話題ドラマの最終回 若者に刺さったのは窪田正孝「ラジエーションハウス」より山下智久「インハンド」!

2019/6/26 17:50

今クールは医療ドラマが3本あった。

窪田正孝主演「ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~」(フジテレビ)、中条あやみと水川あさみW主演の「白衣の戦士!」(日本テレビ)、そして山下智久主演「インハンド」(TBS)だ。

クール平均を100として最終回の個人視聴率を指数化すると、若年層は「ラジエーションハウス」より「インハンド」に集中したことがわかる。

サムネイル
3ドラマ最終回の盛り上り比較


【無料配信】「インハンド」最新話を配信中>>

■最終回の盛り上り

ビデオリサーチによる世帯視聴率では、「ラジエーションハウス」の平均が12.2%でトップ。そして「インハンド」が9.2%、「白衣の戦士」は8.7%だった。16~18年に一桁低迷作品が続出したフジの月9は、4年ぶりに12%台に乗せ、復調ぶりが際立った。

クール平均を100として、最終回の世帯視聴率を指数化すると、「白衣の戦士」が110、「ラジエーションハウス」113、そして「インハンド」が117。最終回をリアルタイムで見ようと盛上ったのは、どうやら「インハンド」が一番だったようだ。

次に男女年層別の個人視聴率を、同じように指数化してみよう。
まず目立つのは、「白衣の戦士」がMT(男13~19歳)とM1(男20~34歳)で平均を20%前後上回った他は、全世代あまり数字が上がっていないこと。ストーリー展開として、最終回に向けあまりワクワクするような出来になっていなかったようだ。

■対照的な「ラジエーションハウス」と「インハンド」

「ラジエーションハウス」は2層(男女35~49歳)で130~140ほどと盛上った。特に3+層(男女65歳以上)では、140~150と最も数字が跳ね上がった。明らかに若年層より上の世代、特に高齢層に刺さっていた。

恋愛ものを得意としてきたフジの月9は、もともとはF1など若年層に人気があった。ところが2010年代にじりじり視聴率を下げ、16~18年は一桁続出となった。
そこで去年から、刑事モノ・弁護士モノ・医療モノなど、数字を獲る鉄板ネタを並べるようになった。その結果、「絶対零度」10.6%、「SUITS/スーツ」10.8%、「トレース」10.8%と、視聴率二桁を連打し、今期はついに12.2%と大台を突破となった。

五十嵐唯織(窪田正孝)が初恋の甘春杏(本田翼)に、22年ぶりに再会したにもかかわらず、牛歩の歩みが続くというじれったい恋愛要素が医療にまぶされた。その甲斐(かい)あってか幅広い年齢層を集め、数字を一段と押し上げたようだ。とにかく世帯を上げるという同局の作戦が、見事に功を奏したと言えよう。

一方「インハンド」は、2層以上ではあまり最終回で盛上らなかった。
ところがMTFT(男女13~19歳)で130~140、F1(女20~34歳)で150と、圧倒的に若年層が最終回に集中した。

新型エボラウィルスが猛威を奮い、高家(濱田岳)の故郷・相羽村が閉鎖されるというスケールの大きさ。次々と感染した村人が亡くなり、事態は悪化の一途というテンポの良さ。そして変人だが天才の科学者(山下智久)が、助手(濱田岳)の人間性に感染して変貌した。
「僕はいつの間にか人間が好きになった。虫と同じくらい、人間のことが好きになった。それはおまえのせいだ。おまえが僕を変えたんだ」「これからもずっと僕のそばにいてくれ」
涙ながらに語り掛けた山ピーの演技で、心を動かされた若者続出だったようだ。

■「インハンド」の作品性

最終回では、ドラマのタイトル「インハンド」が見事に浮かび上がった。

紐倉(山下智久)・高家(濱田岳)・牧野(菜々緒)およびSM対策室メンバーの協力(Hand in Hand)が、大きな鍵を握った。
そして新型エボラをインハンド(掌握・制御)できるか否かが、物語の縦軸は手に汗握るものがあった。

しかも科学を前提にしながら、人間や社会のあり方が問われるなど、強いメッセージ性が込められたドラマだった。感動と同時に、見ているものを立ち止まって考えさせる要素も満載だったのである。

いずれにしても、寄生虫や細菌学からのアプローチという医療ドラマとしての斬新さ。映画『アウトブレイク』を思わせる気宇壮大さ。菜々緒らが奮闘した官僚組織の闇。そして衛生仮説が致命的な感染症を克服する決め手になるという"どんでん返し"等々。

シリーズの前半では、先端医療の話が若年層にやや敬遠されたかもしれないが、最終回に向けさまざまな要素がシンクロし、最後は若年層にも支持されたようだ。
"知的好奇心をくすぐる"と同時に、"人間いかにいきるべきか"と考えさせる上質のドラマだったことは間違いない。

【無料配信】「インハンド」最新話を配信中>>

文・鈴木祐司 次世代メディア研究所