10代に届く松坂桃李&山本美月「パーフェクトワールド」の思いやり

2019/6/ 6 14:31

健常者と障がい者の恋を描いたラブストーリー「パーフェクトワールド」が、新たな展開を迎え最終回へ向けて、ラストスパートに差し掛かった。

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『パーフェクトワールド』視聴率


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主演は松坂桃李と山本美月だ。
正統派の美男美女の主演に加え、さらに共演者も瀬戸康史・岡崎紗絵・松村北斗・水沢エレナ・中村ゆりと若手俳優をそろえた。またベテラン層には、とよた真帆・松重豊・麻生祐未・木村祐一・堀内敬子ら個性も演技力も豊かな俳優陣がそろう。

■交錯する2人の思い

テーマが"障がい者との恋"ということもあり、ストーリー前半は障がい者がらみの現実が多く紹介された。障がい者の生活、合併症、日常的に背負わなければならないリスクなどの具体的な描写である。健常者が知らない多くのことを知ってもらいたいという作者のメッセージ性が、前面に出ていたようだった。

そこには障がい者と共に暮らす家族の思い、知らないがゆえに無意識に傷つけてしまう健常者の言葉、現実を受け入れざるを得ない障がい者の本当の気持ちなど、とても繊細に描かれた。
立場の異なるそれぞれの登場人物に相反する各々の思いを託し、出演者の魂が宿ったとも言える素晴らしい演技を見せてくれる俳優陣に脱帽だった。

ストーリーが展開していく中で、後半は絡み合った人々の思いをとても繊細に表現していた。
「好きだから、大切に思う」からこそ生まれる"やってあげたい"気持ちを実現するには、知識と努力と実践が必要だ。ひたむきに頑張り続けたつぐみ(山本美月)の姿に心を打たれた。

逆に相手に幸せになって欲しいからこそ、「自分のために犠牲になるな」と幸せになることを放棄する樹(松坂桃李)。
二人のまっすぐで誠実な気持ちが交差してはすれ違うほど苦しくなっていき、"できない"を痛感する現実が立ちはだかった。

■脇役の切なる願い

つぐみを大切に育ててきた父・川奈元久(松重豊)が、娘を心配し、市の福祉課に勤めながらも、娘には健常者との幸せを願う正直な気持ちも、一般人の心の声を代弁していた。
一方、樹の母・鮎川文乃(麻生祐未)は、障がい者である息子にも"普通の幸せ"を願う。親であるがゆえに先に旅立つであろう自分が、障がいを持った息子を一人置いて逝けないという障がい者の家族の声を実直に表現してきた。

気心知れたつぐみの幼馴(な)染の洋貴(瀬戸康史)は、つぐみの気持ちを知りながら必死に支え続ける。ラブストーリーにはなくてはならない名脇役だが、その誠実さがまた胸を打つ。
その洋貴にひそかに思いを寄せ続けていた、つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)の、現代的でドライそうに見えた若者が障がいを理解していく変化もとても興味深い。
樹を事故直後から支え続けるヘルパーの長沢葵(中村ゆり)の、理性と本当の気持ちとの葛藤も痛いほどにわかるものだった。

■10代に届くドラマの魅力

登場人物全員にちりばめられた、細かく繊細に構築されたキャラクターと作者の思い。
それぞれのひたむきな思いを多角的に見ることができ、"愛があれば"的な単なるラブストーリーではないところが、このドラマの最大の魅力といってもいいだろう。

実は視聴率動向を見ると、繊細な登場人物たちの気持ちに最も反応していたのが10代だったことがわかる。
ビデオリサーチの世帯視聴率は、初回から7話まで6.3±0.6%の中で推移しており、ほぼ横ばいだった。またスイッチ・メディア・ラボが調べる個人視聴率では、男女50歳以上では横ばいあるいはやや下降気味となった。つまり視聴者層の広がりは見られない。

ところが男女10代では、話が進むにつれ、明らかに数字が上昇している。最初の3回と直近3回の平均で比較すると、MT(男13~19歳)は1.0%が2.4%、FT(女13~19歳)も1.3%が2.8%と、ともに倍増以上となっている。
何かと「今の若い者は......」と、若者の思慮分別のなさなどが批判されることが多い。ところがこのドラマの反応を見る限り、相手を思いやる気持ちや相手のために自分を押し殺す細やかさを、理解し素晴らしいと感ずる若者はきちんと存在している。
良い人々の言動に心現れる純な心を持つメンタリティは、10代にもきちんと息づいているのである。

さてドラマはいよいよ佳境だ。
複雑に絡み合った糸の固まりのような各人の思いが、一本の糸になって結末を迎えることができるのだろうか。
一生懸命生きる人たちの幸せを切に願い、ラストまで見続けたいと思う。

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コラムニスト: はたじゅんこ
監修・次世代メディア研究所