ここから本文です

映画「五億円のじんせい」が企画オーディションで審査員の目にとまったときは、まだ企画書はたった1枚の原稿用紙だった。それが今や、上海国際映画祭では会場を満席にし、ニューヨークでの上映も控えている、国内外で注目を集める作品となった。
かつて5億円の募金で命を救われたことから、「5億円分の価値がある人生を生きる」というプレッシャーに苦しむ高校生・望来(みらい)を演じたのは、望月歩。本作品が初主演である。難役への向き合い方、主役として感じたこと、そしてこれからの自分について話を聞いた。


サムネイル

望月歩、初主演映画『五億円のじんせい』(7月20日公開)



五億円の募金で命を救われた少年の物語「五億円のじんせい」>>


■役作りを支えた、監督との膨大な会話と、一冊のノート

――映画「五億円のじんせい」は、監督も企画も出演者も全てオーディションというプロジェクトでした。チャレンジングな企画ですが、出演を決めたきっかけはなんでしたか?

「監督がどなたか、とか、オーディション企画とか、全然知らなかったんです。ただマネージャーさんに脚本をもらって、読んで、純粋に脚本が面白かったから、やりたい!と思いました。」


サムネイル
望月歩、初主演映画『五億円のじんせい』(7月20日公開)



――「自分の命のねだんと向き合う高校生」という難役でしたが、役作りはどのようにされたのですか?

「今回は、自分で調べられることが多かったから、病気のことや、募金のことや、手術を受けた方のその後の生活について調べたり。それから、監督とすごく長い時間話し合いました。」

――監督との話し合いは、どのような内容だったのですか?

「監督からは、まず役のことより、僕自身についてすごく聞かれました。学校のことや、いきなり『好きな子いないの?』って聞いてきたり(笑)。ずっとそんな話ばかりしていました。逆に僕が監督の家族の話を聞いたりもして。そんな会話を何度も繰り返して、少しずつ役についても話し合うようになりました。」

――監督とは膨大な時間、話し合われたのですね。

「そうですね。そのおかげで、実際に撮影が始まったときはもう僕と監督の中で、同じ望来のイメージが築けていたと思います。」

――撮影中は、どんなことを意識していましたか?

「僕が演じる望来は、最初からずっと出ているから、頭の整理がつくように、脚本にいつも以上にたくさん書きこみをしました。このシーンの望来は、どんな経験をした後の望来だぞ、とか。それから、監督にも1冊のノートをもらいました。そのノートにとにかくメモして。何度も何度も読み返してから、その日の撮影に臨んでいました。」

■主人公・望来と、俳優・望月歩の共通点

――主人公の望来(みらい)は、五億円の善意の募金で命を救われたという、特殊な育ち方をした少年ですが、同年代として望月さんが、望来に共感する点はありますか?

「望来に比べたら小さいことかもしれないのですが、僕も、自分自身で役者をやっていくと決めたときから、プレッシャーや周囲の目を常に意識して、役者"望月歩"として生きてきたから、五億円の価値がある人間でなければいけないというプレッシャーを感じながら生きる望来とは、そういう点ではすごく似ていると思いました。」

――短い撮影期間で、闇バイトを通してどんどん変化していく望来を演じきるのは大変だったのは?

「一つ一つのシーンをちゃんと経験していけば、自然と僕も"望来"も成長するなって思っていたから、意識して成長していく望来を演じなきゃ、というプレッシャーは感じなかったです。結果として、ちゃんと望来の変化を感じでもらえてよかったです。」

■初めての主演映画への挑戦。感じていたのは、プレッシャーより幸せ。


サムネイル
望月歩、初主演映画『五億円のじんせい』(7月20日公開)



――撮影全般を通して、何が一番大変でしたか?

