ダメ夫を演じた玉木宏が切れ者に変身 ~「スパイラル」で魅せる演技の幅~

2019/4/17 18:05

テレビ東京ドラマBiz「スパイラル~町工場の奇跡~」が始まった。

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イメージ画像(写真:アフロ)


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同枠は昨春から始まったビジネスドラマ枠。
江口洋介主演「ヘッドハンター」、仲村トオル「ラストチャンス 再生請負人」、唐沢寿明「ハラスメントゲーム」、真木よう子「よつば銀行 原島浩美がモノ申す!~この女に賭けろ~」と来て、今回初めて中小企業が舞台となった。

■登場人物

主演は玉木宏。
優れた技術を持つ町工場の中小企業を再生請負人として、どん底から這(は)い上がらせる奇跡のドラマだ。
共演者は、貫地谷しほり、若手俳優で活躍中の戸塚純貴、平泉成、眞島秀和、真矢ミキ、國村隼、福士誠治、野波麻帆ら、個性豊かな俳優陣がそろっている。
中でも戸塚純貴は、整備士の資格を持っており、ドラマの中でも役にリンクした技術屋の一面を見せてくれるのではないかと期待が高まる。

■中小企業

舞台は下町の町工場。
天才発明家だった社長・藤村登喜男(平泉成)が倒れるところから始まる。急いで駆けつけた息子・藤村望(戸塚純貴)は、父の最後に間に合わなかった。

町工場の企業再生とは無縁のような冒頭から、何が起こるのかと興味が湧き上がり、ドラマの展開に引き込まれる。
玉木宏が演じる芝野健夫は企業再生家。大手企業"曙電気"のCRO(最高リスク管理責任者)として活躍してきたが、会社の若手が育ってきたことを実感し、自分の身を退く意を予告するような意味深な発言をする。そして、かつての恩人・藤村登喜男の通夜へ急いで向かう。

藤村の会社が経営難に陥り、多額の借金を負いながら、社長の席がぽっかりと空いてしまった。
途方にくれる藤村の娘・浅子(貫地谷しほり)を励まし、なんとか力になれないかと考えを巡らす芝野。
このドラマの大きな軸となる、町工場と企業の再生。これら二つは、われわれが忘れかけている"日本の経済の原点"に立ち返るためのキーワードなのだろう。

■時代状況

高度成長期時代。
緻密かつ繊細な技を駆使する日本の職人が、互いに切磋琢磨(せっさたくま)した歴史があるからこそ、家電・自動車・重工業など、日本の経済は大きく成長を遂げた。
それらの技術は、コスト削減を大きな理由にして、大手企業により東南アジア・中東・アフリカなどへ移転していった。その結果、発展途上国の経済発展にもつながった。
ところが日本の優れた技術を持つ町工場は、多くが経営危機に陥ってしまった。

時代の流れには逆らえない。
グローバル化された世界の動きに、飲み込まれ沈んで行った企業は少なくない。しかし今ここで、もう一度モノ作りの原点に立ち返り、消えかかったランプの光を新たに輝かせることができたら、この国の、いや世界の未来に希望を持つことができるのではないだろうか。
そんなメッセージが込められている社会派ドラマと言えるだろう。

■玉木宏の演技の幅

企業家再生を玉木宏というイケメン俳優が演じるのも、また違う希望が持てる。
2018年の金曜ドラマ「あなたには帰る家がある」では、気の弱い夫役を演じ、ズルズルと吸い込まれるように不倫をした過ちがきっかけで、夫婦&家庭崩壊とともに、それでも妻に涙の訴えをするという、全く真逆の役を見事に演じた。
今回は企業再生家を演じている。同じスーツを着ていても、こうも人柄が違う役を演じ分けられるのかと、今後の期待もアップする。

音楽を手掛けるのは遠藤浩二。
『風に立つライオン』『テラフォーマーズ』『無限の住人』『ラプラスの魔女』など、三池崇史監督の作品を担当することが多いが、テレビドラマ・映画・舞台など、活躍の場が広いベテラン作曲家である。
シーンに合わせた音付けは、その経験豊富な劇伴作家の証明で「さすが」と言える。

ドラマはただの企業再生では終わらない。
人間くさい、それでいてポジティブで希望が持てるような爽快感が伴う。これから降りかかる試練とともに、人間賛歌とともに明日への活力を感じ取りたい。
今後の展開を見守りたい。

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コラムニスト:はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所