3作は、いずれも平均視聴率が二桁で、多くの視聴者に支持されている。

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好調な3刑事ドラマの視聴率動向


西島秀俊たち"おじキュン"演出が秀逸!「メゾン・ド・ポリス」>>

中でも『メゾン・ド・ポリス』は、他2作が事件解決のプロセスを魅せる剛速球とすると、事件解決以外の捜査する側・される側の人間関係や内面を楽しむ変化球と言えよう。それも飛びっきり味わいのあるドラマとなっている。

■設定の妙

同ドラマの6話までの平均リアルタイム視聴率は11.0%。
分かっている4話までのタイムシフト視聴率も8.5%。総合視聴率的にも10%台後半で推移しており、1月クールの中では5本の指に入るヒット作と言えよう。

しかも若い役者は高畑充希(27歳)だけ。
準主役の西島秀俊は、人気俳優だが既に47歳のおじさま。他には近藤正臣(77歳)・角野卓三(70歳)・小日向文世(65歳)・野口五郎(62歳)といずれも高齢層が脇を固める。舞台となるメゾン・ド・ポリスのおじさま達は、総年齢321歳と正におじさんブームを体現した物語となっている。

しかも刑事ドラマとしては、かなりユニークなストーリー展開をしている。
たとえば『トレース~科捜研の男~』は、刑事の勘に頼らず、客観的な科学的データに基づいて、真犯人に迫って行く醍醐味(だいごみ)を売りにしている。『刑事ゼロ』はかつての敏腕刑事が、記憶を失ったことで新たに研ぎ澄まされた感覚を獲得し、意外なアプローチで事件を解くプロセスが面白い。いずれも刑事ドラマとしては、剛速球の部類に入ると言えよう。

ところが『メゾン・ド・ポリス』は、発生する事件とその解決プロセスは、ドラマでは時々みかけるような"ありきたりの事件"が多い。
ただし新人の女性現役刑事と、退職した5人の警察官が協力して、それぞれの持ち味を生かしつつ解決していくプロセスは、人間ドラマとしての味わいがある。
いわば変化球の妙で魅せる物語なのである。

■味付けの妙

ストーリー展開の魅力の他、味付けの部分でも多彩な変化球が魅力的だ。

事件や役者たちの演技では、シリアスな部分が基本となっている。ところが言動などに至るところにコメディ要素がちりばめられ、気楽に見ていられる事件解決モノという意外性が面白い。
しかも新人の女性刑事が、おじさん達に手を焼きながらも、ふとした瞬間に"おじキュン"となる演出が秀逸だ。

たとえば初回では、家電メーカーのCMかと思うほど、エプロンをつけた西島秀俊のアイロン掛けシーンがキュートだ。アイロン掛けをしながら、捜査情報の整理をする。
2話では捜査中に、突然西島秀俊が高畑充希に「おい、結婚するぞ」とプロポーズした。ママ友たちに聞き込みをするための偽装夫婦になる合図だったのだが、高畑の驚きぶりは印象的。同時に視聴者のおばさまたちも悶(もん)絶したようだ。
3話では角野卓三が、会社や家族に捨てられ寂しさから罪を犯した高齢者を一喝するシーンが山場だった。つらくとも信念を曲げずに現実を受け入れるという"おじキュン"も捨てたものじゃない。

■第6話の妙

第6話では小日向文世にスポットライトがあたる。

溺愛する娘・小梅が尋ねてきて、容疑者となってしまったボーイフレンドを助けて欲しいと頼む。実は刑事をやったことのない小日向は、家族には捜査一課の敏腕刑事とうそをついていた。
メゾン・ド・ポリスのおじさまたちは、小日向に協力して事件を解決に導く。ところがそのプロセスの中で、小日向と娘・小梅の間にうそとうそを信じてあげる振りをする、温かい父娘関係が垣間見られる。

さらに容疑者たちの間で、家族を大切にする小日向ならではの説教が飛び出す。捜査からは逸脱しているが、人情あふれる瞬間だ。そして意識の戻った被害者が、家族を慮って最後まで犯人についてうそをつき通しているのも小日向は見破った。さらに被害者の配慮を受けて、事件の意外な解決策を出す。家族思いの小日向ならではの言動に、見る側はキュンキュンしながら家族のあり方を考えさせられたことだろう。

このように単なる事件モノではなく、そのプロセスの中に人間物語を滲(にじ)ませる同ドラマ。
3世代が時にはぶつかり合いながらも、連携することで新たな可能性が出ることを物静かに語っているようだ。
癒やしに満ちた刑事ドラマは、決して派手ではないが、着実に存在感を増している。

西島秀俊たち"おじキュン"演出が秀逸!「メゾン・ド・ポリス」>>

文・鈴木祐司 次世代メディア研究所

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