【インタビュー】映画『町田くんの世界』で大抜擢された新人俳優・細田佳央太&関水渚!「石井裕也監督は神様」

2019/6/ 5 17:50

「別冊マーガレット」に連載されていた安藤ゆきのコミックを、映画『舟を編む』などの石井裕也監督で実写映画化した『町田くんの世界』(6月7日公開)。本作で、見た目も地味で、勉強も運動も苦手ながら、困った人を放っておくことができない主人公・町田くん、そしてそんな町田くんの優しさに惹(ひ)かれていく女子高生・猪原さんを演じたのが、新人俳優の細田佳央太と関水渚だ。

ほぼ演技経験がないなか主役に大抜擢(てき)された二人。そんな彼らにかけがえのない時間を過ごしたオーディションから撮影までの話を聞いた。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)


平井 堅 「いてもたっても」(映画『町田くんの世界』主題歌)>>

■オーディション中はまったく手応えがなかった

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)
(C)安藤ゆき/集英社 (C)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会


――1000人を超えるオーディションのなかから勝ち抜いて役を得たとお聞きしましたが、どんなお気持ちで臨んだのでしょうか?

細田: どのオーディションも合格を目指して全力で臨むことは同じなので、今回も自分のすべてを出そうと思っていました。

関水: もともと石井監督のファンで、原作の世界観も大好きだったので、最初のオーディションでは感極まって号泣してしまいました。

――号泣ですか?

関水: 目の前に石井監督がいらして「本物だ」と思ったら、感情が溢(あふ)れてきてしまったんです。普通ならそこで終わりだと思うのですが、その後もしっかりお芝居を見てくださったのはすごくありがたかったです。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)


――細田さんはオーディションのとき、なにか印象の残るエピソードはありましたか?
 
細田: 石井監督から「もっとリアルに芝居をして」と言われました。でも僕は意味が理解できずに、何度もダメ出しをされたので「きっとダメだろうな」と思っていたんです。「リアルに、リミッターを外して」という言葉がすごく印象に残っています。

――お話を聞いていると、オーディションのときは、手応えはあまりなかったのですか?

細田: そうですね。合格も石井監督から直接言われたんです。監督とプロデューサーさんの前で、僕と関水さんで制服を着てお芝居をしたんです。そうしたら石井監督が「いいんじゃないですか」とおっしゃって。それが合格という意味だったので、びっくりして信じられなかったです。

関水: 私も「もうわかったから、いいよそれ以上やらなくて」という意味だと思ったので、合格だとわかったときは、本当にびっくりしました。

■石井監督は神様!

――見事オーディションを勝ち抜いてから、撮影まではどんな準備をしたのですか?

細田: 撮影に入るまえに僕らは1カ月ぐらいリハーサル期間があり、そのときに石井監督からは「こういう町田くんを作りたい」という話を聞きました。とにかくリミッターが外れたお芝居が大事ということだったので、その特訓をしました。このリハーサル期間があったからこそ、撮影に入るとき「これだけやったんだから大丈夫!」と思えて、すごく貴重な時間でした。

関水: リハーサルのときは、なにが正解かわからないのですごく怖かったです。そんななか、石井監督が「振り切る演技をする特訓として、腹がよじれるぐらい笑ってみて」とか「いまの気持ちを舞って表現して」ということをおっしゃっていました。そのときはあまりよく理解できず難しかったのですが、実際撮影に入ると、この経験はすごく役立ちました。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)


―― 石井監督はどんな方でしたか?

細田: 神様ですね。それが一番の印象です。自分たちがどういう人間で、どのようにしたら伸びるのかを分かったうえですごくわかりやすく教えてくださるんです。その意味で僕たちにとって本当に神様みたいな方です。あと熱量がすごい。自分の映画にはうそをつきたくないと話されているのを聞いて、リアルをとことん求める監督なんだなという印象を持ちました。

関水: 私にとって初めての現場が石井監督だったので、比べることはできないのですが、すごく近くで見てくださっている感じがしました。監督の反応で、良いお芝居だったのかダメだったのかがわかる。監督が笑っていると「あ、いまので大丈夫」と思えるんです。神様ですよね(笑)。

■芝居への欲が深くなった現場

―― 演じるというお仕事について、この作品をやるまえとやった後では変化がありましたか?

