進化を続ける沢口靖子「科捜研の女」

2019/5/28 17:10

放送開始20年、SEASON19、そしてテレビ朝日開局60周年記念と枕詞のオンパレードとなった沢口靖子主演「科捜研の女」。しかも今回は来年3月までのロングランに挑む特別なドラマだ。

サムネイル
『科捜研の女』の個人視聴率


【無料配信】「科捜研の女 season19」最新話を配信中>>

これまで200話を超え、しかも午後の再放送枠を含め、恐らく500回以上放送されている同作。
それでも今クールも絶好調だ。平均世帯視聴率は12%台、同局の「特捜9」「緊急取調室」と並んで堂々たる数字を獲っている。

同ドラマの強さは、何と言っても進化を続ける制作陣の姿勢にあるだろう。
今作のキャッチコピーも「あなたはまだ榊マリコを知らない――。」。その進化の秘密を探ってみた。

■進化する世帯視聴率

同ドラマは1999年秋にスタートした。SEASON1の平均視聴率は9.3%。当時としては、決して好成績とは言えなかった。

2000年秋のSEASON2も二桁に届かなかったが、01年のSEASON3で12.3%になって以降は、二桁街道をまい進する。
そして07年のSEASON7で13%台、09年のSEASON9で14%台と、着実に数字を上げて行った。

その後11年のSEASON11からSEASON14までは12%台。15年のSEASON15とSEASON16が11%台とやや中だるみとなる。
ところがその後は、12%台に戻している。ドラマ全体が録画再生などで低視聴率に苦しむ時代に、一定の成績を残し続けたのは大健闘と言えよう。

■進化する科学技術

「科捜研の女」の強さの一つは、科学にこだわった演出。20年間に科学は飛躍的に進化を遂げ、最先端の知識や技術を取り込んだ同作は、新たな視聴者を取り込んできたのである。

例えばDNA鑑定。
犯罪捜査で採取した資料を警察庁のDNA型データベースと照会し一致した件数は、05年時点で158件だった。ところが今や、毎年6000件を突破している。新たな検査試薬の導入など、科学技術の進歩で、特定できる確率は何桁も向上している。また、従来は検出できないほどの微量でも、検出可能な技術が確立されている。

前回のFile.6「愛される悪魔/夫4人連続不審死!? 魔性の妻を暴くマリコのクシャミ」でも、進化したDNA鑑定が意外な実行犯を浮かび上がらせた。想定外の展開を可能にし、視聴者の満足度を飛躍的に上げているのが先端科学なのである。

■進化するキャッチコピー

科学重視の姿勢は、キャッチコピーにも表れている。

1999年のSEASON1では、「科学は私を裏切らない」だった。
科学の客観性・中立性でドラマを作る新しさを示すような文言だった。

SEASON3では「それは死者からのメッセージ」。
「死人に口なし」と言われるが、証言者がいなくとも、科学が証拠をつきつけ真犯人を追及するという醍醐味(だいごみ)を象徴した。

その後のキャッチコピーは以下の通り。
「これ以上あなたを悲しませない」(SEASON4)
「真実へのカケラ...。」(SEASON6)
「完全な犯罪などありえない。」(SEASON7)
「真実を、闇へ降らせはしない。」(SEASON9)
「その時、真実が浮かび上がる。」(SEASON11)
「必ずあなたに たどり着いてみせる」(SEASON12)
「その眼は、真実を見逃さない。」(SEASON13)
「科学の先にある、真実の光と影。」(SEASON14)
「「科学」の力で「鑑定」をつなぎ合わせる-浮かび上がる「こころ」」(SEASON15)
「科学が解き明かす真実 勇気が導き出す真相。」(SEASON16)
「科学と正義は、進化する。」(SEASON17)。
「私は真実が知りたい 科学の進化が試される」(SEASON18)

そして今回が「あなたはまだ、榊マリコを知らない――。」だ。
正直言うと、途中コピーで苦しんでいるようにも見えたが、2年前からは進化が明確に意識されるようになった。視聴率が回復した時期と一致している。やはり科学の可能性だろう。

今回の「あなたはまだ、榊マリコを知らない――。」も、科学の進化がまだ知らぬ次の世界を見せてくれるという期待をかき立てる。

■進化する個人視聴率

進化するドラマの強さは、スイッチ・メディア・ラボが調べる関東地区個人視聴率(5677人)のデータにも表れている。
SEASON16では、FT(女13~19歳)の個人視聴率は1%を切っていた。ところが今期は1.5%に高まっている。MT(男13~19歳)も当時は1%ほどしかなかったが、今は倍増して2.3%までに増えた。

1層(男女20~34歳)も2層(男女35~49歳)も、いずれも3割前後以上増えている。
視聴者の大半が中高年で占められる状況に大きな変化はないが、着実に若年層も取り込み始めている。科学の進化を取り込み、さらに女性の生き方など登場人物の信条や心情に触れる話をうまく取り込んでいる点も寄与していよう。

今期初回「科捜研の女VS科警研の女」は、仕事にプライドを持つ女同士の対決(檀れいvs沢口靖子)だった。直近の「愛される悪魔」では、"科捜研の女"vs"後妻業の女"(鶴田真由)が、女の幸せについて激論を戦わせた。
時代の変化を視野に入れ、新たなテーマを強かに取り込んでいる点が、視聴者層拡大に成功している要因だろう。

今作は来年3月まで1年続く。
40作を超える物語で、毎回新たな進化を果たすのは容易ではないだろう。それでも20年のキャリアで磨いた新境地開拓の実力が、次にどんな"科捜研の女"を見せてくれるのか、楽しみな1年になりそうだ。

【無料配信】「科捜研の女 season19」最新話を配信中>>

文・鈴木祐司 次世代メディア研究所