「うーん......。『大変なこと』って、僕はあまりどの現場に入っても感じなくて。唯一、早起きくらいです(笑)。今回の現場もほとんどロケで、現場が遠いところもあり、朝4時起きとかもあったので、それはつらかったです。」

――逆に、楽しかったシーンは?

「平田さんとの共演シーンです。ホームレス役を演じられているのですが、『五億円のじんせい』のなかで好きな役なんです。自分の好きな役が目の前にいるっていうだけでうれしくて、うれしくて。」

――望来と、彼のお母さんの関係も、映画の重要なポイントとして描かれていますが、お母さん役を演じた西田さんとの撮影はいかがでしたか?

「西田さんは、会った瞬間から"望来くんのお母さん"で、すんなり「あ、お母さんがいた」って思いました。西田さんのセリフも、僕自身「ああ、お母さんってこういうこと言うよな」とか感じることもあったりして、本当に自然に親子になれた感じでした。」

――叱られてお母さんにビンタされるシーンもありましたね。

「あれは、痛かったなぁ。こんなに痛いんだってビックリしました(笑)」

――西田さんのほかにも、たくさんのベテラン俳優さんが出演されていますが、そんな中で主役を演じるプレッシャーはありましたか?

「主役だから、っていうプレッシャーはなかったです。幸せだなって思っていました。」

■俳優・望月歩のこれから

――今回の役は、「死ぬために五億円稼ぐ」というある意味逆説的モチベーションで生きる高校生の役でしたが、望月さんにとって俳優をやるモチベーションはどこにありますか?

「モチベーションっていうほどの難しいものはないです。俳優を続ける一番の理由は『楽しいから』ですね。好きでやっていることだから、苦しくもないし。ただ、お芝居を続けてきた中で、関わった場所や支えてくれた人たちがいて、そういうものは守っていきたい、ということはいつも思っています。」

――初主演を体験して、ご自身のなかで何か変化はありましたか?

「また主役をやりたい、と思いました。主役は、現場にも、役にも、共演者にも関われる時間が長いから。幸せですよね。」

――俳優を続けるうえでの、座右の銘はありますか?

「お芝居を始めたころに言われた、『正解を出すより、全力でやれ』という言葉をすごく大事にしています。この言葉のおかげでプレッシャーを感じるより、逆に極限を楽しい、うれしいって思えるようになったのかもしれません。」


サムネイル
望月歩、初主演映画『五億円のじんせい』(7月20日公開)



五億円の募金で命を救われた少年の物語「五億円のじんせい」>>

◆プロフィール
望月歩
2000年9月28日生まれ。現在18歳。14年のWOWOWドラマ「埋もれる」で本格デビューし、15年の映画『ソロモンの偽証』(成島出監督)で、1万人が参加した大規模オーディションの結果、転落死する中学生・柏木卓也役に抜てきされ、その演技力で一躍注目を浴びる。その後、ミュージシャン渡辺俊美のエッセイ本が原作の単発ドラマ「461個の"ありがとう"~愛情弁当が育んだ父と子の絆~」(15)では主演・別所哲也の息子役を演じ、以降、舞台「真田十勇士」(16)、連続ドラマ「母になる」(17)、「アンナチュラル」(18)など話題作に次々と出演。連続ドラマ「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(19)での瀬尾役では多くの視聴者の記憶に残る圧倒的な存在感を示した。

トレンドニュース「視線の先」 ~築く・創る・輝く~
エンタメ業界を担う人が見ている「視線の先」には何が映るのか。
作品には、関わる人の想いや意志が必ず存在する。表舞台を飾る「演者・アーティスト」、裏を支える「クリエイター、製作者」、これから輝く「未来のエンタメ人」。それぞれの立場にスポットをあてたコーナー<視線の先>を展開。インタビューを通してエンタメ表現者たちの作品に対する想いや自身の生き方、業界を見据えた考えを読者にお届けします。

Facebookコメント
※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。
PR

最新記事

rss

もっと見る

本文はここまでです このページの先頭へ