細田: 最初から熱量を持ってやろうと思って臨んだのですが、自分の想像のはるか上を求められました。自分のなかのお芝居の基準ができました。

関水: 今回物事に真剣に取り組んだことで、すごく新鮮な感情を得ることができました。反省点も多く、もっとできるようになりたい、人に負けたくないと強く思えて、お芝居に対して貪欲になった気がします。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)
(C)安藤ゆき/集英社 (C)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会


――岩田剛典さんや高畑充希さん、前田敦子さん、太賀さんとの共演も刺激になったのでは?

細田: すごく引っ張っていただきました。撮影中はいっぱいいっぱいで、自分からコミュニケーションをとることができなかったのですが、そんな僕が緊張しないように気遣ってくださって......。本当にありがたかったです。

関水: 前田さんと友達役で共演できたことはすごくうれしかったです。高畑さんは、町田くんを取り合う役柄だったのですが、すごくかわいらしくて、本当にすてきで......。みなさんすごく格好良くて、いつか自分も先輩方のようになれたらいいなと強く思いました。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)
(C)安藤ゆき/集英社 (C)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会


――お芝居のどんなところが楽しいですか?

細田: 自分の人生で経験したことがないことを、役柄を通して体験できることは魅力です。町田くんも自分とはまったく違うキャラクターですが、演じていてすごく楽しかったです。体力的にすごくきつかったですが、それもまた新しい自分になれるような気がして、俳優という仕事ならではの経験と思うと、ワクワクしました。

関水: いまは知らないことばかりで、新しいことを知れるのがとても楽しいです。私が演じた猪原さんは、大好きな人にすごく怒るシーンがあるんです。いままで私のなかで、好きな人にあそこまで怒ることはまったく知らなかった感情なのですが、演じてみて「もしかしたら怒れるかも」って思ったんです(笑)。そういうのもすごく楽しいです。

■細田 & 関水が大切にしていること

――座右の銘を教えてください。

細田: 「優れるな、異なれ」です。オリエンタルラジオの中田(敦彦)さんがテレビで話されているのを聞いて、すごくいい言葉だと思ったんです。自分の才能を見つけたいとき、いままで人が歩んできたレールをなぞるのではなく、そこから外れてみる勇気や、自分を突き通すことで新しい道が生まれるという生き方は、とても心に響きました。

関水: 「駅まで走る」です。中学のとき陸上部で長距離をやっていて、そのときはただ辛い印象しかなかったのですが、先日、時間がなくて家から駅まで全力で走ったとき、すごくすがすがしくて楽しかったんです。昔は苦手だったことも、大人になると楽しいと思えることがあるんだなと実感しました。あまり食わず嫌いにならずに、どんどんチャレンジしていこうという意味も込めて、この言葉にしました。

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)
(C)安藤ゆき/集英社 (C)2019 映画「町田くんの世界」製作委員会


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「町田くんの世界」は2019年6月7日公開。
出演は、細田佳央太、関水 渚、岩田剛典、高畑充希、前田敦子、太賀、池松壮亮、戸田恵梨香、佐藤浩市、北村有起哉、松嶋菜々子。主題歌は平井 堅の書き下ろし楽曲「いてもたっても」。

平井 堅 「いてもたっても」(映画『町田くんの世界』主題歌)>>

(取材・文・撮影:磯部正和)

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細田佳央太 & 関水渚 出演映画『町田くんの世界』(6月7日公開)


細田 佳央太(ほそだ・かなた)
2001年12月12日生まれ、東京都出身。小学校2年生のときにテレビ出演に興味を持ち、母親が履歴書を送ったことがきっかけで芸能界へ。WOWOW連続ドラマW『悪党~加害者追跡調査~』に出演中。その他にCM出演や、テレビドラマへの出演を経て、本作で映画初主演を果たす。

関水 渚(せきみず・なぎさ)
1998年6月5日生まれ、神奈川県出身。2015年「第40回ホリプロタレントスカウトキャラバン」のファイナリストで、2017年「アクエリアス」のCMで芸能界デビュー。本作が女優デビュー作にて映画主演を果たす。2020年に映画「カイジ ファイナルゲーム」が公開予定。