山P、最後のセリフがすごい! ~本・役者・演出の三拍子そろった 新ドラマ「インハンド」~

2019/4/15 15:08

TBSの金曜ドラマ「インハンド」がスタートした。
主演は山下智久。お人よしで正義感の強い熱血助手・濱田岳、クールでやり手官僚・菜々緒と手を組み、最新科学でさまざまな難事件に挑む。「医療×サイエンス×ミステリー」と刺激的な線を狙って来た。

サムネイル
Japanese model Nanao attends a photo call after the 29th Japan Best Jewellery Wearer Awards ceremony on January 25, 2018, Tokyo, Japan. (写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)


山下智久、濱田岳、菜々緒が出演! 新ドラマ「インハンド」を配信中>>

科学者が事件を解決していくタイプの映画は、アメリカ映画によくあるパターンだが、原作は朱戸アオの漫画「インハンド」。2018年に連載がスタートし、単行本の第1巻が発売されたのが今年の3月22日と、かなり新しい作品。そのドラマ化だけに、注目が集まっている。

■刺激と魅力がちりばめられた初回

初回の冒頭、ジャングルの中を紐倉哲(山下智久)率いる、寄生虫研究チームが進んでいく。
そこで野生の象やサルに遭遇する。「野生の象は、気性が荒いから危険だ」というメンバーの声に耳を貸さず、象の方へずんずん進んでいく紐倉。
ところが変わり者の天才科学者・紐倉は、象に襲われるどころか、穏やかに対話をしてしまう。そして、ロボットハンドの義手を象の鼻先に滑らせ、「また会えたね」のセリフが彼の過去をほのめかす。

シンセを駆使した映画的な音楽に日常生活からかけ離れた、"アドベンチャーワールドへようこそ"と言わんばかりの魅力的なオープニング。ワクワク感と未知の物語への期待が高まる。

音楽という重要な演出を手がけたのは得田真裕。
劇伴の常連であるワンミュージックの所属アーティストで、アニメから数々のドラマ、ドキュメンタリー、スペシャル番組など、その功績は枚挙にいとまがない。
物語のテーマが"寄生虫の研究"。これまたマイナーゾーンのジャンルだが、ドラマの重要な要素となり、ストーリーに奥行きが出て興味深い。やはり刺激的だ。
しかも頻繁に出てくるミクロの世界の専門用語や医療用語。加えてイラストや図での解明もあり、とてもわかりやすいと同時に、ストーリーテリングのスパイスになっている。

感染症の疾患と症状、医療現場が実際に出てくるシーンも多く、漫画原作でありながら、極めてリアリティがあるのも魅力だ。
さらに厚生労働省と内閣官房の組織のセクショナリズムや権力闘争なども出てくる。魅力的かつ刺激的な要素が巧妙に構成され、あっという間に時間が過ぎていく。

■最強の三人

紐倉哲を演じる山下智久の人気は、言うまでもない。
本人の個性で演技するタイプのようだが、今回は「(原作の)紐倉のキャラクターと重なる部分がある」と山下自身が公言している通り、専門分野には強いが、無愛想で、でも芯はいいヤツがピッタリあっている。

共演する菜々緒と濱田岳も、役と俳優のイメージはマッチしていて、キャスティングは見事だ。
東大法学部を首席で卒業した牧野巴(菜々緒)。外務省から異動になり、内閣官房のサイエンス・メディカル研究室にやってきた。略して"SM研究室"と呼ばれているが、そこに菜々緒というのも、ほんのりコミカルで笑いを誘う。
きりりと着こなすシンプルでタイトなスーツから隠しきれない長い足は、男女問わず菜々緒ファンにとって堪らない。また爬(は)虫類の扱いも、演技の中で至って自然で、ドライなイメージの菜々緒を裏切らない。

濱田岳は救命医・高家春馬を演じている。
生真面目で使命感あふれる医師だったが、初回の事件をきっかけに紐倉と出会い、助手として引っ張り込まれる。
変わり者でドSな紐倉から無理難題を押し付けられても、ついつい手伝ってしまうお人よし。寄生虫も苦手。自分勝手な紐倉にいつも振り回され、紐倉とは対照的ながら、優しい性格でおせっかい焼きというキャラクターが、山P・菜々緒と絶妙なバランスのトライアングルを形成している。

ストーリー展開も、事件の真相を暴きながらテンポよく進み、最後の最後に、紐倉の名セリフが炸裂(さくれつ)する。
「内部告発しても何も変えられなかった」「結局、医者も無力」と嘆く濱田岳のボヤキに対しての言葉だ。
「確かに僕らは無力だ。今打つ手がなく、目の前で死んでいく患者に対しては」
「だけど、未来に対してはどうだ(中略)。もっと遠くを見て、百年後か二百年後か、誰も無力じゃない」

今を生きる意味を考えさせる、素晴らしい本がそこにはある。医療・サイエンス・ミステリー・官僚組織論にヒューマンドラマがある。たくさんの味を楽しめる作品で、金曜ドラマの人気枠を大いに盛り上げること、間違いないだろう。

山下智久、濱田岳、菜々緒が出演! 新ドラマ「インハンド」を配信中>>

コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所